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「僕は コーヒーが 飲みたい」

 トライフルは、ASDの方の就労や生活を支援している。今日は彼らとの関わりの中でいくつか、印象に残るエピソードを紹介していきたい。 ①いつもついてない電気がついていて、気持ちが悪い   Aさんは知的障がいのあるASDの男性だ。ある日、入浴時に何かを私に訴えてきた。よく見ると「風呂だき」というボタンを指差している。最初私も「お風呂入ったね、どうぞ」など、応えたりしていた。しかし、何か腑に落ちない表情を浮かべるAさん。よく見ると「風呂だき」のボタンの上の電気がついている。とっ

    • やれることが多いほど幸せ

       就労支援やグループホームでの支援を行う中で共通して感じることは、「やれることが多いほど幸せ」ということだ。これは一見当たり前のようだけれど、これを実践していくことは、意外と難しい。  日々、知的障がいのあるASDの成人の方を支援している中で難しいなと思うのは「やることが見つけられないこと」である。「何をやったらいいかわからない」という状況は、本人にとっても、支援者にとってもつらい。  これは①モチベーションが低いこと、②スキルのバリエーションが少ないこと、どちらも要因と

      • 腹を割り、同じ釜の飯を食い、寝食を共にして、朝から晩まで一緒に働く仲間。

         従来「福祉」というのは「弱者に対して措置するもの」という認識が強い概念であったが、近年はそうではなく、「福祉ニーズのある人」が、「必要に応じて選択して契約に基づき獲得するもの」という概念に変化してきている。いわゆる「措置制度」から「支援費制度」への移行が進んできている。  そういう意味で、「共同生活援助」という言葉は、なかなかいい言葉だなぁと感じている。なぜかというと、共同生活という言葉の中に、「障がいのある人もない人も共同(一緒に)生きることを援助するサービスですよ」、

        • 障がいを理由に、幸せが制限されることのない場所

           2024年5月7日、神奈川県鎌倉市大船の一角で、障がい者グループホームをオープンした。その名も「L-BASE(エルベース)」。Living(住まい)のBASE(基地)という意味を込めてつけた名前だ。「共同生活援助」という福祉制度を活用した事業で、いわゆる「援助付きの住まい」という位置付けで、「障がいのある方の地域での自立生活を支援する場」である。  障がいのあるお子さんを持つ保護者の方の多くが、「親なき後」に対する不安を抱えている。かつて、障がい者の入所施設はそういった親

        「僕は コーヒーが 飲みたい」