頭と視力を良くしたかったらまず外に出る、という暫定解
ある時から、読書が趣味のようになった。
横山光輝の三国志が手垢まみれになるまで読み、美味しんぼも貪るように読んだ。
父親の影響で、司馬遼太郎の小説の登場人物にも大いに心を揺さぶられた。
そういった娯楽的な楽しみ以外の読書の魅力の一つは
「自分の中のこれまでの常識が壊される」
ことではないかと思う。
・教科書の再読やラインマーカー引き
・卵は一日一個まで
例えば、こういった類のものは自分が小さい頃から当たり前のように受け入れてきたが、あまり効果がないこと、もしくは信憑性が疑わしいことが近年の研究で明らかになっている。
もっと教えて欲しかった!と思う一方、並々ならぬ努力と創意工夫でこの事実(研究の成果)に到達した科学者は尊敬に値する。
近年、近視の子が増えていることが問題になっているそうだ。
そう言った類の報道とセットで語られ・大抵悪者にされるのがタブレットやスマホ。スマホの利用時間と近視の子の割合なりを時系列のグラフにして、両方とも右肩上がり。ほら、スマホが原因でしょ、という理論だ。
こう言った誤った、かつそれっぽい議論は枚挙にいとまが無い。
例えば上のスマホと視力の例だと、スマホの利用時間以外の因子の影響が不明なため、スマホが視力に悪い影響を与えているかもしれない、という可能性までしか判断できない。
もしかしたら、生活様式も変化しているため栄養状態が影響してるかもしれないし、体型・体格も変化して、それらが影響している可能性もある。
そう言った多数の要素の影響を受けている可能性もある。
そう言った要素を完全に排除することは極めて困難なのは、想像に難くない。科学はこう言った可能性をひとつずつ潰し、現時点で最も確度の高い可能性を提示してくれるが、それでも100%確かなことは何もないのだ。
で、本書で紹介されているのは、視力に一番影響しているのは「外に出なくなった」ことではないかという仮説。
条件を変えたさまざまな研究を通し、どうやらウルトラバイオレットなる波長の光が視力(と脳の血流)に影響しているのでは?とのことだ。
これも仮説に過ぎないが、坪田先生本人がウルトラバイオレットが発生するライトを用いて生活をしたところ、体感的にも思考力等が高まっているのが確認できたということだ。
といっても、本書の内容は視力を悪化させたくなくば、外出しましょうという小さな枠に囚われたものではなく、もっと大きな視点で、自分の専門外・仕事外にも背極的に興味範囲を拡充していくことが今後ますます重要になります、とう内容である。いち眼科医の先生が、自分の仕事をしながらこれほど広範囲のことを調べ、書籍にまで著していること自体が主張の証左でもあるのかも。
よく言われることですが、好奇心を持って日常生活を送る。
シンプルかつこれ以上ない人生の解の一つなのかもしれませんね。