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#5なぜ「ヒッチハイク」なのか

 改めて、僕はヒッチハイクで日本一周しながら、全国のフリースクールを巡る旅をしている大学生、じゅんじゅんです。
 今日は、どうして僕が数ある旅の手段の中で「ヒッチハイク」を選んだのかということについて書いてみます。

 僕は以前、バックパッカーをしている中で、バングラデシュという国を訪れました。知らない方のために説明しておくと、この国は、日本の4割ほどの面積の中に、世界で8番目に多いと言われている1億6555万人(2019年時点)が暮らしている「世界で最も人口密度が高い国」と言われる国です。少しずつ改善はされてきているようですが、今もなお貧困層は世界で5番目に多いという状況だそうです。

 この貧困な国でのある青年(Aさん)との出会いが、僕が「ヒッチハイク」で旅をしようという決断をしたきっかけになったのです。


 僕はその日、ダッカにある博物館を訪れていました。何が展示してあるのかも、その解説もよくわからないまま見学していた僕に、声をかけてくれたのがAさんでした。Aさんは僕が困っているようだったらすかさず声をかけてくれました。
 そんなこんなで仲良くなって、Aさんはダッカのいろいろなところを案内してくれることになりました。イベントをやっている場所や、モスク、おいしいご飯屋さん等々。いろいろなところに連れて行ってもらいいました。最終的には、「家に泊まりにおいでよ」と。しかも、Aさんのお母さんが作る夕ご飯付き。さらに驚きなのは、Aさんは、かかるお金のすべてを払ってくれるのです。家までの移動費も、ご飯にかかった食費も、次の日にホテルに帰る移動費まで、全てです。本当に至れり尽くせりでした。
 重ねて言いますが、バングラデシュはすごく貧困な国です。自分たちの生活だけでも苦しいはずです。絶対に日本人のほうがお金を持っていると理解しているでしょう。それにも関わらず、ここまでよくしてくれたのです。僕は、今まで感じたことの無いような幸福感感動を感じました。

 Aさんは、案内してくれている中で、こんな話をしてくれました。

「バングラデシュは、日本にたくさん助けてもらっている。だから、そんな日本を見てみたいと、多くの若者が日本に行くことを夢見ている。でも、お金が必要だから、たくさん努力して勉強している。そのうえで、日本語の勉強もしている人もいるよ」

 僕は旅に出たいと思ってわずか半年の準備期間で出発することができました。それに対して、バングラデシュの人が日本に来るのは、一生をかけた長期的な夢なのです。
 実際にAさんの、日本に行きたいという友人達にも会いました。彼らは皆、すごくキラキラした瞳で、日本人である僕を見ていました。そして「会えてうれしい。一緒に写真を撮ってくれないか」と言ってくるのです。この時僕は、

「彼らが日本に来た時に、Aさんが僕に与えてくれたほどの幸福感感動を、僕は彼らに与えることができるのだろうか。長い期間をかけて、たくさん努力して、結果として、日本に来る価値があったと思わせてあげられるのだろうか」

と疑問に思いました。そしてその答えは、今の自分では「ノー」でした。それは、僕自身が日本についてあまりわかっていないし、好きだとも思っていないから。それがすごく悔しかったのを今でも覚えています。

 なので、少しでも日本のことについて理解する努力をしようと決意しました。でも、困ったことに、僕は日本の歴史的建造物などの観光地には興味がありません。興味があるのは、「人」です。少しでも多くの日本の人と関わってみたいと思いました。ですが、方法がなかなか思いつかず、頭を悩ませていました。
 そんな時に、ふと
ヒッチハイクならバングラデシュを旅した時と同じように、「旅人」という立場で人と関わることができるのではないか
と考えたのです。「旅人」という立場のほうがバングラデシュの人たちが日本に来るときの感覚に近い立場でいれると思います。きっと僕は、「旅人」という立場で人と関わる中で「バングラデシュで感じたのと同じような幸福感感動を日本でも感じることができる」ということを確認したかったのだろうと思っています。これが「ヒッチハイク」で旅をしている理由です。


まだまだ旅の途中ですが、「ヒッチハイク」でたくさんの方の親切に触れさせていただいています。今度また、実際にヒッチハイクをしてみて感じたことも書いてみたいと思います。

長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。


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