【11.水曜映画れびゅ~】『すばらしき世界』~これは日本版『ジョーカー』か…?~
現在公開中の『すばらしき世界』は、『ディア・ドクター』(2009)や『永い言い訳』(2016)で知られる西川美和監督作品です。
あらすじ
原作はこちら。
私も鑑賞後に買いました。
名優・役所広司
主人公の三上を演じるのは、役所広司。
説明不要の日本を代表する俳優です。
役所さんといえば『孤狼の血』(2018)でほぼヤクザみたいなアウトロー刑事を演じて、日本アカデミー最優秀主演男優賞を受賞したことが記憶に新しいですが、今回はほんまもんの(元)ヤクザを演じています。
ヤクザと言っても堅気として社会復帰を目指すということで、不器用ながらもなんとか社会に適応しようと努める健気さ、そしてヤクザとしての血の滾りを抑え込もうとする一面など、なんとも言葉にしようがないくらいすばらしい演技でした。
人間の内に秘めた凶暴さや暗さを表現するという点では、同じく西川美和監督作品の『ゆれる』(2006)における香川照之の演技を彷彿とさせます。
これって、ジョーカー?
そんな三上の悲哀に満ちた物語である『すばらしき世界』。
この映画を観て、あるハリウッド映画が私の中で重なりました。
2019年公開の世界的な大ヒット作『ジョーカー』。
アーサー/ジョーカーを演じたホアキン・フェニクッスが米アカデミー賞主演男優賞を受賞したことでも知られますが、この『ジョーカー』のアーサーと『すばらしき世界』の三上が様々な点でとても似ていると私は思ってしまいます。
『ジョーカー』ではアーサーが次第に社会からはみ出されていき、最終的には悪のカリスマへと没落していきました。
その一方で三上はどのような結末を迎えるのでしょうか。
ぜひ、本編でご確認くていただきたいです。
世界的な評価も
シカゴ国際映画祭で観客賞と最優秀演技賞を受賞した『すばらしき世界』。
映画の公式HPでは『パラサイト 半地下の家族』(2019)のポン・ジュノ監督がコメントを寄せています。
カンヌ国際映画祭に出品経験がある西川美和監督に加え役所さんも『バベル』(2006)などで世界に名が知れていることを考えるに、日本のみならず今後の世界的評価も気になってくる一作。
現時点(2020年2月24日)でのRotten Tomatoesの批評は14件中で14件の好意的意見となっています。
前回記事と、次回記事
前回投稿した記事はこちらから!
これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!
次回の記事では、2017年公開の映画"The Florida Project"について語っています。