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(本)14歳からの読解力教室: 生きる力を身につける

最近、「読解力」について考える機会があり、その際に手に取った一冊。

考えてみると不思議なもの。
ある程度の年齢になれば、基本的な語彙は分かるし、もしわからない単語に遭遇したとしても、辞書なりネットなりで調べれば、意味はわかる。
それであれば、皆、文の意味は理解できるはず。

なのに、実際のところどうでしょうか。
同年代で同様なポジションにいる人でさえ、同じ文章を読んだ時の理解の深さに大きな差が出てしまう。
振り返ってみると、大学生の時に、担当教員の先生と同じ論文を読んでいるにも関わらず、読む速度も違えば、理解の深さも違う。
研究室配属後の最初のゼミで、英語論文を1本読んで概要を説明するというゼミがありましたが、なんとかスライドに和訳した文章を載せてはいくものの、
なぜ?
どういうこと?
と問われるたびに、答えに窮するという状況。
あまりに学生がフリーズしていると、担当の先生が助け舟を出したり、代わりに回答して来れたりするのですが、その立板に水のような喋りに絶望を覚えた記憶が・・・

同じ文章を読んだ時の、人による理解の深浅のばらつきはなぜ生じるのだろうか?きちんと理解して内容を記憶し、さらに深い理解に達するには何が必要なのか?
そんな問題意識を持ちながら本書を読みました。

脳科学なり勉強法なりの書籍を読んだことのある人からすると、既知の内容も多いですが、一つのパッケージとして、

・文章を理解する、というのはどういうことか
・記憶するためのコツは
・よりよく理解・記憶するには

といった、多くの人が知りたいであろう基本的な「型」の部分については一通り触れられており、読後、即実践に移せる内容になっています。
生徒3名と先生との会話形式になっていて、生徒も素朴な質問を先生に対して投げかけてくれるので、読者の理解も進みます。

以下、ポイントです。

・知識はタンス詰まっているわけじゃなく、ネットワークこうzぽうになっている、ネットワークの構造を意識し、一つの知識を仕入れたら自分の頭の中にある別な知識を結びつけることが大事。逆に、繋がりがない情報は思い出せない。

・繋がりのある知識を作るためには、「整理」「意味づけ」が大切。テストでよくやる繰り返しはあまり意味なし。

・単語を例に出すと、「整理」とはグループを考えて意味や品詞などでまとめたり、退避したりすること。「意味づけ」とは、①単語が表す状況をイメージすること、②単語を使ってストーリーを作ること、③語呂合わせなどで意味を持たせること が大事

・読解力向上方略を使う。要するに、読みながら、読んだ後に以下の問いを自分に投げかけて、答えてみる。
明確化:自分の言葉で言い直す、曖昧なものを明確な表現で言い直す
要点把握:大事なところを見つける、流れを図化する
理解チェック:わからないところはどこかを考える、自分がちゃんとわかっているか確認する
構造注目:いくつかのまとまりを作って整理する
知識の活用:関連することで何か知っているかを思い出す、知っている内容を結びつける

・読書に関するメタ認知を鍛えるには、友人に説明、友人からの質問が効果的


昔ながらの認識でいくと、辞書のページを破いて食べた、なんていう笑い話がありますが、どうも知識は一つひとつが”積み重なる”ようなイメージを持ってしまいがちです。そうすると、単純に繰り返したり、手で書いたりして記憶に留めようとしますが、実はこれは非常に効率が悪いやり方なんですね。
今井むつみ先生の著作でも述べられていた通り(知識のドネルケバブ・モデル)ネットワーク、システムとしての知識を意識することが大事、というわけです。

是非、繋がりを意識しながら理解・記憶に励みましょう。

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