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FUJI ROCK FESTIVAL'23

あらゆる意味において特別だった2021年。「いつものフジロック」に戻すには性急に過ぎると感じられた2022年。そして本当に戻ってきた2023年。「FUJI ROCK FESTIVAL'21」と「FUJI ROCK FESTIVAL'22」と「FUJI ROCK FESTIVAL'23」は、同じFUJI ROCK FESTIVALでありながら、まったく様相の異なるものだった。


人の多さと通信エラー問題と

今年はまず、なんといっても人が多かった。公式の発表によれば、4日間の延べ来場者数は114000人で、内訳は前夜祭の27日(木)が18000人、28日(金)が29000人、29日(土)が38000人、30日(日)が29000人。因みに22年の4日間の延べ来場者数は69000人で、内訳は前夜祭の木曜が10000人、金曜が18000人、土曜が21000人、日曜が20000人。21年の3日間の延べ来場者数は35500人で、内訳は金曜が12600人、土曜が13500人、日曜が9300人(この年、前夜祭はなかった)。今年の日曜日の来場者数は21年の約3倍だ。

木曜日、盆踊りの最中にオアシスエリア入りしたときから「わっ、今年は人、多いわ」と感じたが、それもそのはず、前夜祭からして去年より8000人増。金曜が11000人増、土曜が17000人増、日曜が9000人増。とりわけ土曜日の38000人というのはちょっととんでもない人数で(もっともRADIOHEADが出た12年の日曜は4万人を超えていたが)、人が多すぎてオアシスエリアなんていられたもんじゃない。ステージを移動するにも道が詰まりまくりでなかなか進めないし、夜のホワイトのVaundyは早々に入場規制がかかり、次のホワイトのLOUIS COLEも途中で(恐らくグリーンのフーファイ離脱組が流れてきたため)入場規制がかかっていた。29000人くらいなら「多いなぁ」と思いながらもまだ耐えられるが、体感的に3万人がひとつの境界線で、それを超えるとさすがに不快指数が上がってしまう。主催側からしたらそりゃ入場者数が多いに越したことはないだろうが、朝霧JAMが快適さを考えて一定人数以上の客を入れないように、フジも例えば1日3万人までに抑えてもらえたらいいのだけど……まあそういうわけにはいかんでしょうな。

人が倍増してどうなったかというと、それに見合った移動基地局をキャリアが確保できなかった故に通信輻輳が起きまくり。とりわけdocomo電波は壊滅的で、ツイートをしたり見たりできないどころか、LINEもダメ。で、オールキャッシュレス決済を謳ったはいいが、通信エラー続出でどの飲食店も大混雑(なし崩し的に急遽現金もOKに)。自分はPASMOでどうにかなったけど、スマホ以外持たずに会場に来た友人は1時間近く並んだ挙句に通信エラーで結局ゴハンが買えなかったと嘆いていた。わけあって自分は行けなかったが、行った人によると、これ、去年の朝霧JAMでも起きていたこと。次の朝霧や来年のフジこそはなんとか頑張ってキャッシュレス決済環境を整えてもらえるといいなー。

それとあと、水だ。水(及びスポーツドリンク)が売り切れていた店が多かったのもまいった。お店的にもあの暑さは計算外だったのだろうけど、水分補給は命にも関わることなので、今後改めて対策を講じていただきたいものです。ほんと、あの暑さで水もポカリも飲めないとなると倒れちゃうよ(実際倒れてる人、見ました)。

↑のように、今年は「超気持ちいい!FUJI ROCK」がテーマに掲げられていたわけだけど、全日のあの予想外の暑さに加えて述べてきたような問題点もあり、残念ながらそのテーマ通りにはならなかった……というか、むしろ過酷さのあった今年のフジロック(豪雨も辛いが猛暑も辛い)。そんななかで自分はどう過ごして、どんなことを考えていたかを書いておこう。

「無理をしないFUJI ROCK」

今年は帰ってから疲れを抜くのにいつも以上の時間がかかった。月曜の朝に東京に戻ってきて、火曜の夕方くらいまではほぼ廃人のようだった。暑さと紫外線にやられた、というのが考えられる理由のひとつ。もうひとつは、単純に「そういう年齢だから」。

今年の2月に還暦を迎えた。が、かつてイメージしていた還暦男らしさなどまるで備わることなく、60になっても自分は小僧だ。フェスが好きで、その場所においては麦わら帽子かぶって虫取り網片手に遊んでいる子供みたいなセルフイメージ。はしゃぎすぎてる~、夏の子供さ~。

だが、気持ちがそうでも、やはり体力は確実に衰えてきている。例えばコロナ禍以前のフジでは、金曜土曜は大体15時間、もっと若い頃は1日18時間くらい平気で楽しみまくっていて、明け方まで呑んでフラフラで宿に帰って午前中にはもう会場にいるみたいなこともできたんだが、今は無理だ。1日だけならどうにかなっても、2日連続でそれはもうできない。

そこでだ。事務局が「超気持ちいい!FUJI ROCK」を今年のテーマに掲げたように、60の僕は僕なりのテーマを設けて今年は臨んだ。「無理をしないFUJI ROCK」。これだ。

まず、どうしても観たいアクトがあるとき以外は、午前中は焦らずゆっくり出る。朝食は宿でしっかりとりたいので(野菜・納豆・味噌汁・白米などが摂取できるので)8時前に起きて友達みんなと食べ、そのあと宿の外でコーヒー飲みながら近況やらなんやらを話したり(1年でこのときしか会わない友達もいるので、この時間は重要なのです)。あるいはピラミッドガーデンが定宿に近いので、そこでみんなでお茶しながらまったり過ごしたり。ピラミッドガーデンは本会場とは違う時間の流れ方をしていて、いいんですよね。今年は金曜朝にここで聴いたMaya Ongakuがこの場所に相応しいバイブス放っていてよかったな。

で、会場内では、よほどの場合を除き、なるべく移動距離が短めに済む動き方をする。昔ならレッドでひとつ観終えてから急ぎ足でヘブンに動いて、またグリーンに戻って……みたいなことも全然していて、1日に何往復もすることがあったけれど、そういう動き方はもうせずに、アプリのタイムテーブルをあみだくじのようにおりていく。例えば金曜なら、ホワイトでSUDAN ARCHIVES観てからヘブンのTHE BUDOS BANDを観て、ほんとはそのあとYVES TUMORを観にレッドまで走って行きたいところなんだがその気持ちを抑えてヘブンから近いホワイトでSTUTSを観る……みたいな。数年前の自分だったら頑張ってレッドまで一気に下りていただろうけど、もうそれやっちゃうとバテて夜までもたないことがわかっているので無理をしない。まして今年はあの暑さだったので尚更ね。

それとここ数年は最終日までの体力配分も考え、ヘッドライナー終了後の深夜遊び(僕はそこからの時間を第2部と呼んでいる)も以前ほどダラダラ長くはしないようになった。……とはいってもだ。そんな理性や抑制なんてあっさり吹っ飛びもするのがフェスであって。土曜日はホワイトでLOUIS COLE観終えて下山してオアシスで呑み始め、GAN-BAN SQUAREの砂原良徳のDJで楽しくなっちゃってからレッドマーキーのTSHAとROMY(前半)でぶちあがって、ROOKIEでTo Yoのサイケ音くらってさらにお酒が美味しくなり、パレステントの黒田大介のDJで踊りながら赤ワイン数杯いって酔っ払って……。そう、今年のフジはなんといってもTHE PALACE OF WONDERの4年ぶりの復活が自分を含むフジ好きたちにとっての大きな喜びだったんだが、(位置が変わったとはいえ)あのエリアが久々によみがえり、ROOKIE A GO-GOもその場所に戻って、何よりパレステントが復活して、そのあたりで呑んでゆらゆらしながら、ああこの感じ、ほんと久しぶりだわ、これこそがフジの楽しさだったわと思いだしたのだった。結局そうなりますよね。

というわけでこの日は4時近くに帰宿して、最終日は12時のレッドのYARD ACT始まり。暑さと前日の疲れがあったので、YARD ACT観終えたら木陰で座って1時間休み、レッドでBALMING TIGER観終えたらまた1時間休みと、昼間はかなり小エネモードで過ごした。以前ならその1時間にも別のステージに動いて何か観ていただろうけど、そこでおもいきって「ただ休む」という選択をできるようになったあたり、自分も大人になったもんだなと。「無理をしないFUJI ROCK」とはそういうことです。

気持ちとしては、本当はひとつでも多くのアクトを観たいし、午前中から深夜まであちこち動き回ってあれもこれも観ている若いライターのツイートなんかを目にすると、よくわからない対抗心というかなんというか、ううー、僕だって…と思ってしまったりもしたのだけど。でも60なので無理がきかん。やがて誰だってそういうときがくるのだから、20代・30代・40代の人たちは動ける間に動けるだけ動いてひとつでも多くライブを観たほうがいいよと、アドバイスなんてほどのものではないけど、25年間毎年行っている僕はそんなことも思うかな。あの場所はいるだけで楽しいというのも間違いないことだけど、やっぱりいろんなアーティストのライブを観れば観るだけ発見も収穫もあるし幅も広がるから。

50代60代の客の減少について思うこと

ところで。(ほぼ)毎年一緒に行っている60代半ばの友達と現地で会うと、彼がこんな言葉を口にした。「今年は観たいものがあんまりなくて」。観たいアクトだらけで、今年スマッシュは本当に頑張ったなぁ、すごいよなぁと感じていた僕はその言葉にけっこうな衝撃を受けて、「まじでぇぇぇぇ? 今年はすごいやん」と言い返したものだが、彼曰く「フジだからこそのブルーズやソウルのアーティストが今年はいない。去年もそうだったけど、もっとそうなってる」と。言われてみれば確かにかつてヘブンや今はなきオレンジコートに必ず何組か出ていたブルーズやソウルのレジェンド級アーティストの名前が見当たらず、ジャムバンドっぽいのもない(金曜のヘブンのTHE BUDOS BANDがまあそれに近い役割を果たしてはいたが)。国内ミュージシャンを見ても長くやり続けているベテランが今年は少なく、例えば木村充揮とかCHARとかCHABOとかそういう人の名前もなかった(とはいえ加藤登紀子は今年も出ていたし、前夜祭には紫が出たし、なんたって矢沢永吉の初出演もあったので、ベテランが少ないと言い切ることはできないけれど)。エレクトロやテクノが嫌いで、新しい音楽をほとんど聴かず、ブルーズ成分のまったく入っていない音楽は認めないとか言っちゃうその友達が今年あまり楽しそうじゃなかったのは、だからわからなくはない。で、そう考えてみると、実際50代60代の客が(2019年以前と比べて)ずいぶん減ったように感じられもした。

パンデミックによって有観客のライブがなくなった時期があり、ライブが再開されるようになってからもしばらくは客が会場(とりわけライブハウス)になかなか戻らなくなっていた。それが今年の5類移行後はだいぶ戻ったわけだけど、シニア世代ほど一度行かなくなるとそれが習慣化されるもので、だからコロナをきっかけにライブを観に行くことがほとんどなくなったという人が自分の近くにもいたりする。ましてやフェスともなれば、よほど観たいアーティスト、そこでしか観ることのできないアーティストが出ない限りは行かなくなる。そういう年代の人の気持ちをも動かせるアーティストが今年出ていたかというと、確かに「う~ん」と唸ってしまうところはあったかもしれない。

一時期、フジはサマソニに比べて若い客が少ない、どれだけ若い客が呼べて新陳代謝していけるかが課題だ、ということがずいぶん言われていたものだったが、今年は旬のアーティストが増えたのと比例してまあまあ若い客が増えていたようだったのはある意味での成功だっただろう。が、その分、50代60代の客の減少を実感したのは、自分的にはちょっと寂しくもあったところだ。2000年代から2010年代半ば頃まではよく会場で会ったり見かけたりした先輩ライターや先輩編集者に、今はもうそこで会うことはない。それぞれにそれぞれの行かなくなる理由というものがあるのだろうけど。

自分はといえば、還暦を迎えても相変わらずあの場所が好きだし、あの場所でライブを観ること特有の幸福感が変わらずあるし、観たいものが多すぎてカラダひとつじゃ足りないと感じるのも25年間変わらないことだ。観たことのない若くて新しいアーティストのライブもたくさん観たいし、長くやり続けているベテランアーティストのライブもあの場所でもっとたくさん観たい(ずいぶん前に出たサム・ムーアとかブッカー・T・ジョーンズとかのライブの感動が未だ忘れ難かったりもするので)。そして例えばレッドでまさに今が見頃の新しいアーティストがライブをやっているその時間に、ヘブンでは大ベテランのブルーズやソウル系アーティストがライブをやっている……みたいなことが本来のフジの懐の大きさだと思っているし、どっちかの一定のファン層だけじゃなく20代から60代までの客が混在して、ときには互いの好みのアーティストのよさを教えあったりもしているというような場面も見られるのがサマソニにはないフジの素敵さだとも思っているので、出演者・客ともにそのあたりのバランスがいい感じで保たれながらこれからも続いていくといいなぁと改めて考えもした今年のフジだった。若い人が行ってみたいと思えるフェスでありながら、長く行き続けている50代60代の人が今もワクワクできる、そんな数少ないフェスであり続けてくれることを僕は願っている。

では、今年観たアクトについて簡単に。

前夜祭で観たアクト(感想)

7月27日(木)。前夜祭。観たのは以下の通り。

DJ MAMEZUKA→LEXIE LIU→JATAYU(後半少し)→SAKURA CIRCUS→DJ MAMEZUKA→紫。

MAMEZUKAは今年亡くなったアーティストの曲を1曲目にもってくるに違いない、であるならフジにはそれほど頻繁に出ていたわけじゃなかったけれどやっぱシナロケで「レモンティー」あたりかなと期待していたのだが、1曲目はYMO「BEHIND THE MASK」だった。これに始まり、今年はいろんな人がYMO(または坂本龍一)の曲をかけたり演奏したりした。JOHN CARROLL KIRBYの戦メリからのライディーン、NEAL FRANCIS登場時のライディーン、GINGER ROOTのYMOメドレー(東風から君に胸キュンまで5曲)、観ていないけどFKJも戦メリをやったらしい。さすが世界のYMO。とは思いつつ、鮎川さん追悼の場面に一度も遭遇できなかったことについて思うところはある。

LEXIE LIU。美しくてキュートでかっこいい。中国のデュア・リパまたは中国のRina Sawayamaといった感じでしょうか。楽曲もよい。しかもそれ、彼女の手によるもの。時代は動いているな。

JATAYU。フュージョン的でプログレ的でメタル的でもあって、変拍子やりつつインドの旋律も混ざるという面白味。こういうバンドがインドから出てくるっていう。時代は動いているな(2回目)。

SAKURA CIRCUS。これまでフジでいろんなサーカス団を観てきたが、大阪のこのサーカス団にはぶっとばされた。とりわけムキムキお兄さんふたりのバランス芸。頭と頭でって、それ、凄すぎるでしょ。今年一番の驚き。もう一度アレを見たくて、土曜深夜のパレスでおかわりした。

。「え?  あの紫?」と驚いていた高齢客も多かったようだが、今年はドキュメンタリー映画が公開されたし、もうすぐニューアルバムも出るってことで、絶好のタイミング。5月に野音のCharのSmoky Medicine公演を観に行ったら、アンコール2曲目でサプライズゲストとして紫のギタリストの比嘉清正が登場し、それはもうヒリヒリするようなギターバトルをCharと繰り広げたのだが、今回も比嘉さんのギターが凄かった。もちろん下地さんのギターも。ジョージさんのハモンドも。70年代ハードロック、ではあるがレッドの音響の良さもあって今にズドンと響く。やっぱ凄い迫力。ラストはディープ・パープル「ハイウェイ・スター」。フジでこの曲を聴く日が来ようとは!

というわけで、中国、インド、大阪、沖縄と、現行アジアの面白さを見せつけたかのようなコッテリ味の前夜祭ラインナップ。今年は例年以上に海外から観に来ている人が多かったので、そういう意味でも意義ある前夜祭になったのではないかと。

7月28日に観たアクト(感想)

7月28日(金)。観たのは以下の通り。

Maya Ongaku→思い出野郎Aチーム→SUDAN ARCHIVES→THE BUDOS BAND→STUTS→矢沢永吉→Tohji→DANIEL CAESAR→YEAH YEAH YEAHS→NxWorries→Vegyn。

午前中は宿に近いピラミッドガーデンでMaya Ongakuの音を聴きながら友達と朝食&コーヒー。一度宿に戻って落ち着いてから、ゆっくり会場に。

ホワイトで思い出野郎Aチーム。フジで観るのは19年のヘブン以来2度目。昨年はメンバーふたりのコロナ陽性で直前キャンセルに…というのを経ての今回なので、尚更心をおもいきり開いてこの時間を楽しむんだという意思がどんと伝わる演奏と歌だった。去年のスタジオコースト・ワンマンもそうだったが、フジでも手話通訳のメンバー入り。こういう大きなフェスで歌詞の手話通訳がなされることの意義と素晴らしさを思う。大好きな「週末はソウルバンド」の「続けてもいいから嘘は歌わないで」がなんだかいま改めて胸に響いた。しかし暑かった、暑すぎた。

ホワイトでSUDAN ARCHIVES。今年特に楽しみにしていたひとつ。数人のサポートがいたコーチェラよりミニマルで、ビート出したりベース弾いたりのサポメンと彼女のふたりステージ。アフリカンヴァイオリンをカラダの一部として即興的に弾きながら、強い自信と確信のもとにオリジナル表現をする彼女の戦士のようなかっこよさといったら!  これぞ2023年型。弦を抜く際いちいちシャキーンと刀を抜く音がするのも演劇的で面白かった。

ヘブンでTHE BUDOS BAND。ダプトーンレコード所属のブラスロックバンド。70年代ロックと60年代ソウル/ファンクの混ざり具合がいい塩梅。全員がジーンズ+Tシャツで飾り気なし。男くさく、ジャムバンドっぽい雰囲気もある。っていうところのかっこよさ。4日間通して、雨が降ったのはこのときだけでした。

ホワイトでSTUTS(後半の数曲)。MCの謙虚さがたまらない。人柄最高。ゲストのラッパーくんたちもそんな彼をリスペクトしているのがよくわかる。PUNPEEはいなかったけど最後の「夜を使いはたして」にグッときた。

グリーンで矢沢永吉(途中から)。行きのクルマで永ちゃんが高校教員役だったTVドラマの主題歌「アリよさらば」をたまたま聴いていたんだが、グリーンに近づいたらそれが聴こえてきたため思わず小走りに。永ちゃんのライブを観るのは、06年のUDOフェス、10年のライジングサンロックフェスに続いて3度目(フェスでしか観たことがないという)。中3の頃に大好きで毎日聴いていた「チャイナタウン」を歌ってくれたのが嬉しかった。で、あの頃のこと思い出したり。「トラベリン・バス」も最高だった。でも60分枠なのに40分程度で終わってしまったのはなぜ?   

YUZAWAでYAZAWA

ホワイトでTohji。昨年のPOP YOURSとFFKTに続いて、観るのは3度目。今や若い世代にとってのカリスマで、ホワイトにも「この会場にこんなにたくさんの若い客がいたのか?!」と驚くくらいに集まり、始まる前から熱気ムンムン。登場からしてやばかった。声は聞こえどもステージにTohjiの姿はなく、え?  どこから声が? と振り返ると、なんとPAブース前の台上に紫の装束を纏った彼が。で、歌いながらそれを脱ぎ、モーゼの海割り状態となった客の間を通ってステージへ(その時点で確か3曲)。過去にフジで誰もやらなかったこの登場の仕方からして、めちゃめちゃかっこよかった。ステージ上では謎にクールなカメラクルーが常にTohjiの背後につく(カメラクルーが主役を撮ってそのままスクリーンに映すこと自体を演出とする、というそれ、最近流行ってるね。GINGER ROOTもやっていたし)。歌もいいが、曲へと繋ぐ独特すぎるMCがまた抜群に面白い。「アルデンテなやつ、どんだけいんだよ?!」って言って「Oreo」を歌い始めたとき、爆笑しましたよ、僕。最高のセンスだな。あと、ウルトラレアカードのあれはLIZZOのメッセージと根っこは一緒ね。これからさらにスター道駆け上がるだろうから、次出るときはグリーンでしょうなぁ。

グリーンでDANIEL CAESAR。ステージ上には彼ひとりだけ。しかもフジで、グリーンで、これだけスローな曲ばかりを続けてこれだけ引き込むって、美しい夕焼けマジックがあったとはいえ相当の力量なんじゃないかと。後ろのほうで少しウトウトしながら聴いていたんだが、夢と現実の堺がなくなったような感覚があって、文字通り夢見心地だった。繊細なアコギの響きと声そのものの美しさに、改めてフジの音響のよさも感じた。

レッドでYEAH YEAH YEAHS。2006年にホワイトで観て以来。あのときも興奮したが、今回はパフォーマンスのクオリティも盛り上がりも予想以上。もう圧倒的。新作の曲も初期の曲も同じようにかっこよく、同じように純度の高さがあった(「Maps」は亡くなったシネイド・オコナーにも捧げてましたね)。かつてのような何が起こるかわからない不安定な危うさはなくなり、狂気をもコントロールしながら歌うカレンOの成熟の仕方はロック歌手としてのひとつの理想ではないかと。感動の完全復活。この日のベストアクト。

ホワイトでNxWorries。ソウルにディスコにファンクにヒップホップ。ブラックミュージックの歴史のなかで彼ら(Anderson .PaakとKnxwledge)が重要とする部分を音と映像で巧みに繋いで見せた幸福時間。一般的な有名曲よりも、これをもってくるか~(ニヤリ)となる選曲センスがたまらんでした。ホワイトならではの重低音の効きもやばかった。終盤でゾロゾロ女性が出てきてのダンス合戦はソウルトレインっぽくもあり。

レッドでVegyn。DJ、ではなくライブセット。とはいえひとりでラップトップ操作するだけなんだが、VJ含め、どこかノスタルジックな美しさもある世界観に引き込まれた。

イエロークリフで少し休み、2時前に帰宿してバタンキュー。Vegynの次のOVERMONOの評判がすこぶるよかったのでそこまで頑張るべきだったかと思いもしたけど、まあしゃあない。

7月29日に観たアクト(感想)

7月29日(土)。観たのは以下の通り。

GEZAN with Million Wish Collective→WEYES BLOOD→ALANIS MORISSETTE→CAROLINE POLACHEK(2~3曲)→UA→CORY WONG→LOUIS COLE→砂原良徳→TSHA→ROMY(前半数曲)→To Yo→SAKURA CIRCUS→黒田大介。

宿で朝食食べて少ししてから、とにかくGEZAN with Million Wish Collectiveを観ないわけにはいかないので、妻と急ぎ足でグリーンの最前エリアへ。去年、どんぐりずの次に回数多くフェスで観たGEZAN。フジで観るのは21年のレッドマーキーから2年振り。因みにあの年の、僕にとってのベストアクトだった。今回は彼らにとって特別なステージで、というのもこれをもって「Million Wish Collective融解」。ルーキーでの初登場からグリーンにまでのぼりつめたというストーリーも手伝い、ステージの上も下ものっけから午前中のライブとは思えない熱量の高さだった。が、なんといっても最後の「JUST LOVE」、これに尽きる。“出会ったことに意味があるなら ここで証明しないか?“。そう歌われる通り、そこで全員がそれを証明していた。その曲の途中、スクリーンに映るMillion Wish Collectiveのメンバーひとりひとりが感極まっていて、ギターのタカも泣いていて、マヒトゥも途中で天を見上げたりしながら普段見せない表情で歌っていて、ベースのヤクモアだけは笑顔だったがその笑顔も泣きの反転した希望の笑顔で、それを観ながら僕も妻も泣いた。出会いがあれば別れもある、でも、ならばまた出会える。そんなことを思わせた感動的なライブ。忘れられないものとなった。

汗と涙でぐしゃぐしゃになり、この日は深夜も観たいものがいくつかあるので、GEZANだけ観終えて再び宿へ。お風呂入って昼寝して、16時のWEYES BLOODに間に合うように宿を出た。無理をしないフジロック。

レッドでWEYES BLOOD。優雅で、どこか神秘的。映像効果もあって、宇宙空間を漂うような気持ちよさ、あり。だけど基本的には古き良きアメリカンポップスに根差したシンガー・ソングライターといった感じで、とにかくしっかり曲のよさを味わわせてくれた。とってもいい人そう。

グリーンでALANIS MORISSETTE。観るのは何年振りだか覚えてないくらい久しぶり。前にフジに出たのは22年前の2001年で、土曜のヘッドライナーのニール・ヤングのひとつ前だったが、そのときは別の何かとかぶっていて観なかった。今回の出演者のなかで彼女はベテランに入るほうだが、キャリアをまとめた導入映像のあと、豹がプリントされた黄色いTシャツで飾らずわりと自然体な感じで登場。導入映像のドラマチックさに対して、彼女自身は以前よりリラックスして臨んでいるように感じられた。「All I Really Want」で始まって、世界的に大ヒットしたメジャーでの1st『Jagged Little PIll』の曲を次々と(同作のアニバーサリー・ツアーの流れである故)。ステージを右に左にと動き回って歌うのは昔と変わらず。ハーモニカもよく吹き、昔と同じようにグルグル回転したりも。途中、アラニスのバンドの初期メンバーだった故テイラー・ホーキンスの姿を映して追悼する場面もあり。ヴォーカルマイクの出力がやや弱めだったのは残念だったが、豊かな声量は変わらず。カドはとれてもパワーの衰え全くなし。みんなが待ってた「You Oughta Know」でそれまで座って観ていた人も立ち上がるくらいの熱度となり、最後は思った通りメジャーでの2作目『SUPPOSED FORMER INFATUATION JUNKIE』から「Thank U」を。歌い終えて、昔MステでCoccoが「焼け野が原」を歌って走り去ったみたいにアラニスが走ってステージを去ったとき、なんだか胸がいっぱいになって僕は泣いた(横を見ると妻も泣いていた。ふたりしてよく泣く)。

そのあとホワイトでCAROLINE POLACHEKを観るつもりだったのだが、グリーンからの道が混んでいてなかなか進まず。ヘブンのUAを頭からしっかり観たくもあったので、結局CAROLINE POLACHEKは2~3曲だけで移動。その2~3曲だけでも引き込む力を感じたので、単独来日公演を期待したいです。

ヘブンでUA。自分にとって特別な思い入れのある歌手のひとりだが、特にポップになって再び精力的に活動しだしてからのUAと新バンドの素晴らしさにはやられまくっていて、つい先頃(7月24日)もリキッドルームで観たばかり。

そのリキッドルームとセットリストは同じで、楽曲毎の感想は↑の通りだが、しかしヘブンで観るとなると印象はだいぶ違う。なんといってもUAの曲と歌声は山や木々との親和性が高く、あの場所特有の「気」の巡りがUAの歌をより強くしていた印象だ。わけても「JAPONESIA」などは、この場所で聴いてこそ! の感がものすごくあった。その上、リキッドで1度試しているセトリということもあり、今回はこれが完成形!と言っていいくらいにアンサンブルも何もかもが超ハイクオリティ。久しぶりにUAのライブを観た人も多かったようで、過去曲の大胆なアレンジ変更や現バンドの演奏力と柔軟度に驚いていた人がたくさんいたみたいだが、ほんと、今のUAとバンドの表現クオリティの高さと充実度は並々ならぬものがあるので、もっと多くの人(音楽誌やウェブメディアの編集者とかも)にそれを知ってもらいたいと僕は思う。

オレンジのエリアでしばらく休憩したあと、ヘブンに戻ってCORY WONG。Vilfpeckは未だ来日していないが、その前にソロ名義での来日だ。超絶ギターテクとそのタイム感に、うっひょ~。高速刻みのファンクで満杯の客を沸かせまくり。ファンクとはいえ、泥臭くはなくて、バンド音としてよく整理されていて洗練されているのが特徴的なんですね。それ、バンドメンバーそれぞれの技能の高さも大きいのでしょう。自分的には、長く応援し続けているReiがゲスト出演し、コリーと堂々渡り合っていたことも胸熱。なんか誇らしかった。Reiは7~8年前にインタビューした頃からVilfpeckの影響を語っていたし、昨年のアルバム『QUILT』でもコリーとコラボしていたから、ある意味夢のひとつの実現とも言える今回の共演だったんじゃないかと。よかったね!  Rei。

ホワイトでLOUIS COLE。彼のライブを観るのは4度目だが、去年12月のO-EASTでのライブ内容と基本的には一緒であっても場所がホワイトとなればスケール感も違って見えるものだなと。ホーン・セクションを前回来日時と同じ日本人ミュージシャンたちで固めたのは、彼らとの演奏をLOUISがそれだけ気に入ったことの証で、それが嬉しくもあった。でも彼の引き出しはまだまだ広いだろうから、次に来るときはまったく違う内容のショーを見せてほしい。

このあとはお酒吞みながら砂原良徳→TSHA→ROMY→To Yo→SAKURA CIRCUS→黒田大介と浮かれて楽しんだ。ROMYのDJはThe xxの世界観から想像できないほどに色鮮やかで祝祭感に満ちていて、曲題じゃないがまさしくあなたはあなたの人生をおもいきり楽しみなさいと言ってくれているようで、長くはそこにいなかったのだけどものすごく幸福な気持ちになった(ので、このあたりからお酒をどんどん呑んでしまった)。あと、ルーキーで観たTo Yoのサイケががったグルーブがものすごくクセになるもので、日本語の乗せ方もユニークで、絶対また観たいと思った(フジならヘブンが似合いそう)。注目しよう。

ざっくり振り返るとこの日は女性アーティストの素晴らしさが目立ったな、なんてことも考えつつ、疲れた足を引きずって4時近くに帰宿。

7月30日に観たアクト(感想)

7月30日(日)。観たのは以下の通り。

YARD ACT→BALMING TIGER→JOHN CARROLL KIRBY→NEAL FRANCIS→BLACK MIDI(前半数曲)→BAD HOP→LIZZO→GINGER ROOT→YUNG BAE。

今年、出演者発表時から盛り上がって特に楽しみにしていたのが、SUDAN ARCHIVESともうひとつ、レッドマーキーでのYARD ACT。THE SPECIALSの「Enjoy Yourself」がかかって登場した瞬間に「このセンス、間違いない!」と気持ちがあがった。音源を聴いて好きになったもののライブ映像は見ていなかったので、どんなライブをするのかわからなかったのだが、ヌキの美学を有する音源の印象とはだいぶ違って、思った以上に熱血。パンクでダンスで強力にノセまくるライブバンドだった。わけても口髭ギタリストのブチ切れた演奏が凄まじく、なんとモーターヘッドの曲まで! 期待を大きく上回るよさだったので、このときに発表された12月の単独公演も先頃すぐに申し込みましたよ。

レッドでBALMING TIGER。昨年のODD BRICK FESで観て好きになったので、これも今回すごく楽しみにしていた。前のほうは地元韓国のファンがたくさんいて、メンバーそれぞれのキャラと役割をしっかり理解している人ばかりであることが盛り上がり方ですぐにわかった。フジに出演するのがメンバーにとっての夢だったそうで、ODD BRICK FESのときとはパフォーマンスの本気度が違っていたし(マッドは松葉杖で踊っていた)、客の熱量もまた違っていて凄まじい盛り上がり方だ。バラバラのキャラのよさ、フォーメーションダンスの豊富さと面白さ、ヒップホップの一言で括るにはハミ出すものが多すぎるオルタナティブかつ雑多な音楽性、ヌキの笑いのセンスと全部が最高。そしてライブのこの感じ、僕は前回と同じようにまたstillichimiyaの「やべ~勢いですげー盛り上がる」を思い出さずにいられなかった。

レッドでJOHN CARROLL KIRBY。昨年のFFKTに続いて観るのは2度目。FFKTではソロでユル~くやってる感じがあったが、今回はフルバンドセットで本気出してきた感。なにしろバンドメンバー全員、演奏力がバカ高で、フュージョンバンドの演奏を聴いているよう。だが太っちょのフルート奏者の笑顔と動きのかわいらしさが主役のカービー以上に目を引き、ロック好きにも退屈さを与えないのがいい。そして中盤ではカービーが坂本龍一の戦メリを弾き、そこからバンドの厚みある演奏でYMO「ライディーン」を。そりゃあ盛り上がらないはずがない。実は去年のFFKTでも彼はひとりで「ライディーン」を演奏したのだが、そのときとはやる意味が違う。「坂本さんと高橋さんは天国に行ってしまいましたが、彼らの音楽は永遠に続きます」と日本語でカービー。因みにJ-waveの「RADIO SAKAMOTO」に教授に代わって小山田くんが出たとき、今好きなアーティストだと言ってJOHN CARROLL KIRBYの曲をかけていたこともここで思い出した。繋がってる。

ヘブンでNEAL FRANCIS。中止になった2020年のフジに予定されていた彼の日本初ライブ。赤い衣装で揃えたメンバーたちとのバンドセット。アラン・トゥーサンやリオン・ラッセルに影響されたという記事を読んだが、サイケデリック要素の混入度合いも大きく、その掛け算の仕方が個性的かつ現代的。彼のピアノはもちろん、リズム隊もギターも激熱で、バンドとして凄かった。音源の印象と全然違って、かなり豪快。自分的にちょっと疲れだした時間だったので後方で座って観ていたんだが、今になって前に行ってしっかり音を浴びればよかったと後悔。単独再来日公演、熱望。

ホワイトでBLACK MIDI(前半数曲)。昨年12月にO-EASTで観たのが記憶に新しいが、密室が合うバンドかと思いきや、意外にもホワイトステージのような場所でこそ映えるバンドだったことに少し驚いた。けど、例えばMUSEなんかもそうだったもんな、とか思ったり。客の数も盛り上がりも凄く、やっぱライブハウスで1回観ただけじゃ捉えきれないものだなぁと。

グリーンでBAD HOP。観るのは昨年のPOP YOURSに続いて2度目。解散が発表されているので、自分はこれが最後になるなと、まあまあ前のほうで観た。この日は最初で最後のフジロック出演ということで、キャリア初のバンドセット。メンバーより先にサポートするミュージシャンたちがステージに登場したのだが、これが豪華でRIZEから金子ノブアキ(Dr)とKenKen(B)、the HIATUSからmasasucks(G)と伊澤一葉(Key)の4人。ひとりひとりがスクリーンに映されたとき、KenKenは黒地に白抜きで大きくRIZEとプリントされたTシャツを着用していて、僕はまずそこにグッときてしまった。RIZEが真昼間のホワイトで熱いライブをしてからもう何年も経ち、あれからいろいろあったけどいよいよRIZE再始動のときが近づいていて、来年か再来年かはわからないけどきっとフジに彼らは戻ってくる、グリーンに立つと信じているからだ。KenKenもその思いで今回あそこに立ったに違いないのだ。そんな4人のミュージシャンがそこで鳴らしたのは90年代のオルタナティブロック的な轟音で、BADHOPのラップと理想的とも言える融合を見せていて、昨年のPOP YOURSで観た彼らとは別のグループのようだった。ほんと、あまりの相性のよさに、これでもう何ステージかやればいいのにと思ったほど。ここで初めて自分たちを観る人も多いだろうという配慮から、自分らの育った環境や関係性についてをしっかり語るメンバーたちの言葉はとても心がこもっていて飾りがなくて誠実で、それ故に終盤の「Bayside Dream」や「これ以外」がものすごく心に響いた。いいライブだった。追いかけていたわけでもない自分が言うのもなんだが、今ここで観ることができてよかった。

このあとレッドにFKJを観に行くも、人がテントから溢れていてなかに入れず。いつのまにやら凄い人気者に。僕は18年のTAICOCLUB、19年のサマソニのビーチと2回観ているので、潔く諦め、LIZZOに備えて早々にグリーンへ。

グリーンでLIZZO。3日間で僕も妻も一番楽しみにしていたのがLIZZOだ。最前エリアに早くにスタンバり、始まるまでずいぶん長く待った気がするが、始まってからは息もつかせぬ展開に1時間半があっという間。場面は色彩豊かにクルクル変わり、情報量は多いのだけれどメッセージが一貫しているので全場面が繋がって感じられるという、恐ろしいほどよく練られた構成だった。女性でかためたバンドも最高。特にギタリストはプリンスのように弾く人だったが、それ以外にもプリンス的要素がいろんな場所で顔を出す。LIZZOが何度も歌と言葉と映像で訴えていたセルフラブ及び私は自由のメッセージは、還暦の僕にだって「そう!  そうなんだよ」とビンビン響いてきたくらいだから、ミレニアル世代、ましてやZ世代なら尚更切実に響いたことだろう。演出、照明、構成と全てが練りに練られた一大エンターテインメントショーという意味においては例えば全盛期に観たマイケル・ジャクソンのショーとかにも引けを取らないクオリティで、これを苗場で、フジロックの出し物のひとつとして体感していることが不思議な気持ちにもなったくらいだった。が、そういう昔のエンターテイナーと違って、ファンに話しかけてサインしたりするなどその場での意思疎通を大事にし、あなたも私も違わないというメッセージを体現していたあたりも2020年代的。今までフジロックでいろんなアーティストを観てきたけれど、そのどれとも違う種類の感動を味わったし、四半世紀のフジの歴史のなかでも間違いなくベストいくつかに入る内容だったと思う。2023年のフジは「LIZZOのライブを観た年」として記憶に残るだろう。

というのが観たあとの素直な感想だったのだが、そのほんの数日後にあの辛い報道が。とてつもなく素晴らしいライブを観た直後だけに尚更、信じたくないというのが率直な気持ちだ。が、真実はわからないというのと、その一件についてまだ自分なりに消化できていないので、それについてはここでは書かないでおく。

レッドでGINGER ROOT。音源は聴いていたけど、ライブを観るのは今回初めて。楽しすぎた!!   マネージャー(役)の女性との寸劇など笑いのセンスも最高で、しかもその女性が実は……という驚きのオチにもびっくり。YMOメドレーの仕上がりも見事なもので、「ライディーン」やる人はほかにもいるけど「TIGHTEN UP」や「君に、胸キュン」までやった人はほかにいないからそこでもウヒョ~ってなっちゃった。シティポップなオリジナル楽曲のクオリティもどれも高く、今年一番の大収穫。

レッドでYUNG BAE。まだまだフジは終わんないぞ~~とばかりに煽りまくって盛り上げまくり。僕も最後だぁ~とばかりに跳ねて観てたんだが、さすがに途中で疲れが一気にきて離脱。宿に戻って、帰り支度して、夜中に宿を出て、朝方東京に。よく遊んだ。よく頑張った。

「SEE YOU IN 2024!」。そう簡単にはへたばらない体力を地道につけて、また来年、元気に会いましょう。

おまけ。
今年の自分なりのベストアクトTOP15を選んでみました。

15位: JOHN CARROLL KIRBY
14位: Thoji
13位: NEAL FRANCIS
12位: NxWorries
11位: DANIEL CAESAR
10位: CORY WONG
9位: SUDAN ARCHIVES
8位: ALANIS MORISSETTE
7位: GINGER ROOT
6位: BALMING TIGER
5位: UA
4位: YARD ACT
3位: GEZAN with Million Wish Collctive
2位: YEAH YEAH YEAHS
1位: LIZZO




















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