(漫画)ガクサン〜ディープな学習参考書の世界へようこそ〜
学習参考書コメディ?という新たな分野の漫画。
予想以上に面白かったのでご紹介。
●あらすじ
主人公は中堅の学習参考書を取り扱う出版社に中途で入社した茅野うるし。
彼女の採用は,同出版社にいるコミュ障で参考書マニアの”福山”のパートナー役(お世話係)を期待されてのこと。
偏屈で変わり者,だけどだれよりも参考書に愛情を持ち,豊富な知識を持つ福山に振り回されながらも成長していく主人公の姿が描かれています。
ラブコメでもなく,学習に特化しているわけでもない絶妙な位置付けですが、楽しみながら学習参考書の世界を知れる好著。実際の参考書が取り上げられているので,学生が情報源としても読めるし,子供の教育を考える大人が読んでも楽しい。
よく思いついたな~という印象です。
●感想的なもの
自分を含め、多くの人にとって学習参考書は「学校の勉強を補うための道具」という位置づけかと思います。すなわち、学校という主軸があって、それの補助的な役割。
自分は進学校に通っていたこともあり,学校での授業・講習がそれなりのボリュームで、一応学校の課題を全部こなしていればそれなりの大学に入れるという体制でした。
文武一道ならぬ文武両道が掲げられていて、いずれかの部活に所属することが必須で時間がなかったこともあり、塾や予備校には通わず,”学校メイン+参考書と問題集”に淡々と取り組むというのがスタイルでした。
運命というには大げさですが,参考書との出会いで一気に理解が進んだという体験も少なくなく
・数学 青チャート
・マドンナ古文
・漆原の物理
・照井の科学
・卜部さんの化学の新研究
・基礎英文問題精講
なんかには非常に助けられました。大げさでなく,これらが無かったら国立大への現役合格ももしかしたら成し遂げられずだったかもしれません。
それくらい,影響を受けた本たちです。
現在はインターネットの教育関連動画のコンテンツも充実し,わざわざ交通費と学費を出して予備校に通わなくても,それらをうまく活用することで成績を伸ばすことができる教材が充実している環境にあります。ただ,このような状況は多くの受験生にとって歓迎すべき環境の変化かと思いますが,反面,情報リテラシーにより,学力格差が拡大することにもつながりかねないな,と考えています。
自分が学生の時のことを考えると,学習の全体像を把握したり,自分が弱い分野を適切に把握して,その対策をとる,というメタの能力って結構個人差が大きい。で,そのメタ認知能力が高い人は自分でどんどんよい教材を見つけて学力が伸びていく一方,そうでないひとは伸び悩む,という構図につながってしまねないなという,ぼんやりとした懸念があります。
親なり友人なりがサポートできればよいのですが,そういう恵まれた環境にいる人ばかりではないですからね。
本書を読んで,もしかしたらそういった格差問題を解決策として「学習参考書」があるのではと思いました。自分にマッチした参考書をどう選ぶか,という問題はついてまわるものの,通塾したり,サブスクリプションにより通信教育を受講したり。そういったものよりはだいぶ低コストですからね。
以前も少し書きましたが,社会人の自分から見ると,受験参考書なんかは内容の濃さ,わかりやすさ,ボリュームとその金額がマッチしていない。ほんとに労力を注ぎ込んで作られた良書が多数あります。自分のレベルとニーズにマッチした参考書を選び出して活用できれば,成績があがることは間違いないと言ってよいかと思います。
学校の先生はやることたくさんなのでこれ以上,仕事を増やすというわけにもいかないと思いますが,参考書に熟達していて,各人にあった選書をしてくれる。そんな仕事ももしかしたら成り立つのかもしれませんね(本書の福山ポジション)。それこそ,書店員さんなり,出版社に努めている人がやるべき?
参考書の参考書のような本もでておるのですが・・最適なところに分配するステムがあると良いですね。
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