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【全文掲載】インスタントポットを買ったらぜひ読みたい料理本

はじめに

この記事は2018年8月1日に「ククブク」に掲載したものです。

新型コロナウイルスの拡大防止のため、全国で休校措置がとられているいま、出勤前にインスタントポットなどの電気圧力鍋で食材を仕込んだり、お子さんが自分たちで料理をしたりしているご家庭もあるかと思います。

そんなご家庭の料理のアイディアのご参考になればと願い、この記事を再掲いたします。

2018年後半、人気調理機器のcookbookは次のフェイズへ

日本でも、共働き家庭に愛用者が増えているインスタントポット。

朝に材料を放り込んでおけば、夜にはあたたかい料理ができあがっているので、働く女性だけでなく働く男性にもオススメです。

外食はうまいですが、うまいなりにカロリー過多だったりしますからね。

そんなインスタントポットに特化したcookbookというのが、アメリカでは数多く出版されているのですが、その途切れることのない人気ぶりに、cookbookの傾向が次のフェイズに進んでいるようです。

出版業界誌「パブリッシャーズ・ウィークリー」の記事を見ていきたいと思います。

インスタントポットだけでなく、「ヘルシオ ホットクック」などの他のスロークッカーをお使いの方にも参考になる料理本が紹介されていますよ!

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ここ何年もインスタントポットが流行っているが、この圧力調理器に注目したcookbookが出回り始めたのは2017年だ。この年、2冊のインスタントポットのcookbookが年間ベストセラーのトップ10にランクインしている。

年間2位のローレル・ランドルフの『The Instant Pot Electric Pressure Cooker Cookbook: Easy Recipes for Fast & Healthy Meals』と、年間4位のホートン・ミフリン・ハーコート編の『Instant Pot Miracle: From Gourmet to Everyday, 175 Must-Have Recipes』ですね。

昨秋インスタントポットに特化したcookbookをプレヴューしたとき、フェイスブックのインスタントポット公式コミュニティには60万人のメンバーがいた。それから1年弱で、その数は140万人に増大した。ますます増大するトレンドの頂にいつづけようと、出版社はより一般のひとたち向けに特化したインスタントポットのcookbookを発売する。

フェイスブックのコミュニティというのがどういうものなのかよく知りませんが、沖縄県の人口とほぼ同じくらいのひとが参加しているんですね。

国でいうとエストニアぐらい。

来月店頭にならぶ新刊のいくつかは、その特別な調理法に合わせたものばかり。アン・マーの『Instantly French』(セント・マーチンズ、9月発売)もそのひとつ。本のなかで2013年の回想録『Mastering the Art of French Eating』の著者でもあるマーは、カスレからクレームブリュレまで、フランス料理の定番料理をカバーしている。

つい最近ククブクで小説の新刊をご紹介したアン・マー。

彼女が書いたインスタントポットのcookbook『Instantly French!: Classic French Recipes for Your Electric Pressure Cooker』は、アメリカの家庭で受け継がれてきた伝統的なフランス料理に特化しているのがポイントです。

「フランスの家庭料理は、何世紀も文字通りの圧力調理器を使ってきました。そこでは17世紀にはその原型と言えるものが発明されています」と語るのは、セント・マーチンズの上級編集者、マイケル・フラミニ。「インスタントポットの愛好者たちが、ブフ・ブルギニョンやココヴァン、パテ、オニオンスープ、そしてその他のフランス古典料理を愛用のインスタントポットを使って、オーブンを使うよりもほんのちょっとの時間で作ってしまうとアン・マーから聞いたとき、私はその話に乗ったんです。そして他の本もそうなんだと知りました」
テン・スピードが発売を予定するタイトルのなかには、デボラ・シュナイダーの『The Essential Mexican Instant Pot Cookbook』(10月発売)とアーチェイナ・マンドゥの『The Essential Indian Instant Pot Cookbook』(10月発売)がある。

The Essential Mexican Instant Pot Cookbook: Authentic Flavors and Modern Recipes for Your Electric Pressure Cooker』はタコスやブリトー、豆料理など、メキシコの伝統的な料理のレシピが75種類ほど載っています。

そしてその姉妹書『The Essential Indian Instant Pot Cookbook: Authentic Flavors and Modern Recipes for Your Electric Pressure Cooker』のほうも、ラムやチキンを使った料理やベジタブルカレーなど、インド料理のレシピが75種類ほど掲載される予定です。

「手早くできて健康的な家庭料理ができるという保証はあらがいがたいもので、アメリカ中の料理をするひとたちが通販で買えるインスタントポットに恋に落ちました」と語ったのは、テン・スピードの副社長で出版ディレクターのハンナ・ラーヒル。最初のころのcookbookは「まちがいのない」古典的なコンフォートフードのレシピを提案することで消費者の心をとらえていたけれど、インスタントポットへの興味が続いて、さらなる多様性が必要とされたのだ、とラーヒルは指摘する。「いまや人びとはその機械をかなり頻繁に使うので、新鮮なアイディアと正統派の世界のフレーバーを食卓にもたらしたいと考えているんです」と彼女は付言する。

メキシコ料理、インド料理とくれば、すでに「インスタントポットで作る日本料理のcookbook」という出版の需要が存在していると思います。

日本人ですでに先行してインスタントポットを使ったレシピを公開している方には、海外で料理本を出版するビッグチャンスですよね!

ペイジ・ストリートは、マナーリ・シンの『Vegetarian Indian Cooking with Your Instant Pot』とエミリー・サンウェル=ヴィダウリー&ルディ・ヴィダウリーの『Mexican Cooking with Your Instant Pot』をそれぞれ10月と来年1月に発売する。

Vegetarian Indian Cooking With Your Instant Pot: 75 Traditional Recipes That Are Easier, Quicker and Healthier』は、ストリートフードのパオバジや蒸し餃子風のモモなど、野菜中心のインド料理がこれまた75種類ほど掲載。

Mexican Cooking With Your Instant Pot: 80 Flavorful Recipes for Authentic, Gluten-free Meals the Easy Way』のほうはちょっと多い80種類のメキシコ料理が載っていますが、グルテンフリーなのが特徴です。

(2020年4月1日現在、タイトルが『Amazing Mexican Favorites With Your Instant Pot: 80 Tacos, Burritos, Fajitas and Other Flavor-Packed Recipes』に変わっているようです)

同じインドとメキシコですが、テン・スピード・プレスのものに比べてどちらもヘルシー志向なのが大きな違いです。

「私たちは、インスタントポットはあなどれない強敵だと考えてきました」と言うのはペイジ・ストリートの買収兼編集担当マネージャーのマリッサ・ジャンベルーカ。「それは怠惰なひとたちの夢なんです。だって冷凍したものをそのまま調理できるし、鍋のなかで肉に焦げ目をつけることもできる。数分で風味あふれる料理を作れることができ、ほとんど何もしないで済む……。インスタントポットのcookbookのブームは、その機器を使う強い読者層が存在していることを表していて、すぐには静まりそうもないと思っています」
2017年の1月、ペイジ・ストリートはジェニファー・ロビンスの『Paleo Cooking With Your Instant Pot』で2つの料理トレンドに火をつけた。

「なぜか斜め上の空間を眺めている著者のポートレートが表紙」系のcookbookですね。

ジャンベルーカは、その本が「その機器のスゴさは知ってるけれども、まだ特殊な材料で料理するにはナビゲートが必要なひとたちという、市場の穴」を狙ったものだと言う。ロビンスの『Affordable Paleo Cooking with Your Instant Pot』は9月に発売される予定。

1年経ってもまだ同じ空間を見ています。

「ダイエットは続けるのがむずかしい。だから人びとはそれを容易にしてくれるこの機器だけでなく、絶対確実にしてくれるcookbookのことも褒め称えるんです」とジャンベルーカは付言する。時間のないホームクックたちに届くように、ペイジ・ストリートはクリスティ・バーナードの『Cooking from Frozen in Your Instant Pot』を10月に出版する。

Cooking from Frozen in Your Instant Pot: 100 Brilliant, Foolproof Recipes Made Fast With No Thawing』は、冷凍の肉を使ってインスタントポットで料理をしたいんだけど、どうやって切ったり、どれくらいの大きさにしたらいいかわからない!という声にこたえたcookbookとなっているようです。

健康志向のインスタントポット愛好者たちをターゲットにしている出版社もある。ハーヴァード・コモン・プレスはジェイン・ボナッチの『The Gluten-Free Instant Pot Cookbook』(9月)を、ヴィクトリー・ベルトはサラ・デリューによる『Keto Instant Pot』(12月)を発売し、アルファ・ブックスはダナ・アンジェロ・ホワイトの『The Healthy Instant Pot Cookbook』(10月)を出版する。

The Gluten-Free Instant Pot Cookbook: Fast to Fix and Nourishing Recipes for All Kinds of Electric Pressure Cookers』は、朝食からデザートまでのグルテンフリーのレシピが載っていて、グルテン不耐症のひとにはありがたい一冊です。

そして『Keto Instant Pot: 200+ Healthy Low-Carb Recipes for Your Electric Pressure Cooker or Slow Cooker』は、脂質をたくさん採ってタンパク質を少なくするケトジェニックダイエットを実践しているひと向けのcookbook。

最後の『The Healthy Instant Pot Cookbook: 100 great recipes with fewer calories and less fat』は、必要な情報がひと目でわかるグラフィカルなレシピを採用していることが特徴のよう。

アメリカに住んでいるひとたちって、英語が得意なひとたちばかりではないですから、こういう配慮はうれしいはず。

インスタントポットの本は他にもある。メリッサ・クラークの『Comfort in an Instant』(クラークソン・ポッター、10月)もある。平日の夜のパルマ風チキンやマッツァーボールスープといったコンフォートフードに焦点を当てたもので、昨秋発売になった『Dinner in an Instant』の続編だ。

このニューヨーク・タイムズ紙のフードライター、メリッサ・クラークの『Comfort in an Instant: 75 Comfort Food Recipes for Your Pressure Cooker, Multicooker, and InstantPot®』が、今年のインスタントポットcookbookの本命だろうなとにらんでいます。

スターリング・エピキュアは、ヘザー・シュルーターの『The Instant Pot Ultimate Sous Vide Cookbook』(10月)と『The Instant Pot Holiday Cookbook』(10月)を発売する。

Cooking With Your Sous Vide: 100 No-Pressure Recipes for Perfect Meals Every Time』は、インスタントポットを使った真空低温調理のレシピ集。

スティック型の低温調理器を使わなくってもできるんですね。

そして『The Instant Pot Holiday Cookbook: 100 Festive, Foolproof Recipes to Celebrate the Season』は、明らかに感謝祭やクリスマスのホリデーシーズンを狙ったcookbookですね。

以上ざっと見てきましたが、それにしてもインスタントポットだけで、今秋以降にこれだけの数のcookbookが発売されることに驚きです。

生産性のあまりの低さに仕事の効率化が課題となっている日本ですが、効率化が必要なのは料理などの家事もいっしょ。

外食に頼らずともこういう便利な機器を活用しておいしい料理がいただけて、そのうえ自分の時間まで作ることができるなら、インスタントポットに限らずぜひとも活用していくべきだと思います。

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