見出し画像

(本)少食ライフ

身長175cm、体重約58kg。やや細め。

自分の今の身長と体重。
社会人になると9割方の人は太っていきますが、自分は60kg中盤だった体重を社会人1〜2年目にがと落とし、それ以降、50kg台を保っています。
一時期マラソンにのめり込みすぎて、52〜3kgまで落としたことがありましたが、足の疲労感が抜けなかったり・・・今考えても体調としてはあまりよろしくなくだったので、今くらいが脳・体の両面からベストかもしれません。

本書はお医者さん兼youtuberでもある石黒さんが、健康的な生活について知見をまとめたもの。タイトルから、食生活だけを述べていそうですが、生活全般について触れられています。
さすがお医者様、きちんと科学的な根拠に基づいて議論が展開されているのと、理想だけを押し付けないその現実的な視点に好感の持てる一冊です。
(意外と理想だけ押し付けて放置系の本ってありますよね・・・ダイエット本なら、食事量を減らして運動しましょう、頑張れ!みたいな。え、それができないから困ってるんですけど・・・となってしまうような 笑)

自分も少し健康オタク気味なところがあるので、気になったポイントを抜粋です。

たんぱく質をたくさん食べることについて考えさせられるデータをひとつ紹介します。 50 歳以上の6381人を 18 年経過観察したデータで、たんぱく質の摂取量と死亡の関係を見ました[Cell Metab. 2014]。食事カロリーのうち、たんぱく質が 20%以上(高たんぱく群)、 10〜 19%(中程度)、 10%未満(低)の3群に分けて検討すると、 高たんぱく群は低たんぱく群に比べて4・3倍がん死亡リスクが高い という結果でした。

一時期、糖質制限が流行しました。
その際のカロリーの代替先として注目されたのがタンパク質と脂質。
ものの本によっては、意識的にタンパク質を多く摂取することで体の不調が消失するかもよ、とする主張のものもあります。

タンパク質の積極的な摂取についても、科学的な合理性があると考えています。
人間の体の大部分はタンパク質(アミノ酸)から構成されていて、しかも外部から取らなければならないとなると、不足が体の不調に繋がることは想像に難くないかと思います。一方で、気をつけるべきはその量。
石黒さんの本によると、タンパク質を摂りすぎると胃で十分に分解できないまま(ペプチドの状態)腸に送られる→腸で分解される際に、有害な物質が生成されるというのがリスク向上の仮説だとか。焼き肉を食べすぎた時にオナラが臭くなるのはそのせい、との指摘。
健康情報を追っていても、タンパク質の摂取量については諸説あるようで、体重(kg)の1.5〜2.5%(g)は問題ないのでは?とするものもありますし、年齢ごとに区切られた推奨量が提示されている場合もあります。

推奨量として提示されると楽ちんではあるのですが、体の大きさ・活動量・タンパク質の消化能力に個々人に差があることをを考えても、やはり最適解は自分で見つけていく必要があるのかな、というところです。
石黒さんが本書で示してるデータにしても、「じゃあタンパク質を減らそう!」というのではなく、
・極端なタンパク質の過剰摂取は慎むべき
・自分の体調(お通じ、おなら)の状態をよく観察して、自分にとってベストなタンパク質摂取量を見極める
というのがとるべきスタンスかと思います。

❶ 腹八分目で食べる
❷ 加工食品を避ける
❸ 食物繊維・抗酸化物質をとる(=野菜・果物)
❹ 動物性たんぱく質・乳製品は嗜好品だと考える
❺ 水を飲む

で、著者の石黒さんが行き着いた五か条は上の通り。
④以外は類書なり色々なところで言われているところで目新しさはないかもしれませんが、本書では ”なぜか” という背景まで詳しく述べてくれていて、納得しなきゃ動かんぞ、という自分にとっては学びの多い一冊でした。

あと、個人的に本書の着眼点で面白いのは「デトックス」でした。
汗、排泄、感情、呼吸も広く捉えるとデトックスというのが石黒さんの主張の一つ。そういう観点で見ると、サウナや運動がなぜ健康にいいか、深呼吸が大切なのはなぜか、というのも見えてきますよね。
肝臓は体内の毒素の濾過の役割をしていて働き詰め→少食にすることは肝臓を休ませてあげることにも繋がる、というもの納得感のある説明でした。

ちなみに・・・本書で紹介されている内容、江戸時代の貝原益軒という人物も同じことを主張しています。
我々の知っているような細胞レベルのでの知見なり理解がない状態で、「こうすると長生きしそうだ」「体調が良い」というのを経験則で積み重ねて、「養生訓」という書物で残してくれています。
江戸時代含め、歴史上の人物たちが鋭い観察・テストによって得た知見が現代になって証明される、というのも少なくない気がします。
最新の機器を用いて仔細を観察できる能力を持った我々、それがないゆえに自分の内面の観察力が高かった昔の人。
我々ももう少し自分の内面へのセンサーを敏感にする必要があるのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?