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今日一日を新たに生きていく4-1

毎年思うことなのだが、【秋】を感じる前に【冬】を思わせる寒さに辟易する。秋らしい景色を堪能する前に、朝と夜の寒さに嘆いてしまう。それに今年は秋らしいイベントも自粛ばかりで寂しさが季節を冬に一層向かせている。こちらはまだ紅葉も始まってもいない。もう少し先のハロウィンも一体どうなるやら。そんな世間の不安定な状態の中、寒さを堪えながら日々を生きている。

〈前回のあらすじ〉
『貴方の一時間を私にくれませんか?』この一言で俺の将来は大きく変化する事となる。しかし、当時の俺には当初の目論見からどんどん外れて行き苛立ちながらも、どうする事もできないので彼の言葉についていく。
薬で人生がどうにもならなくなり、薬物を止めたい人たちが集まる【自助グループ】。今までの人生の中で出会う事がなかった人々との出会い。溢れる情報量に呑み込まれながらの一時間に関する雑記。

今回は自分の過去の話から少し離れて、今の話をしようと思う。
前回の雑記で出会った、今もなお関わりを持つ【自助グループ】に関する話。どこまで詳しく書けるのか、書いてみないと分からないのだが、頑張って書いてみようと思う。

人生のどん底からの再出発

前回の雑記を読んで頂いたらある程度、お察しいただけるとは思うのだが、俺の人生は一度【どん底】を味わうことになる。
他人と比較してもどうしようも無い話なのだが、きっと俺よりも深く暗い【どん底】を味わった人なんてごまんといるだろう。   
そうと理解はしているのに、なぜ敢えて『人生の【どん底】を味わった』と表現するのだろうか。

その理由はいたってシンプルである。
『薬物を使い続けたことによって人生がどうにもならなくなった』
からである。

薬を使ってその場から逃げ出し、自分の問題と真剣に向き合う事が出来ず、解決のための努力を怠り続け、とうとう逃げ道すらなくなってしまう。
そしてそれでもなお、上手くも使えない薬物を使い、何故使ってしまうんだと嘆くことすらできなくなった時、コレが俺の人生の底なのだと認めざるを得なかった。

『人生のどん底は自分で決める事ができる。そしてその底は自分がさらに掘ってしまうこともある』
そんな事を自助グループに繋がってから仲間に言われた事がある。

詳細は自分の過去を話をする時に書くとして、俺は初めて自助グループに繋がってから、しばらくして今度は自分の足を使ってミーティング会場の扉を開く事となる。
その時点で俺は『人生のどん底』だと心の奥で感じていたのだが、薬が止まることがなく、その底は更に深くなっていくばかりだった。

人生の底だと認めてから数年。残念ながら真っ直ぐに回復の道を歩んでいるとは言えないのだが、先にあった【どん底】からは更に掘り進めるには至っていない。
今でもあの時に感じた【無力感】こそが俺の人生における【どん底】のまま、自助グループにしがみついている。

新たな生き方のための基盤作り

自分の足で自助グループに行き始めてから数年。何度か足が遠のいた事もあるが、基本的には毎日の様にミーティングへ参加している。
今はコロナウイルス感染症の影響で、毎日会場へ足を運ぶということができてはいないのだが、そこはアディクト。どうにかしてしまう。

いや、俺の力で何かしている訳ではなく、他方にいる仲間が力を合わせてオンライン上でミーティングを開いてくれており、俺はそこに参加させてもらっている次第。

今まではどうしても住んでいる場所近郊の会場に足を運ぶしか出来なかった事が、今では遠方の仲間とオンラインを通して繋がり、経験を分かち合う事が出来る。その昔には考えられなかった事が出来る事実に感謝である。

とはいえ、今までのリアルミーティングは、俺の【回復の基盤作り】には不可欠の存在だった。
そして、しばらくは、これからも、恐らくはずっと、ミーティングには足を運び続けるのだろう。

依存症とは医学的にも【完治】することは無いのだそう。
【治る】という概念がない以上、治療は永遠に続ける必要がある。
その【治療】の1つが、この自助グループへの参加である。

再使用や諸々で、基盤が崩れることもある。それでも、自助グループに繋り続け、基盤を築き、強固な物にする。
ある仲間は『ミーティングへの参加は家の建築でいうなら基礎、土台の部分である』と言う。

まずはこの土台をしっかりとしたものにする。その為に自助グループのミーティングへ参加を続けるのである。
そして、家とは土台以外にも、外壁や屋根が必要な様に、自助グループでもミーティングへの参加以外に提供されているものがいくつも存在する。

それらをどう受け取り、使い、手渡していくのか。
それによって回復の【家】の頑丈さが大きく変わる。地震や火災の様な災害・天災などのイベントにも強い、崩れない強固なものにする必要がある。

俺は様々な事を理由に仕立て上げ、無理やり【正当化】して薬を使っていた。その度に思うのが家の基礎となる【土台】が弱かった、もしくは揺らいでしまったのだな、と自助グループに繋がってから思う様になった。

俺の基盤はまだまだ、強固にしなければならない。

自助グループが提供しているもの

自助グループが提供しているものは【ミーティング】だけではない。
各々自助グループによって活動している内容は異なるとは思うのだが、基本的には【ミーティング】の実施と、それを行う為のサービス活動がある。

【自助グループ】という名だけあって、その運営の全てを自分たちで行っている。そのため、自助グループに通い続けていくと、次第に自分が会場を開ける役割を持つ事がある。
繋がって最初は、決まった時間に行くと必ず誰かが会場を開けて待ってくれている状態だったものが、今度は迎え入れる側に回る。

自分たちが回復を続ける為には
『仲間から受け取ったものを、新しく来た人に手渡して行かないと保ち続ける事が出来ない』
と言われている。

会場を開けたり、自助グループの運営の為に会議に参加したり、未だ苦しむ仲間にメッセージを運ぶといった【サービス活動】を通して自身のクリーンと成長が与えられる。

また、自身の回復の経験を、仲間に一対一で伝える【スポンサーシップ】を通して仲間とともに回復を続けるツールも存在する。
そしてこれらは全て無償の活動であり、時間や経験を提供することで、社会の有用な一員を目指していく。

俺自身も自助グループに繋がって数年、沢山のモノが与えられ、可能な限り受け取ったものを仲間にお返しする努力をしている。
とは言っても、自身は数ヶ月前にクリーンをやり直す事になっている。一からのやり直しだ。なので、未だ多くの事々を受け取る立場にあるのだが、その中でも自分に出来る事をコツコツと続けさせてもらっている。

つづく

今は先にも書いたとおり、毎日ミーティング会場に足を運ぶ事は出来ないが、それでも毎日ミーティングに触れる機会が与えられえいる。
そして、少しだけ感染症の状況も落ち着いた?こともあり以前から仲間と計画していた新しい会場を開ける事が出来た。
毎週ではないが、今はその会場を末永く開け続ける事を目標に、その会場に新しい仲間が繋がってくれる事を祈っている。

次回は、自助グループで行われるミーティングの様子を書ける範囲で書こうと思う。当たり前のことながら皆が話す内容の詳細は書けないが、雰囲気が伝わるように努力する。

【狼蓮】



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