トルコ猫紀行~たくさんの天使に逢える夏
一般的に、猫の出産シーズンは春・秋と言われています。
猫好きな私は、猫天国と言われる国や地域に旅することが多いですが、そのような場所に夏に訪れると、たくさんの天使たちに逢うことができます。
春先に産まれた子猫たちが、大人猫に混じって街に繰り出してくるからです。
世界屈指の愛猫国・トルコに夏に旅したときも、たくさんの子猫を目にすることができました。
夏のイスタンブール
トルコ最大の都市イスタンブールは、ボスポラス海峡を境に、東のアジア側・西のヨーロッパ側に分かれています。
イスタンブールが「ヨーロッパとアジアの架け橋」と呼ばれる所以です。
多くの観光客が訪れるのはヨーロッパ側の方です。
ヨーロッパ側の中はさらに、金角湾にかかるガラタ橋の北側の新市街と、南側の旧市街とに分かれます。
旧市街には特に、トプカプ宮殿、スルタンアフメット・ジャーミィ(通称ブルーモスク)、アヤソフィアなど、一度は訪れたい観光名所が集中しています。
そして夏場は、ボスポラス海峡や金角湾の眺めが素晴らしい。
晴れ渡った空の元、水面がキラキラと輝き、陸地から天を衝くモスクの尖塔やエキゾチックな街並みが、遥か遠くまで見通せます。
ちなみに冬に訪れたときは、空はどんよりと曇り、海峡には霧がかかって視界不良でした。
よってイスタンブールは、できれば夏に訪れることをお勧めします。
イスタンブールの天使たち
そんな景色の美しいイスタンブールですが、街を歩くときは、なるべく道端や物陰に目を凝らしてみましょう。
するとあちらこちらから、猫が出没するのがわかります。
どの猫も、完全に街の景色に溶け込んでいます。
そして夏場は、春先に誕生した子猫が成長してくる時期。
これら街中の猫たちの中には、子猫や比較的若い猫の姿も多く混じっています。
例えば、上記・猫の写真の1枚目、夜の新市街の猫が出入りしている柵ですが、翌日の昼間同じ場所を通ったら、柵の向こうが小さな空き地になっていることがわかりました。
そして、空き地は数匹の猫たちが縄張りにしているようでした。
この時、柵を越えて1匹の子猫がやってきました。
空き地の猫たちの家族でしょう。
旧市街のスルタンアフメット地区に、かつてのオスマン帝国の居城だった「トプカプ宮殿」が建っています。
立派な宮殿の周りには広大な敷地があり、多くの猫が棲みついています。
そしてここでも目についたのは、かわいい子猫の姿でした。
ただ一つ気になったのは、近くにママらしき猫の姿が見えなかったことでした。
たまたま身を潜めていたか、ちょっと離れただけで、ちゃんと家族一緒ならいいのですが……。
同様にイスタンブールの街中でも、たまに子猫が1匹で行動しているのを見かけました。
やんちゃな子猫が、好奇心にかられて一人冒険に出たのでしょうか?
くれぐれも、家族とはぐれたのではないことを祈ります。
トルコの地方へはバスで……もちろんそこにも猫
トルコはバス大国です。
トルコ全土に、長距離バス路線網が張り巡らされています。
トルコ随一の景勝地カッパドキアへも、イスタンブールから長距離バスで訪れることができます。
所要時間は半日ほどかかりますが、夜行で出発すると、ちょうど朝目覚めるころに現地へ到着することができます。
夜、イスタンブールのバスターミナルを出発して翌朝カッパドキアに到着すると、出迎えてくれたのは1匹の子猫でした。
緑豊かなカッパドキアのバスターミナルの休憩所に、ポツンと1匹でいたところに出逢いました。
あまりのあどけなさと可愛さに、夜行で移動してきた疲れも眠気も、一気に吹き飛んでしまいました。
この子もまた、家族の姿が近くに見えなかったのが少々気になります。
休憩所のスタッフが、面倒を見ているのかもしれません。
カッパドキアではガイドツアーのもと、広大な奇岩が連なる絶景を見渡すことができましたが、後で振り返ると、最も印象に残ったのはやはり休憩所で出逢った子猫でした(笑)。
イスタンブールの近郊、南東へ約140キロのイズニック湖の東側に、イズニックの街があります。
古代ローマ遺跡と、鮮やかなブルーのイズニックタイルで有名な街です。
イスタンブール・タクスィム広場のバスターミナルから、バスで4時間弱で訪れることができます。
イスタンブールから、1泊だけどこかへエクスカーションしよう、と思ったときに最適の訪問地です。
私がイスタンブールからイズニックを訪れたとき、バスは途中休憩所に立ち寄りました。
長距離バスで旅する場合、バスは時折このように休憩タイムを取りながら目的地へ向かいます。
その休憩所のキオスクでのことです。
キオスクに置かれたマガジンラックの中で、1匹の子猫が丸くなって昼寝しているのを発見!
しかも、売り物の新聞を下敷きにして寝ています!
これは日本ではなかなか見られない、レアな光景です。
私が珍しがって子猫の写真を撮っていると、キオスクのお兄さんが子猫を抱き上げて、ポーズを取らせてくれました。
いやあ、トルコの人はおおらかだなあ。
それに、猫にやさしい。
「売り物の新聞を台無しにするなー!」なんて怒ったり、小さなことに目くじらを立てたりしないんですね。
イズニックの街とイズニック湖の畔で
イズニックは人口約2万人の小さな地方都市です。
小規模な街ながら、ビザンチン様式のアヤソフィア教会や、渋いブルーのタイル装飾が目をひくイェシル・ジャーミィなど、多くの歴史的建造物を目にすることができます。
そして、街の中心から西の方角へ歩いて行くと、かすかにさざ波のような音が聞こえてきます。
目の前に現れるのはイズニック湖です。
イズニック湖の畔には、湖のさざ波を聞きながら食事できるレストランが軒を並べています。
湖で獲れた魚を調理して、提供してくれますよ。
私もイズニックに到着したこの日、夕食時は湖の畔のレストランに入ってみました。
湖の向こうに沈みゆく夕日が臨める、屋外レストランです。
すると客席の周りには、周りからわらわらと、猫たちが集まってきました。
もちろん、お目当てはお客のおこぼれです。
外のテーブルで食事していると、食べ物目当てにどこからともなく猫が集まってくる。
猫の街あるあるの光景です。
集まった猫のグループの中には、子猫も含まれていました。
この辺りを縄張りにする、大所帯ファミリーと思われます。
イズニックも、イスタンブール同様たくさんの猫たちに出逢える街です。
宿泊したホテルのオーナーが、
「夜、キッチンに猫たちが入ってくるんだよ」
と言っていました。
飼猫ではなく、外猫が勝手に入ってきてしまうということです。
なんとおおらかで、自由な猫たちでしょう。
やっぱり夏のトルコは最高!
トルコではどこの街でも、たくさんの猫が自由気ままに暮らしています。
街を我が物顔で歩いている……と言っても過言ではないくらい(笑)。
明るく晴天に恵まれた夏場は、特に猫が活発に動き出します。
この春生を受けた子猫も、家族に混じって街に出て、恐る恐る社交界デビューです。
この夏は、絶景と街角のかわいい天使たちを見に、トルコ旅行なんていかがでしょうか?
最後にもう一つ、夏のトルコへ行ったら、伸びるアイス・ドンドゥルマをぜひお試しあれ。
イスタンブールの繁華街や主な観光地では、必ずメイン通りにアイス屋さんが見つかるはずです。
暑いさなかの猫歩きの、貴重なエネルギー源となってくれるでしょう。
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