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【74.水曜映画れびゅ~】"Good Will Hunting"~必要なのは「知」ではなく、「愛」~

"Good Will Hunting"グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちは、1997年公開の映画。『ミルク』(2008)などでも監督を務めたガス・ヴァン・サント監督作で、90年代を代表する傑作です。

あらすじ

※日本語字幕のないトレーラーです。

名門マサチューセッツ工科大学のエリート学生が苦戦する難問をアルバイト清掃員ウィルが簡単に解いた。ウィルの非凡な才能に目をつけた数学教授ランボーは彼の才能を開花させようとするが、素行が悪くて手に負えない。更正させようとセラピストに診せるも適当にあしらわれてしまう。ランボーは最後の手段として友人の心理学者ショーンに彼を診てもらうことに。最初はショーンをからかっていたウィルだったが、ショーンも自分と同じ心に傷を負っていることを知り次第に打ち解けていく……。

BS12土曜洋画劇場より引用

マット・デイモン、ベン・アフレックの出世作!

傑作として名高い本作『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』。

ご存じの方も多いかもしれませんが、この作品の脚本を務めたのは出演者でもあるマット・デイモンベン・アフレック

幼馴染の二人が、5年の月日を重ねて書き上げた、と言われています。

当時無名だった二人にはアカデミー脚本賞が贈られ、一躍トップスターの仲間入り。

授賞の瞬間の興奮した様子は、アカデミー賞の名場面として語り継がれています。

マット・デイモンに至っては、主演男優賞にもノミネート。これをきっかけにその後は、『ボーン』シリーズや『オーシャンズ』シリーズなど人気作に出演。『インビクタス/負けざる者たち』(2009)や『オデッセイ』(2015)への出演でオスカーにも3度ノミネートされ、人気と実力を兼ね備えた大スターになりました。

またベン・アフレックは、その後は俳優業だけでなく監督業も活発に行い、2013年には自身が製作・監督・主演を務めた『アルゴ』(2012)でアカデミー作品賞を受賞し、15年ぶりにオスカーの壇上に立ちました。

また昨年には、本作以来実に24年ぶりに二人が共同脚本を務めた『最後の決闘裁判』(2021)も公開されたのも記憶に新しいですね。

2度観てわかった、物語の本質

そんなマット・デイモンとベン・アフレックの出世作である本作ですが、先々月にNHK総合で放送されており、私も鑑賞しました。

実は本作を観るのは、それで2度目。以前観たのはちょうど一年前でしたが、その時はマット・デイモン演じる主人公ウィルの天才ぶりがかっこよすぎて、その部分ばかりが印象に残っていました。

特に、バーでハーバード生を論破するシーンは最高で、「自分もいっぱい本を読んでこんな風になりてぇ~」なんて思いました(笑)。

ただ今回見返して、自分は全くもって、この映画の本質を見落としていたことに気づかされました。というのもこの映画が核としているのは、そのように、本の中に書かれている上っ面な知識を見せびらかすことではなく、もっと深く必要とされるもの。

それは、「愛」なんですね。

「君に芸術について尋ねれば、これまで読んできた本からの知識をいくらでも教えてくれるだろう。ミケランジェロについてなんて造作もないだろう。彼の作品や批評、政治的趣向までわかっているだろう。でも君は、礼拝堂でどんなにおいをするかは知らない。その場に立って、天井を見上げたことはない。女性について尋ねたら、自分の好みやいくらかの経験談を話してくれるかもしれない。ただ、大好きな人の隣で起きられることがどれだけ幸せかなんて、わかりっこない。戦争論を本でいくら学んだって、君は戦地に立ったことはない。死にゆく戦友を両手で抱えたこともないんだ。」
(中略)
「2か月間、ガンで苦しむ妻の手を握り締めた気持ちなんて君に分かりっこない。面会時間を大目に見てくれてる医師がいることも。自分より大切だと思う人を失う喪失なんてわかりっこないんだ」

劇中の、ロビン・ウィリアムズ演じる心理カウンセラーのショーンのこのセリフが、私の心に強く響きました。

本に書かれている内容が必要ない、なんて言いません。勉強が必要ない、なんて言いません。ただ、もっと大切なものというのは、机の上に向かい続けていても見つかりっこないんですよね。だからこそ、ウィル・ハンティングは、旅立っていくのだと思います。

ボストン訛り

そのように、本作で名言連発をしたロビン・ウィリアムズ。
天才でありながら素行が落ち着かないウィルを、静かに、しかし確実に正しく導いていく包容力のある演技には、アカデミー助演男優賞も納得です。

もともとコメディアン出身の彼の、茶目っ気たっぷりの受賞スピーチも、最高です(笑)。

「天国にいる父に感謝です。僕が俳優になりたいといったとき、『いいじゃないか!ただ念のため溶接工の免許を取っておけよ』と言ってくれました。」

Robin Williams Wins Supporting Actor: 1998 Oscarsより

また、ベン・アフレックの弟でもあり、今やオスカー俳優となったケイシー・アフレックも出演しています。

舞台がボストンということで、もともとボストン出身のマット・デイモンやアフレック兄弟をはじめ、多くの演者が下町ボストンの訛りでしゃべる本作。特にケイシー・アフレックのボストン訛りは、べらんめえ調が半端なく、英語話者でもほとんどわかんないんじゃないかと思われるほどでした(笑)。

そういった部分も、コアな注目ポイントですね。

マット・デイモン×ベンアフレック、次回作も決定!

ということで今回は、マット・デイモンとベン・アフレックの大出世作であり、90年代を代表する傑作映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』をご紹介させていただきました。
皆さんにもぜひ、ご覧になっていただきたい一作です。

また前述した通り、このタッグは昨年『最後の決闘裁判』で24年ぶりにカムバックしました。そして先日、三度この二人がタッグを組み、今度はベン・アフレック監督、マット・デイモン主演で映画が作られることが決まったとの報道がありました!

タイトルは未定ですが、内容としてはNBAのレジェンドであるマイケル・ジョーダンとのタイアップ契約をこぎつけたNIKEの重役たちに焦点を当てたストーリーになるとのこと。公開はまだまだ先になりそうですが、またこの二人の映画が観れるというだけで、楽しみでなりませんね!


前回記事と、次回記事

前回投稿した記事はこちらから!

これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!

来週は、最近の語り草となっている話題作『シン・ウルトラマン』について、私も語ってみようと思います。
お楽しみに!


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