「速く走る」ということ4 〜速歩きのススメ〜

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。最近胃腸炎になってしまい、週明けにようやく復活しました。なのでこちらの更新も再開したいと思います。

今日は短めの話です。

ここ最近、「重心」をテーマに2回ほど記事を書きました。今日もそれにまつわる話です。まだ「速く走る」シリーズを読んでいない方はそちらを読んでから続きを見ていただけると理解が深まると思います。今からお話しすることは、短距離のスプリントでも、長距離のランニング、ジョギングでも使える話です。

さて。皆さんは、歩くのは速い方ですか?それとも遅い方ですか?何でこんな話をし始めたかというと、結論から言えば速く歩ける人は速く走れる可能性があるからです。そして、速く走れるのに速く歩けない人は、もっと速く走れるようになる可能性があるからです。

以前、重心は姿勢で変わる、という話を、ピッチとストライドの観点からお話しました。これを、ちょっと視点を変えてお話しします。人、もっと抽象的に、物体が進む(移動する)、ということを、理科、物理で表すと、どういう表現になるでしょうか?正解は「重心が移動する」です。つまりピッチとストライドがその人にとってちょうど良くて、スプリントタイムが速いというとこは、前方向への重心移動が速い、ということになります。

これまではどうやってピッチとストライドを強化するか、というお話をしていましたが、今回は「どうやったら重心を速く移動するか」という視点でお話します。

より速く重心を移動する。この感覚を養うトレーニングがあります。それは「速歩き」。ただ速く歩くだけです。競歩のような技術ではなく、普段歩いているそのまま速くすれば大丈夫です。

速く歩くことによって、スムーズな重心移動が自然と身につきます。前々回もお話ししましたが、人間は速い動きの中で細かい動きを覚えることは苦手な生き物です。なので、速歩きだと重心の移動を覚えやすいんです。

では速く歩くためにはどうしたらいいでしょうか?やっていただければわかると思いますが、どんどん身体を前に前に、つまり重心を前に前に出さないと速く歩けません。では身体を前に倒せばいいですね!と、ブログを読んでいただいている方は思うでしょうが、実は歩いているときは、走っている時ほど前傾ができないんです。歩いているときは走っている時とは違って、まずスピードが出ないですよね?さらには脚を蹴り上げるわけでもなく、必ずどちらかの足は地面に接地しているので、前傾は難しいんです。

「え?でも身体が前に傾けられますよ??」という方へ。腰が曲がっていませんか?走りに繋げるために速歩きなので、走る時と同じ姿勢で歩かないと意味がないんです。なので、姿勢はなるべく走る時と同じ姿勢で歩くことが重要です。走るように歩く。これが大事です。

さらに速く歩く時には、重心を高くしてみたり、低くしてみたりすると、どのポジションが一番ピッチとストライドが上がったり下がったりするかもわかると思います。ピッチとストライドが自分に一番合った重心位置も見つけやすいと思います。長距離では割と速歩きはメジャーな練習ですが、短距離選手もぜひやってみてほしい、お手軽な練習です。ちなみに私は、家から駅までゆっくり歩いて25分弱かかるのですが、速歩きをすると18分くらいで駅に到着します。リュックを背負って歩くとまあまあいい運動になって、重心の移動も意識できます。そこから横断歩道が赤になりそうな時に小走りするといい感触で走れたりもします。何十分もやらなくていいです。こういう隙間の時間でも取り組めることなので、ぜひ機会を見つけて、生活の中でもやってみてください。

先ほど、競歩じゃなくてもいい、とは言いましたが、競歩にチャレンジできる方はぜひ練習の一環としてトライしてみてください。速歩きに加え、骨盤の使い方、正しい姿勢も学べます。

今回は速歩きについて手短ではありましたがお話ししました。この、重心の移動については、実はすごく奥が深くて、跳躍、投擲でもすごく重要な要素になります。また、小学生や陸上を始めたての選手への指導に関しても、重心の話を知っているかどうかで、その後の成長が大きく左右されます。なのでしばらく重心の話をしつつも、冬季練習の話題にも触れられたらいいなと思っています。

それでは。今年もよろしくお願いします。

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