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トライフルという支援機関で、障がいのある方の生活や就労の支援を行っています。日々の出来…

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トライフルという支援機関で、障がいのある方の生活や就労の支援を行っています。日々の出来事や想いを徒然なるままに書いています。気持ちを楽にして読んでいただけると嬉しいです。

最近の記事

劇場版アニメ「ルックバック」のススメ

 小学3年生の時に、アニメ版「スラムダンク」を初めて観た時の衝撃は今でも忘れない。その後、僕はミニバスを初めて、中学・高校とバスケで青春を過ごすことになった。併せて、当時高校バスケット界で無敵を誇った能代工業の看板選手である「田臥勇太」というスーパースターに憧れ、当時田臥選手のプレーをテレビで観れる貴重な機会であったウインターカップの試合のVTRを、本当に毎日毎日飽きもせずに繰り返し観続けて、少しでも田臥選手に近づきたいと夢見たものだ。NBAもマイケルジョーダンが全盛期でバス

    • ディーセントワーク - いい仕事とは -

       トライフルは、「働くこと」を手段として、自分の人生が充実し、幸せになると思うからこそ、「働く」を支援することに力を入れている。今回は「いい仕事」について、考えてみたい。 いい仕事とは  杉村は、いい仕事の要件について次の10項目を挙げている。※ ①自分にとって意味があること ②真剣で責任感のある態度が求められること ③生活に必要な要件を満たすこと ④他者との共同生活に貢献すること ⑤より良い生き方と重なること ⑥仕事以外の活動との間で均衡の保たれた生活ができること ⑦

      • 「汽車に乗せる」時代から、「自動車を運転する」時代へ

        障がい者にキャリアはは必要ない?  かつて、障がいのある人に「Career(以下キャリア)」の概念の適用がさない時代があった。キャリアの概念が障がいのある人に適用されるようになったのは、1980年代後半になってからだと言われている。これはとても驚きの事実だ。なぜなら、障がいのある人は「保護される対象」であり、「キャリアは必要ない」、という無理解な認識を鮮明に現してしまっているからだ。  一方「キャリア」とは何か?そう問われて答えられない人は、実際多く存在する。まずは「キャ

        • 当事者も支援者も悩みは尽きない。。。

           トライフルは障がいのある成人の方の生活や就労を支援している。支援者としての未熟さはあるものの、熱量だけは高く持つ支援者でありたい、そんなことを考えさせられたエピソードについて書いてみたい。  トライフルで支援をしていると、いろんな相談が舞い込んでくる。  (例)  ・経済的な理由で通院ができず、早く仕事に就きたくても身動きが取れない。  ・離職後の退職金がもらえるのか、失業保険の適応がされるのかわからない。事務手続きのやり方、相談の窓口もわからなくて困っている。  ・自

        劇場版アニメ「ルックバック」のススメ

          労働からの排除、包摂へ

           常識を疑う。常識にとらわれない。そういう視点で障がい者福祉や障がいのある方を取り巻く環境について、考察をしてみたいというのが、今回の試みである。  例えば、税金を使った公的福祉サービスの利用者である障がいのある方が、「高級車に乗りたい」と言っていたとしたら、どんな感情になるだろうか。「いいじゃん」というポジティブな感情を持つ方、「税金を使って贅沢するな」というネガティブな感情を持つ方と、さまざまだと思う。その際大切なことは、「税金を使って贅沢するな」というネガティブな感情

          労働からの排除、包摂へ

          想いだけでは乗り越えられないこともある

           トライフルは、生活や就労を支援する機関である。重度の知的障がいがあって行動問題のある方への対応から、知的な遅れはない発達障がいの方まで、その対応は多岐にわたる。難しい対応に追われ、正直なところ毎日苦しいことも多い。しかし、それと同じくらいおもしろいから不思議だ。なぜか、難しいケースであればあるほど「燃え」てしまうのが私の性分だ。  それが「優れた支援者」というマウントを取りたいという意識ではないことを説明するのは難しい。しかし、現場に立っていると、そのような支援者マウント

          想いだけでは乗り越えられないこともある

          「僕は コーヒーが 飲みたい」

           トライフルは、ASDの方の就労や生活を支援している。今日は彼らとの関わりの中でいくつか、印象に残るエピソードを紹介していきたい。 ①いつもついてない電気がついていて、気持ちが悪い   Aさんは知的障がいのあるASDの男性だ。ある日、入浴時に何かを私に訴えてきた。よく見ると「風呂だき」というボタンを指差している。最初私も「お風呂入ったね、どうぞ」など、応えたりしていた。しかし、何か腑に落ちない表情を浮かべるAさん。よく見ると「風呂だき」のボタンの上の電気がついている。とっ

          「僕は コーヒーが 飲みたい」

          やれることが多いほど幸せ

           就労支援やグループホームでの支援を行う中で共通して感じることは、「やれることが多いほど幸せ」ということだ。これは一見当たり前のようだけれど、これを実践していくことは、意外と難しい。  日々、知的障がいのあるASDの成人の方を支援している中で難しいなと思うのは「やることが見つけられないこと」である。「何をやったらいいかわからない」という状況は、本人にとっても、支援者にとってもつらい。  これは①モチベーションが低いこと、②スキルのバリエーションが少ないこと、どちらも要因と

          やれることが多いほど幸せ

          腹を割り、同じ釜の飯を食い、寝食を共にして、朝から晩まで一緒に働く仲間。

           従来「福祉」というのは「弱者に対して措置するもの」という認識が強い概念であったが、近年はそうではなく、「福祉ニーズのある人」が、「必要に応じて選択して契約に基づき獲得するもの」という概念に変化してきている。いわゆる「措置制度」から「支援費制度」への移行が進んできている。  そういう意味で、「共同生活援助」という言葉は、なかなかいい言葉だなぁと感じている。なぜかというと、共同生活という言葉の中に、「障がいのある人もない人も共同(一緒に)生きることを援助するサービスですよ」、

          腹を割り、同じ釜の飯を食い、寝食を共にして、朝から晩まで一緒に働く仲間。

          障がいを理由に、幸せが制限されることのない場所

           2024年5月7日、神奈川県鎌倉市大船の一角で、障がい者グループホームをオープンした。その名も「L-BASE(エルベース)」。Living(住まい)のBASE(基地)という意味を込めてつけた名前だ。「共同生活援助」という福祉制度を活用した事業で、いわゆる「援助付きの住まい」という位置付けで、「障がいのある方の地域での自立生活を支援する場」である。  障がいのあるお子さんを持つ保護者の方の多くが、「親なき後」に対する不安を抱えている。かつて、障がい者の入所施設はそういった親

          障がいを理由に、幸せが制限されることのない場所