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可愛い奴

 いつも行くバーの常連のU君のお話。

 U君はまあなんかいろいろあって、そのバーのバーテンさんと仲違いしちゃってお店に行けなくなっちゃったんです。

 僕は違うお店で会ったりしていてお互いの言い分を聞くとどっちもどっち。しかも2人とも「お店行きたいなあ」「U君元気かなあ」と呟いている始末。しかし「だったら行けばいいじゃんか!」と言うと「いや、俺からはいかないっす」と頑なな態度。まあ、大人だから間に誰かが入るわけでもなくそのままにしといたんです。

 そしたら昨日そのバーにU君の姿が。しかも僕と目が合うとすっごい恥ずかしそうな表情浮かべてて。バーテンも同じ表情でなんだか楽しそう。

 「あら?来ないんじゃなかったの?」とU君に意地悪に言うと「いや。それが彼女がお店行きたいって言うから仕方なく」と恋人のせいにして、全く素直じゃない返答。

 でも可愛いらしいから許そう。男って意地っ張りだからな。俺も気持ちはわかるよ。

 いつものバーに、いつもの笑い声が戻ったいい夜のお話でした。


僕は37歳のサラリーマンです。こらからnoteで小説を投稿していこうと考えています。 小説のテーマは音楽やスポーツや恋愛など様々ですが、自分が育った東京の城南地区(主に東横線や田園都市線沿い) を舞台に、2000年代に青春を過ごした同世代の人達に向けたものを書いていくつもりです。