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【観光】観光経済とは?③

こんにちは。新小樽少年です。

連載「ドイツの観光学」もおかげさまで続けられています。
今回の記事では、観光には欠かせない交通手段について取り上げます。
航空業界の競争はどのように変化してきたのか、そして航空会社と空港の規模感の関係性ということに触れていきたいと思います。

1.前回の記事

前回の記事では観光経済における「宿泊業」がどのように競争しているのかについて取り上げました。

気になる方はチェックしてみてくださいね!

2.世界航空競争

ドイツの商業的な航空会社は1909年に設立され、1926年ごろに国営のルフトハンザ航空が設立されました。

1970年代に突入すると、アメリカで航空規制が緩和され、民間航空会社の競争が始まりました。キャパシティー、料金といった様々な需要に対応するものの、資金的な問題が重なっていきました。

3.格安航空会社の成功要因

格安航空会社の台頭により、市場に重大な変化をもたらしました。「イージージェット」や「エアー・アジア」などはその1例です。

ではその成功要因とは何なのでしょうか。

・多くの客を収容するために座席を狭くし、ケータリングサービスを有料化
・使用料の安い地方の空港を利用
人件費の低コスト化接客業務の簡素化、長時間フライトによる高生産性
インターネットを介した取引⇒コスト削減

以上が要因として考えられます。
格安航空は市場を大きく変えましたが、それでも世界経済の状勢、価格に敏感な消費者の増加、代替交通の発展などの様々な要因に左右されます。

4.航空会社の競争戦略

①連盟関係の強化
1990年代以降、航空会社は国際的に連盟関係の締結を進めてきました。
この協力関係は法的・経済的には独立を保ちながら、権限を加盟会社同士で分かち合うことを形態です。

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(出所:oneworld「詳細」

2011年時点では「スター・アリアンス」「スカイチーム」「ワンワールド」が国際市場の65%を占めています。

②コンピュータ予約システム
1960年代からコンピューター予約システムが始まり、それは横断的販売網になりました。

これに加えて、事前に需要に応じた収容率と収益を見越した稼働率を把握することで、フレキシブルな価格設定が可能になりました。

海外旅行によく行く方は分かると思いますが、航空券のペーパーレス化も着実に進んでおり、搭乗手続きの簡素化が進んでいます。

③品質戦略
飛行機内の座席にはいくつかグレードが存在します。エコノミークラスはほとんど設備やサービスに違いはありません。ただしビジネスクラスやファーストクラスの予約に関しては質的な勝負になってきます。

例えば、先行搭乗や娯楽設備の充実さや、個別のサービスなどで差別化を図るようなことです。

5.空港の発展

国内・国際航空は増加傾向にあり、大規模国際空港の利用者数は増え続けています。

例えばドイツ・フランクフルト空港では利用者940万人から5300万人に増え、空港では1時間に82機が発着していました。これは空港のキャパシティーが限界に達している状態の一例です。

このような問題に対応するべく、航空の要衝となる空港ではその拡大化が進んでいるということになります。

6.大規模空港化のメリットとデメリット

一見、大規模空港化はメリットが多そうのように思えますが、その裏でデメリットはあるのでしょうか。

大規模空港化することのメリット

目的地別に搭乗者をまとめ、稼働率を上げることができる
 ⇒これに加えてコストも削減可能になる。
 ⇒地方空港が格安航空会社の地点間移動の発着場としての機能を持つ

地域経済の活性化につながる
 ⇒客の流動や物流が何倍にもなり、雇用市場に影響を及ぼす

・航空業界の規制緩和による空港の民営化

大規模空港化のデメリット
・規模拡大に伴う、空港近隣住民との協議
 ⇒騒音問題やその環境変化に関して住民の合意を得る必要がある

騒音問題は近隣住民にとっては明確な問題なのだろう。日本の成田空港には今でさえ、滑走路の一部は私有地という問題がります。成田空港の建設に猛反対しているのです。

7.まとめ

以上のことから空港の需要が増えることで、航空会社の競争も激しくなるということが分かりました。

そしてその需要に追いつくかのように空港自体のサービスやキャパシティーを拡大することで得られる便益も大きいということが分かってきました。

第6節からは大規模空港化にするメリット、ただし地方空港の規模感と存在を前提とし、需要を考えた上で大規模化する妥当性は十分のように思えます。

英国を代表する「英国空港運営公団」は名前の通り、空港を運営している民間団体です。この団体は数年前から免税品や専門店の売り上げが交通関係の売上高を上回っています。ドイツ・フランクフルト空港では免税品の売り上げは全体の27%近くを占めます。これを民間が独占しています。

このように観光経済を考えていくうえで、その要因を考察していくことはとても勉強になります。

新小樽少年


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