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CD、レコード、カセットたちは

都内でのライブがあると行く先々で中古レコード店を覗く。サブスクは便利だとは思うが盤を手に取りクレジットやライナーを読む、という楽しみを省くのは勿体無い。
小学生の頃はまだレコード盤が主流だった。3年生頃からか父親の行きつけのレコード店について行きお店の人に色々質問しながら自分の選んだレコードを買って貰う様になった。誕生日やクリスマスプレゼントはレコードを買って貰うことが多かった。
中学生になった頃から瞬く間にCDへと移行した。
でもCDはLPより手軽に聴ける上かさばらない。
音質の違いも当時は目新しく感じた。
音楽の道へ進むと意識する様になった頃からはほぼCDだった。録音はまだカセットテープを使うことも多かったし車はテープが主流だったからカセットテープでアルバムを買うこともたまにあった。
高校時代、車で仲間たちと好きな音楽を聴いた思い出。
その時期の目まぐるしい日々、まさに青春時代、だったなと今になってしみじみ思う。
中古レコード店でその頃聴いた曲、アルバムを探す。
同じくらいの時代の当時聴いていなかったアーティストや曲、そんなのも探して買うことがある。
その頃の自分に戻る様な感覚もあるが
単にその頃からあまり変わっていないのだ。
リアルタイムに新しい音楽を聴くこともあるが
昔と比べると圧倒的に少ない。10年位前迄はその時いちばん新しいものを知りたいと思う気持ちは強かった。
今ももちろん不意に出逢うこともあるし聴けばやはり良いものは良いのだけど、昔の様に自分から探してはいない。昔は専門誌を読むこともあったが今はほとんど無くなってしまったし、続いている雑誌もどうも楽しめない。中古レコード店で棚を覗き一枚ずつジャケットを観ながら選ぶという方法は街に出てひとりランチを食べる店を探すのにも似ている。食べログ、にあたる情報すら観ないからもっとシビアで良い。
全く知らないアーティスト、作品を買う時は家に帰ってアルバムを聴くまで分からない、が、それが良い。
昔、父にレコードを買ってもらった頃の様な感覚、
がそこにはある。この感覚が廃れたからCDは中々売れなくなってしまったのだろうな、と改めて感じる。
利便性と引き換えにひとつの価値観を失った。
そう感じる感性ごと今の社会から消えた。

スマホの普及と技術的発展は目まぐるしく
多くの人がもうそれ以外に音楽を聴くためのツールを持たなくなってしまった。ソースは皆サブスク。pcにもディスクを入れる場所が無い。
オーディオ機器は場所も取るしそんなことにお金を割ける人たちは経済的にも時間的にも余裕がある人たちなのだろう。ミュージシャンとしては寂しい限りである。それでも僕はアルバムを作り続けると思うけど。もちろん自分自身のために。


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