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自助グループとオンラインミーティング【つながりが必要な僕たちへ】

はじめに

『この【note】のツールを使って何かをしたい』という漠然としたものの中に、『自分の思い・考えを発信する』事がありました。
そして、note初心者の僕は【#これからの仕事術】というテーマを用いたコンテストを発見しさっそく飛びついた次第です。
しかしながら、正直に言いますと、今回のテーマ・コンテストの趣旨とは少し逸れた内容になってしまいます。可能な限りテーマに沿って駄文を綴ろうとは思いますが、僕が『今だからこそ、書きたい』といった内容ではありますので、ご容赦ください。                 【狼蓮】

COVIT-19が自助グループにもたらした現実

自助グループ】なるものをご存じでしょうか?
英語で言うと【Self help group】という表現になります。
大まかに説明すると【共通の問題を抱えた人々が繋がりを求め自発的に集まり、お互いの経験を分かち合うことで自身の成長・問題解決の一助を見出す】というものです。

世界的にも有名な一例をあげるとアルコールに問題を抱えた人々の集まり【アルコホーリクス・アノニマス(AA)】があります。
所謂アルコール依存症の人々が教会等の会場を借りて、お互いの経験を分かち合う【ミーティング】なるものを行っています。
そして、このミーティングを通して当事者たちは、同じ問題を抱える仲間との共感と平安を得ることで飲まない一日を続けていく、というものです。

こうした自助グループは多岐に渡っており、各依存症(薬物・ギャンブル・共依存・摂食ets…)ごとに団体が存在しています。
※ちなみに、【アノニマス】とは【匿名・無名】を意味しています。参加者は皆、本名を名乗る必要がなく個人を特定する必要がないため、安心してミーティングに参加ができます。
また、依存症だけではなく、うつや各種のガン患者のための団体、またそれぞれの問題を抱える当事者のいる家族のための団体も存在します(団体によってはアノニマスではない場合があります)。

この記事を書いている僕自身も【薬物依存症】という問題を抱えている為、それに関わる自助グループに参加しています。
薬物を使わない一日を過ごすために、ミーティングへの参加は欠かせないもので、大げさに思われるかもしれないですが今の僕にとっては【命に関わる問題】なのです。

ところが、数か月前から世間を騒がせる【COVIT-19】の蔓延・脅威により、【自助グループ】に繋がり続ける必要のある僕たちの生活は変化と対応を余儀なくされました。

4月7日に東京都をはじめとする一部道府県への【緊急事態宣言】発令の少し前から、ミーティング会場として借りていた教会や公民館その他、各種施設がウイルスへの感染と蔓延防止の為に団体利用者への会場の貸し出しを停止する対応を始めました。

【会場を借りたミーティングが行えない】という事

先にも書いた通り、ミーティング会場へ足を運び、仲間と分かち合うことは僕たち(少なくとも僕は)にとって、問題からの解放の為には欠かせないもので、時としてそれは命にも関わります。

毎日行われていた事が出来なくなる不安、それがきっかけで起こりうる依存物質の再使用、依存行為の再開。これらがウイルス感染の恐怖と共に、もしくはそれ以上の恐怖・不安を僕たちは抱えることになります。

毎週同じ時間、同じ場所で行われているはずの会場が借りられなくなり、僕たちの行き場所が日を追うごとに少なくなっていきました。
僕の住む地域も緊急事態宣言に伴い、各会場の貸し出しが停止となり、ミーティングを休止する対応を取ることとなりました。

また、貸し出しが停止になる前から、ミーティングの運営には様々な意見が集まりました。
・会場で万が一感染者が出てしまったらどの様な対応を迫られるのか。
・ミーティングに参加していた誰かが感染した、感染していた場合、匿名で 集まっている僕たちにどのような影響がでてしまうのか?
・感染者が参加していた自助グループがメディアに晒され、活動そのものに 大きな影響をもたらすのではないか。

本来、実際に目の前で起きてもいない事に対して過度な不安を持たないように日々を過ごす僕たちにとっても、様々な不安を持たざるを得ませんでした。ですので、会場の貸し出しが停止になる前に自主的に会場を閉鎖するグループもありました。

少し話はそれますが、この状況が各地で広がり始めたころに、インターネットのニュース記事にこの問題を取り上げる記事がありました。
依存症などの問題を抱える人々の居場所がなくなる危険性を書いた記事で、こういう問題を抱える人々がいる事を知って欲しいという内容でした。

しかし、この記事のコメントのいくつかには
・今はその問題よりも、ウイルスに感染しない・させない事の方が大切だ
・苦しいのはそういう問題を抱えた人々だけではないだろう

・COVIT-19とは関係ない各依存症に対する様々な意見
などがありました。

依存症に対する様々な声はともかく、ウイルスへの感染拡大の恐怖や苦しいのは自助グループに足を運ぶ僕たちだけではない事など僕たち自身が痛いほどよく理解していたのではないでしょうか?
だからこそ、緊急事態宣言が発令される前から仲間たちが様々な話し合いをしてきたのだと思います。

逸れた話が続きますが、また緊急事態宣言が発令されても、会場を貸し続けてくださる所もありました。
     会場が使えない・場所を変える・会場を開け続ける 
様々な選択肢の中で自分たちにできることをやっていくしかありませんでした。僕個人的は、どのグループがどういう選択をしてもよかったと思っています。非難の声はどういう選択をしても起こるものなのだ。この経験により気づくことも沢山あったということです。

オンラインミーティングという新たなつながり

僕が参加している自助グループでは、COVIT-19が広がる以前からSkypeやLineといったツールを使って、遠方の仲間同士で集まり【オンラインミーティング】を行う試みは小規模ながらに行われていました。
会場を借りて行うミーティングでは大概が19時ごろから行われており、仕事や家庭の都合で参加できないという仲間が沢山います。そんな仲間たちが集まりやすい時間にオンラインで行っていた、という所です。

そういった経験のあるメンバーがいた事と、利便性の高い【ZOOM】というツールが注目を集めたことで自助グループの間でも【オンラインミーティング】という手法が急速に広がり始めました。

つまり、それほどに僕たちには【仲間とのつながりが必要だった】という事が言えるのです。

【ZOOM】というツールを特におススメする、という事ではなく、その他のツールでも同じ特徴が挙げられる部分がありますが
・公開されたIDをもとに気軽にアクセス・参加できる
・本名や所属を公開する必要がない
・録画機能等の制御により、ミーティングの内容が外部に漏れにくい
・必ずしも動画で参加する必要がなく音声のみの参加が可能である
これらのメリットが僕たちのミーティング参加への大きな足掛かりになったのではないでしょうか。

そして【オンラインミーティング】の最も大きなメリットは
【遠方の仲間との新たなつながり】
【様々な経験と共感を分かち合えること】

であると言えます。

つながりの広がりがもたらした【成長】

逆に、今までにこういったツールが広がらなかった大きな要因である、セキュリティの問題やアノニミティ(匿名性)の確保に関して、現時点でも不安要素があることも事実です。また、それらの問題が仮にクリアされたとしても、最終的には参加者の良心に委ねる必要があります。

例えば……
・ミーティング参加に用いるデバイス以外の録画・録音ツールを使った撮影
・暴言や共有機能を使った妨害行為
・当事者や周辺関係者(家族等)とは全く関係のない人物の参加
などの問題をミーティング会場のホストとなる人物が把握し、参加者へ配慮のお願いをアナウンスする対応が必要です。
さらに可能な限り、録音機能などを制限し、必要に応じてホスト側で参加者を退出させる対応を取ることも告知しておきます。

少しでも【安心して参加できる】という環境作りは、どういった形式のミーティングでも最も大切なトピックとなります。
ちなみに、僕は一参加者でしかないのですが、今の所こういった問題が発生したという声は届いていません。

今までに経験した事がない人が殆どですので、生活音が聞こえてしまうなどの音声トラブルや動画で参加する際の姿勢(身だしなみの配慮など)といった事に対する意見は多数あったようです。しかし、こういった経験を積み重ねる度にアナウンスに加えるなど、ホスト・参加者に関わらず積極的な改善を繰り返してきました。

様々な生きづらさと問題を抱える僕たちは、自助グループへの参加・活動を通して、沢山の成長と問題解決への気づきの機会が与えられます。そして、つながりが必要である僕たちは【オンラインミーティング】求め、積極的に参加していく過程で沢山の成長の経験が得られているだと僕は感じます。

新たな生活様式の中で【つながり】をどう維持していくのか?

この先、このCOVIT-19が社会生活にどういった影響を与えていくのか?現在でも全く見通しが立たず、予断を許さない状況が続いていると言えるのではないでしょうか。しかし、緊急事態宣言の解除にはじまり、自粛要請が緩和され、段階的に行動範囲が広がり、生活が元に戻りつつあります。
しかしながら、【以前と同じ生活に戻る】というわけにはいかないようです。

【ソーシャルディスタンス】といった聞きなれない言葉や【新しい生活様式】なる定義、考え方の推奨がこれからの社会、僕たちの生活に求められることとなります。

僕が生活する地域では公共施設の利用が可能となり、会場を借りたミーティングを再開させることが可能になりつつあります。しかしながら、会場休止以前と同じようにミーティングを行うことはできない場合が殆どです。

会場に足を運ぶ人の人数に関わらず、元々借りていた部屋が狭い場合、可能な限り広い部屋を借りる対策が必要でしょうし、アルコール消毒液を用意するなどの配慮を行うグループもあります。そして、会場に入れる人数を制限せざるを得ない可能性もあります。

自助グループの性質上、誰が、何時、どこの会場に足を運んでくれるのかを事前に把握することは非常に困難です。
また、自助グループでは、勇気を振り絞って初めて会場に足を運んでくれた仲間を何よりも大切にし、歓迎します。しかし、仮に人数制限を既に超えていた場合、初めて来た仲間を追い返すことが出来るでしょうか?

既に会場を再開させたグループも、これから再開させるグループもこれらの問題に向き合い、よりよい方法を模索しています。そして改善と緩和への取り組みは、これからの僕たちの活動にずっとついてまわるでしょう。

オンラインミーティングを継続させる

一方、会場の再開に伴い、オンラインでのミーティングを終了させたグループもあります。また、ミーティング会場内でオンラインミーティングの設備を整えて一緒に時間を共有する方法もあります。これに関しても、様々な選択肢があり、各グループが最良の選択をしていくのだと思います。

そして、この先も【オンラインミーティング】を継続させることが【新しい生活様式】に対応するための取り組みの1つです。
僕たちにとって、ミーティングに参加することは、食事をとる事、睡眠を取る事と同じです。そして同時に僕たちにとっての【仕事】である、ともいえます。
そう、これがミーティングを必要とする僕たちの【#これからの仕事術】なのです。

先に挙げた、会場再開の為にオンラインミーティングを終了させたグループの中で、曜日と時間を変えてオンラインミーティングの継続を試みた仲間たちがいます。一参加者でしかない僕としては【感謝】の一言に尽きます。

感染症への不安が拭えない中で、自分たちに必要なことを積極的に行う事は勇気がいりますし、忍耐も必要です。そして自分の時間を仲間のために提供するという経験は僕たちが抱える生きづらさからの解放と成長につながっていきます。

しかし、無理をしたり、頑張りすぎたり、自分にできる事以上の事をやりすぎることで、僕たちは簡単に元の問題ある生活に戻ってしまいます。
ですので、何事もほどほどに、無理のない範囲で、仲間と協力していきながら、【新しい生活様式】の中で生活していきたいと願います。

さいごに

書き始める時は、まさかこんな長文になるとは思っていませんでした。書きたいと思った事を殆ど全て書いたらこのような形となってしまいました。ここまで読んで頂き本当にありがとうございます。
この文章、一応はコラムのような形式のつもりで書いたのですが、久しぶりに文章を書いたこともあり、必要な事の的を絞れていない容量を超えたものになってしまいました。これも経験ということで、今後の成長の糧にしたいと思います。

最後になりますが、もしこの本文を読んで頂いた方の中で、何かしらの問題を抱えた当事者の方や、そういった方が周囲にいらっしゃるようでしたら、ぜひ【自助グループ】の存在を伝えてあげて欲しいと思います。
インターネットで、問題のある事柄と【自助グループ】で検索すると該当の物がヒットするかと思われます。

ぜひとも、ミーティング会場へ足を運んで頂きたいのですが、今後の状況次第では、再び会場の利用が出来なくなる場合もあります。ですので、事前に調べていただくことをおすすめします。また、オンラインミーティングを継続して行っている場合もあり、参加方法を公開しているグループもあります。

初めての参加がオンラインミーティングであることは、実際に会場に足を運ぶことよりもはるかに勇気が必要かと思われます。しかし、オンラインであろうがなかろうが、僕たちは初めてミーティングに訪れた方々を何よりも大切にしており、いつでも参加を歓迎してます。

『安心して参加して欲しい』そう伝えて頂けると幸いです。
                              【狼蓮】

※見出しに使用した写真は実際のミーティング会場の雰囲気です。




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