「速く走る」ということ3 続・重心の話

こんにちは。
仕事納めもして、いよいよ年末ですね。今年は良いトレーニングができたでしょうか?2023年に向けて、新たな抱負は見つかったでしょうか?

今回は、前回の重心の話の続きをします。続き、というより、書き残しがあったので年内に書いてしまって、気持ちよく新年を迎えたいなと。

速く走るということシリーズでは、「全てのトレーニングは、より速いピッチで、より長いストライドで走ることを目指すべき」「人それぞれ最適なピッチとストライドがあって、自分に合ったものを見つけなければいけない」「重心は姿勢によって前後し、前でも後ろでもなく、足を着いた瞬間に重心が足の真上に来るのが理想」というような話を2回にわたってしました。

今日は重心の話の中で、「もう一つの重心位置」についてお話しします。

重心って、前後の他に、ブレる方向があります。どの方向だと思いますか?と問題を出しましたが、前後の他に動くところって、限られていますよね?左右上下です。では、左右と上下で、より走りに影響するのはどっちでしょう?

それは、上下です。今日は上下の話です。そして、ここからは、「上下」、ではなく、「高い」「低い」という話をします。

重心が高い走り。重心が低い走り。聞いたことがある人もいるかもしれません。どちらがいいでしょうか、という話をするならば、走る局面にもよる、というのが正直なところです。なぜ曖昧な説明なのかは後で説明します。

重心が高い走りをしている場合。力を使わずに済む一方、爆発的な力は出ない、というのが一般的です。長距離選手向きの走りです。この重心が高すぎると、地面に伝える力(地面を押す力)が足りずに、努力の割に前には進まない、という現象が起きます。長距離ではあまり感じないかもしれませんが、短距離選手がスプリントを行うときに重心が高すぎると、地面に力が伝わらないから重心を前に持って行って、脚が後ろ回転になりやすいと感じています。これは自分の経験上の話です。なので、重心の高さに関して言えば、高すぎるのはよくない、というくらいに留めておいていただければ良いと思います。

今度は重心が低い走り。先ほど「局面」とお話ししたのですが、特にスタート局面では、重心の低い走りが加速を生むことは聞いたことがあるかもしれません。車でもそうですね。では低い重心で走ることが良いのでしょうか?

実はここにポイントがあります。先に言うと、低すぎる走りはむしろピッチが遅くなってしまうんです。

実は、人間の脚は、膝の角度が100°の時に一番力を発揮するんです。スクワットをしてみるとよくわかります。膝を90°に曲げてスクワットをするのと、少し鈍角にしてスクワットをするときに、どちらが速くできて、どちらが力強くできるでしょうか?多分90°では速さも出なければ、力も出しにくいと思います。

話がごちゃごちゃしてきたのでここで整理します。短距離選手の場合。スタート局面では低い重心で飛び出すことがもちろん有効です。その時、接地した脚の膝の角度が100°に近くなるような走りをすることが理想です。プラス、前回の話を踏まえで姿勢は前方向にします。ここで重心が低すぎると、膝角度が鋭角になり、膝を伸ばすためにより大きな力を使うのでその分ピッチが遅くなります。前傾や重心の低さはやりすぎないように注意です。

そして、徐々に加速の局面、スピードの維持の局面へと進むに従って、重心は少しずつ高くするべきです。前回の話をプラスすれば、姿勢を上げていくべきで、その両方をする必要があります。そうしないと、ストライドは伸ばせてもピッチは上がらずじまいで、結果、速さは失われていきます。なので、重心の高い、低いは局面によって変化するんです。

あとは、前々回、前回の話も踏まえて走りを作りましょう。実はまだ話し足りない話題もあるんですが、ひとまず、最低限ここまで話せれば2022年は良いかなと思います。

ブログも本日で納めます。来年は6日までお休みしますので、お問合せは2023年1月7日(土)以降にお願いします。

今年もお世話になりました。良いお年を。



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