やな

やながつぼさちか。noteは詩を書く人として。 https://twitter.com…

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やながつぼさちか。noteは詩を書く人として。 https://twitter.com/juni_sachika

最近の記事

【詩】子どもの作文

慰霊碑になんか入るかいや わしら、おやじの墓があるんじゃけ、と おじいちゃんは言いました 慰霊祭なんか、行くかいやの 政治とデモばっかりじゃ、 とも、おじいちゃんは言いました そうして、おじいちゃんはこっそりと 八月六日の朝の暗がり 音も立てずに公園のすみっこの場所に向かいます 原爆が落ちたところが公園でまだよかったね その言葉を聞いてしまって おじいちゃんは、必ず習慣のようにそうします おじいちゃんの友だちの家がかつてはあって (子どもすぎて、見つけようとも思えなかった)

    • 2024年のはじまりに

      2024年のはじまりに…  と言っても、気がつくと1月ももう終わりです。 元旦には能登半島を震源地とした地震と津波、翌日には飛行機事故、更には大規模火災と胸の痛くなるような報道の中で、noteもを開く気になれませんでした。まだまだ大変な日々は続いています。 でもせっかく始めたnote。改めて今年やってみたいことを書いてみようと思います。 1、詩をまとめてみる 本当は詩集をまとめると言えればいいのですが…。 まずは個人詩誌ができればいいなと思っています。こじんまりと準備号

      • 2023年をふりかえる

        2023年、やっとnoteを始めました。詩を巡りどんな一年を送れたのか、ふりかえってみたいと思います。 投稿詩誌『びーぐる』 詩誌『びーぐる』がとても好きでした。特集のひとつひとつが魅力的でした。特に、海外詩が息づいていると感じました。「びーぐるの新人」に選ばれた佐野豊さんの詩も大好きでした。 詩誌投稿は苦手でしたが、『びーぐる』には詩を送りたいと思いました。思い切って送り、そして掲載されたのが「ぞうさんのまち」です。小川三郎さん選、2022年4月発行の55号です。「ぞ

        • 【詩】ぞうさんのまち

          春のまちで ぞうに、「さん」が送られた いっぱいの、花飾りつきのぞう「さん」を 誰よりも 愛しているのは そのまちに生まれたおじさんたちで 日曜日には、駅前広場で循環バスを待っている 口笛を吹けばふいに現れ 長い鼻でおじさんたちの肩をくすぐる かわいい、ぞうさん それぞれのぞうさんたちを肩に乗せ おじさんたちが 気取って行くのはホルモン屋 デイゲーム中継の下は止まり木 飛び交う皿に (それはなんのいきもののなかみ) ぞうさんたちが目をまるくするので おもしろがってコップ酒

        【詩】子どもの作文

          【詩】少年

          どうして 誰も代わりに生きてくれないのか 透明な壜底にこびりついた カラメルをじっと眺めていると 心細さに襲われて 少年は道を進めなくなる だから代わりに悲歌を作っただけなのに ちびた鉛筆の先っぽで 手のひらにことばを印しただけなのに どうして 誰もが仏頂面を示すのか あるいはげらげら自分のことを笑うのか わからなくて 少年は 見えない呟き 聞こえない青 抱きしめることのできない夜の羽撃きに ぼんやりと 塗り潰されるようになってしまった ときおり少年のほそいこころが 道端にし

          【詩】少年

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          やなです。 柳坪幸佳(やながつぼさちか)と言います。 ずいぶん前に詩を書いていた時期がありました。数年前からまた書いています。 それだけのことがずっと言えずにいました。試しにnoteを開設しましたが、真っ白なままでした。 ところがつい先日、ゲストとして詩の座談会でお話する機会をいただきました。準備をし、打ち合わせをしました。詩についてたくさん考えました。自分はどうして詩を書いているのだろう、どうしてやめてしまって、どうしてまた書き始めたのだろうと、ずっと考えました。当日朝

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