見出し画像

NHKの番組を見て学歴の格差について思ったこと

#ちきりん  さんのtweet経由で、上の番組を視聴しました。

博士の学位をとった時に、学科長から頂戴した言葉に
ノブレス・オブリージュ
というフランス語がありました。wikipediaを抜粋すると、

日本語で「位高ければ徳高きを要す」を意味し、一般的に財産権力社会的地位の保持には義務が伴うことを指す。

のだそう。自分の位が高いなどとは思っておりませんが、番組を見、いかに自分が恵まれていたか、そして、「普通」の小学校から大学を出て就職というルートを歩んできた人にとっては、なかなか知ることのできない世界がリアルさを持って除くことができた。そんな番組でした。
広島に住む中本さん(ばっちゃん)は保護司。聞きなれない言葉ですが、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える民間のボランティアのことだそう。番組は彼女に密着したもの。
で、ばっちゃんが何をしているか?というと、ボランティアなので制度面での改革を行うというのではなく、「非行は空腹から」との思想のもと、くるものは拒まずで少年・少女たちに温かい手料理を振る舞い続け、話を聞くというのが主な仕事のように見受けられました。
番組中、マコトくんという中学〜高校年代の少年が取り上げられていました。インタビューを見ていても、にこやかな、どこにでもいる少年という印象。特に暴力性も感じられず、インタビューに対しても、言葉を選びながら、自分の内面を見つめながら喋っている姿がありました。
ばっちゃんが気にかけていた彼は両親の再婚により、家での居場所がなくなり(いづらくなり)非行に走り、1年を超える期間、少年院入っていました。
番組を見ていると、びっくりするような、耳を塞ぎたくなるような内容もあります。
・ご飯の炊き方がわからない(高校生になってるにも関わらず)
・タバコの火を顔に押し付けられた
・両親が自分のことを空気のように扱うので暴力を振るった
ネグレクト、DVと言った単語もニュース等で頻繁に聞かれるようになり、少しづつ状況は改善されているのかもしれませんが、それでも児童虐待で命を落としたと言った内容の報道がなさているのが現状。
公的に、そしてNPOなりボランティアなりが協力して対応しているのは理解ですが、子供に何も罪はないはずです。
誰もが裕福な家庭に生まれてほしい、贅沢をしてほしいなんて思いません。
でも、生まれた両親の”ガチャ”により幸せを感じることなく、そしてその後の人生も継続的にしんどい思いをしてしまう。それだけは避けなければと思いました。

もしかしたら変えるべきは普通の大人の認識かもしれない

以前、妻と子供の受験について雑談をしている際、自分と彼女の認識にズレがあって、少し盛り上がり(喧嘩ではなく)ました。彼女は地方ですが進学校を出、東京のそれなりに有名な私大に進学しています。で、話を聞いていると
・受験という制度は平等。
・本人の努力・頑張りでなんとでもなる。
・合格したのは本人が頑張らなかったからで、不合格になったのはそうじゃなかったから。自己責任に尽きる。
という認識だそう。
自分はこの会話の以前にヤングケアラーの本を読んでいたこともあって、その実状について話をしました。

で、多分ですが、大多数の「普通の社会人」は妻と同様な認識を持っているのではないだろうか、と思ったわけです。
進学校に通っているような勉強するに不便のない環境におり、さらに、ある程度両親に金銭的余裕があったり、場合によっては奨学金を借りることのできる状況であれば、その認識にはある程度 真 な部分があると思います。
(と言っても、知能の50%程度は遺伝という話もあるそうで、そもそもペーパーテストだけで合否を判断すること自体に是非があるのですが)

ただ、勉強するのにめちゃくちゃ大変な環境にいたり、勉強したくてもできない環境にいる子供が存在していることも忘れてはいけない。そう思います。
子供なんて素直だから、極端に言えば小さい頃から勉強なんてせずに両親のために尽くせ・働け!という教育を受けてきたら盲目的に従ってしまうでしょう。
で、受験や学歴に関する情報まで遮断されてしまっては、選択肢について思いを馳せる事なく、自分の親の奴隷のような人生を歩んでしまう危険性もある。

さらに厄介なのは、制度を作る側の人間の大半が「普通」の人生を歩んできていることかと思います。
各種調査により実態がある程度把握されているのは理解していますが、現場感を伴った施策がなされること、そして、不幸な人生を歩む子供が一人でも減ること。

自分ができることはなんだろうか。
そんなことが頭をよぎるGW最終日でございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?