宮國英仁 懐メロライブ@拝島ジンハウス 2019.05.22(水)


2019年5月22日(水)
先週に引き続き、拝島ジンハウスへ

この日の宮國さんの歌声は、前回よりも鼻が通って澄んでいて、よく響いた。
ライブのオープニング曲は

井上陽水 傘がない 

僕がこの曲を初めて聴いたのは車中のラジオだったのだが、歌詞に衝撃を受けたのを覚えている。

都会では自殺する若者が増えている
今朝来た新聞の片隅に書いていた
だけども問題は今日の雨 傘がない

という冒頭の歌詞、重たい社会問題を提起しておきながら、わざと突き放してみせるというアプローチでいきなり射抜かれる。
社会問題に対する皮肉なアプローチの仕方がその後の邦楽の歌詞にもいくつか見受けられるのは、この曲の影響によるところも大きいのではないだろうか。

宮國さんバージョンの傘がないも良い。
人それぞれの好みの問題だけれど、声だけで言ったら陽水本人よりも良いかもしれない。
「君のこと以外は考えられなくなる
それはいいことだろう? 」
というフレーズの最後のロングトーンが、切なく、そして力強く響いていた。
ぜひまた聴かせて頂きたい1曲。

その後、前半で計11曲を唄って、休憩を挟んで、
第2部の1曲目 

中島みゆき ファイト

この曲を聴いている時、僕は泣いた。
人前で、堪えようとしても溢れてくる涙が大人になってもあるなんて、自分でも驚きだった。
中島みゆきは好きなアーティストのひとりでもあるのだけれど、誤解を恐れずに言うと、僕は昔この曲のタイトルが嫌いだった。
たぶん根が怠惰な人間であるせいだろう(笑)
応援歌というのがどうも苦手だ。
そんな、ひねくれ者であまのじゃくな僕が、よりによって昔嫌いだと思っていた曲で泣いたのだ。
彼の歌声にはそういう力がある。
そういう力とは具体的にどういう力の事か。
テクニックや声量、声質の良さももちろん充分に持っている人ではあるが、最終的には、「人」がちゃんと声に宿っている、という事だろう。
宮國英仁の歌声の持つ力が、「テクニックで捻じ伏せる」だけのものとは到底思えないからだ。

その後も、ほぼ休みなしに何曲も唄っていて、曲終わりに少し咳き込んだ宮國さん。
手の中に血を吐いたというようなアクションをしてみせる。
「ガハッ!とかいって手を見たら血を吐いてるっていうの、子供の頃憧れたよね。
それと眼帯。
海賊みたいなのじゃなくて、医者からもらったようなヤツ」
「へえ~。そういう一面もあるんですね」と僕が言うと
「昔だよ? 高校生くらいの時の話だよ」
と笑っていた。

そして、前半後半合わせて15曲を唄った頃
「僕のアレがアレなんであと残り2曲にします」
と、宮國さん。
なるほど、アレがアレなんだからしょうがない(笑)

そのようにしてラスト2曲と決めてからの、
・北島三郎 与作
の選曲には、宮國さんの遊び心が表れていた。
与作にぴったりのパーカッションの楽器、ヴィブラスラップ(かーって音がするやつ)を使おうという話になって、僕には荷が重かったので、常連さんにお任せしてしまった。
その、かーっという音を鳴らすことが許されるのは曲中に2回のみ、ここぞというタイミングで鳴らすべし!
とのことだったが、その常連さんは2回とも絶好のタイミングで鳴らしていて、とても楽しい1曲となった。
懐メロには暗い曲も多いが、宮國さんはライブのどこかで必ず「茶目っ気」を入れる。
僕は暗くて重た~い曲も大好きだが、そういうバランスの良い選曲や、彼の無邪気さに、懐メロの持つ切なく暗い雰囲気が中和され、今日も楽しかったな~と帰る事が出来るのだ。

皆さんもぜひ足を運んで、宮國英仁さんの歌声と、店主のおふたりの作る美味しいカクテルをご堪能あれ

ちなみに、店主のおふたりの作るカクテルは「お任せで、こんな感じのが飲みたい」と自分の好みを言うと、ドンピシャの美味しいのが出てくるのでオススメですよ

宮國英仁公式Twitter 

拝島ジンハウス公式HP 


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