創作大賞2022応募作品 「立てこもり」10・11章
10.9月22日00:20 山下たちは、意外な展開に戸惑っていた。群衆は、明らかにパトカーの音に驚いて後先考えずに入って来たに違いない。罪もない彼らを巻き込んだことに山下は、少し後悔していた。手出しはするなと山口に伝えておいたから、群衆を取り巻いている機動隊員たちは手をこまねいて見ているだけのようだ。それでも、不測の事態が起きることに一抹の不安を覚えていた。先ほど官邸から数十人の人間が出て行ったようだが、まだ相当数の人間が官邸の中にいるようだ。機動隊の説得にも、耳を貸さない