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地域ブランドー「らしさ」を重んじ、ミッションを体現しよう

地域にはない特徴や違いを売り物にしている銘柄(ブランド)の総称を、「地域ブランド」と呼びます。一般的に知られるようになったのは、地域経済の活性化を目的として2006年に商標法が改正され、ご当地グルメやご当地キャラがぞくぞくと生まれてからです。

ところが、どれだけの地域ブランドが本当の地域ブランドなのかを考えたとき、現在の状況は懐疑的に感じざるを得ません。

地域ブランドづくりという名の下に、金太郎飴的な企画やプロダクトが跋扈し、貴重な予算が消化されるだけになっている地域もある。一時期に話題となった地域ブランドムービーも、SNSでバズらせることに終始している。綺麗にデザインされたものはあふれていますが、本当の意味で地域経済や雇用に貢献し、地域を代表するブランドになったものがどれくらいあるでしょうか。

ブランドとは「らしさ」を体験するプロセスである

私が思うのは、地域ブランドとはその地域の「らしさ」を表現すること。もっといえば、ユーザーが地域の「らしさ」を認知し、真の顧客となるまでの一連の体験プロセスのことです。

他にはない顧客体験を提供しているスターバックスなどは、よくブランドのあるべき姿として取り上げられていますね。

「らしさ」とは、意図してそもそも作るものではありません。自分たちの地域にあるものを、ありのままに見せること。恣意的なものは、バレます。あくまでもありのままであることが大事です。

宮崎県新富町には、私が代表を務める地域商社「こゆ財団」を中心に、多様な人材が集まっています。メンバーは当然ながら、出自も性格も経験も多様で異なる。訪れた人も、メンバーを通じてそれぞれに異なる体験をしてくれます。多様性を受容しているこの状態こそが、新富町の「らしさ」であると思います。

「らしさ」を支えるビジョン

しかし、多様であることが「らしさ」であれば、個性的な人が集まる町はどこも同じ。ある種の均一化につながり、本当の意味での「らしさ」ではなくなります。

ここで大切なのが「らしさ」を支えるビジョンです。

新富町は「世界一チャレンジしやすい街」というビジョンを掲げています。多様で個性的なメンバーが集まっているのは、このビジョンに共鳴しているからです。「世界一チャレンジしやすい街」というビジョンは、2年間で1万人の関係人口を創出。最近ではNHK WORLD JAPANでも取り上げられ、世界に発信されるようになりました。新富町の「らしさ」を支えているのは、まさにこのビジョンです。

ビジョンの浸透に不可欠なミッション

ビジョンは、掲げるだけでは浸透しません。大事なのは、組織のトップが楽しみながらそのビジョンを体現していくこと。この体現こそが、ミッションです。「世界一チャレンジしやすい街」をつくるために、こゆ財団は「強い地域経済をつくる」というミッションを掲げています。

組織であればリーダー。町であれば町長。トップはインフルエンサーです。トップが常にミッションに即して行動することで、ビジョンも浸透していきます。

寛容であること

そして最後に「寛容であること」。これが地域ブランドの確立において重要です。

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