_JUMP_j_BOOKS_note用_呪術廻戦写真

小説版累計10万部突破!!『呪術廻戦』担当編集と、小説版の担当編集にインタビュー!後編

前編に続き、人気が拡大中のマンガ『呪術廻戦』の担当編集片山さんと、小説版の担当編集中本さんのインタビューの続きを掲載いたします!
さっそく続きをどうぞ!

衝撃!北國ばらっど先生には会ったことがない!

ソラ:小説版やマンガの打ち合わせについてですが、どの程度行うのものなのでしょうか?漫画や映画で出てくるような、よく行くファミレスや行きつけの喫茶店なんかもあるのでしょうか?
中本:実は、北國先生には直接お会いしたことはないんですよ…。
片山・ソラ:えっ!?
中本:電話とメールでしかやりとりしていないので。
片山:どこにお住まいなんですか?
中本:かなり遠方にお住まいなので…。
ソラ:では、北國先生とはお会いすることもなく、電話とメールのみで、特に無理や無茶ということもなかったりしたんですね。
中本:直に会って、何かをしないといけない事態というのはなかったですね。小説版はどうしても原作チェックの必要が出てくるので、通常の書籍編集より確認の工程が増えます。なので、できるだけ余裕をもったスケジュールで進行させるため、さっきも言ったように急ぎ足でやっていただくことはありました。
ソラ:なるほど。さっき、第1弾は作家さんも初めてなので時間がかかるとおっしゃっていましたが、第2弾はもっと余裕というか、早く上がってきたというかんじでしょうか。
中本:同じくらいの感覚だっだと思います。プロットは第1弾のときより早かったのですが、原稿はキャラクターの細かい言動まわりの調整が必要になります。第2弾で初めて登場させたキャラクターもいるので、結局そのキャラクターを掴む時間は必要だったと思います。ただ、世界観の再現はさらに磨きがかかっている印象がありましたね。
ソラ:一冊作るとなった時は、大体このくらいかかる、といった見込みを考えていたりするのでしょうか?

中本:タイミングによると思います。原作サイドの忙しさにもよったりするので、制作のスパンは作品によって様々です。今回の『呪術廻戦』のように、企画開始の段階で入念に確認するということもありましたし、プロットや原稿をお渡ししてから、連絡を待つこともあります。
待ちが発生しても、先程話したように小説版は発売時期が重要になるので、発売日がずらせないということもあったりします。
『呪術廻戦 逝く夏と還る秋』は企画の立ち上げから10ヶ月程度というところでしょうか。

小説版の描き下ろしイラストについて

ソラ:芥見先生は、小説版に描き下ろしの挿絵なども描かれておりますが、カバーについてお聞きします。
第1弾のイラストはスタイリッシュなイメージで、第2弾のイラストは厚塗りと、これまでどちらも本編ではあまり見られないカバーとなっており、読者の間でも話題になっています。先生のこだわりなのでしょうか。または小説版の編集である中本さんからのリクエストなどがあるのでしょうか。

jujutsukaisen_yoakeno_正式版

マンガとは違う印象の釘崎が目印の『夜明けのいばら道』
こちらも重版出来!!

中本:はい、リクエストは一応しますね。でも基本的に先生が描きたいものを描いていただければ、と思って発注します。
片山:第2弾のカバーについては、色んな塗り方とか、描画方法を試していた時期があって、その時期にあたるのではと思います。コミックスの8、9巻(同時発売)の時と並行して作業されていた時期ですね。
ソラ:なるほど。それは先生の向上心というか…カラーイラストに対してチャレンジをしていく、っていうそういう表れなのかなと思いました。
片山:今も大変忙しい時期ですが、やはりそういう気持ちは抱いているのかもしれませんね。
ソラ:第1弾のときも指定はあったんでしょうか?

中本:そうですね。カバーイラストは、最初は虎杖と五条二人をメインでお願いしていました。コミックスのカバーが基本は一人しか描かれていないので、小説版では複数人で違うイメージを出せたらなと思ったんです。

片山:中本さんからイメージの依頼書のようなものをもらったんですが、その後で、芥見先生から、ちょっと思いついたイメージがあるから、それでやりたい、と提案をいただいて。
そのイメージは後ほど原画展のコメントでわかるのですが、『スパイダーバース』を観て、それに刺激を受けて描かれた、とのことです。風にたなびく感じを表現したかったと。先生のコメントでは「失敗してる」と書いていましたが…。

中本:服が空気を含んでいる感じがなかなか出なかったとか…。
片山:かっこいいと思うんですけどね。

画像3

『呪術廻戦 逝く夏と還る秋』
スタイリッシュでお洒落と話題になったカバーイラスト

ところで、マンガはどうやって作られていくの?

ソラ:小説版は、立ち上げから、本が出るまで、第1弾は大体10ヶ月くらい、時間を要したとのことでした。マンガの方は、そもそもプロットから作っていくというのは時間がかかるものなのでしょうか?いきなりネームで出てきたり…
片山:いきなりネームですね。連載に関しては、2,3時間くらい打ち合わせして、1日や2日でネームが上がってきます。他の作業もあるので、実際にネームに取り掛かっている時間はもっと短いと思いますが。それを読んで、「ここいいですね!」とか「ここはもう少し分かりやすくできせんか?」など内容に関するやり取りをして、原稿に入っていただく流れですね。
ソラ:なるほど!ちなみにそれは、連載前から、連載開始後まで、基本的には変わらない形なのでしょうか?やり方としては。
片山:そうですね、ネームで連絡がきて、それを基に打ち合せをするというのは変わらないですね。こんな感じで

(iPadでネームを見せてくれる)

ソラ:うわ~!これ、芥見先生はフルデジタルで描いてらっしゃるんですか?
片山:アナログ作業はネームまでです。ネームはB4のコピー用紙を半分に折って、ペンで描いています。
原稿作業は、先生はフルデジタルで、アシスタントの方はデジタルとアナログに分かれています。主にアナログに書かれているのは背景部分ですね。実際に仕事場にいるスタッフがいて、そのうち一名はデジタルで、遠隔の方(仕事場ではなく、自宅にてデータのやり取りで作業をする方)が他にもいます。
…だからハイブリッドって感じですね。スタッフが描いたものをスキャン、トリミングして、デジタル上で配置していますね。
ソラ:ほえ~~!なるほど!面白いですね!
やっぱり週刊だと、また流れが全然違いますね。小説版を一冊作るのと、週刊で毎週原稿上げるのだと。単純に比較できるわけではないですが、同じ紙の出版物でも、流れから方法論から全くちがうというか。

あの独特な世界観の源泉は…?

ソラ:しかし、あの独特な世界観で展開される物語を毎週毎週描いていくっていうのは、相当タフな作業なんじゃないかと思うのですが…。キャラクターもどんどん出てきますし。先生のアイデアというか、独特なマンガの空気感みたいなものは当初からありましたよね。

片山:『呪術廻戦』は、冨樫義博先生の影響が垣間見えると言われますが、以前、創作の初期衝動としては、久保帯人先生の「BLEACH」にすごく影響を受けたと聞いたことがあります。
先生の職場には、すごい量のマンガがあるんですよ。またマンガだけではなく、映画、小説、連ドラ…日本だけじゃなく海外のものも見ています。そうした中で、ジャンプ漫画、というのはひときわの愛着があるんだろうと思います。だから、画風や作風というのは色々な所から影響を受けていると思います。
中本:そういう部分はマンガを読んでいるとよく分かる気がします。また、そうしたものを自分の持ち味に消化してアウトプットされているなと思います。
ソラ:小説版のコメントにはこんな風に…

呪術廻戦_芥見先生コメント

片山:ご本人は謙遜してそんなふうに言いますけど…創作って、自身が影響を受けたものを、いかに自分のフィルターを通してアウトプットできるかだと思いますので。

マンガの現在・今後の展開

ソラ:マンガの連載は渋谷を舞台に、規模の大きい戦いが始まろうとしていますね。

片山:今後のマンガの展開は、呪術廻戦が前々からやろうと思っていた、一つの山場であり、今まで出てきたキャラクター、重ねてきた事柄が大爆発する!というパートになっているので、今から読み始める人は丁度いいと思います!

確実に面白いので、読んでいる方はお楽しみに!読んでない方はぜひ今のうちに追いついて欲しいです!

小説版に対して本編は、週刊で掲載しているので…言ってしまうと、削ぎ落として、研ぎ澄まされた必要な内容しか載せられない面があるんですね。それは、縦軸…ストーリーの流れだったり、本当に見せなければいけない主人公側のキャラクター描写などです。

そういった中で、このキャラをもっと知りたい、京都校ってどうなっていたんだろうとか、そういう欲求を満たしてくれるのが小説版だと思います。

月並みな言い方になりますが、本編では描かれなかった、キャラクターの掛け合い、キャラの新しい一面も楽しめますし、話題にも上がった真人のエピソードなど、小説版でしか読めないものも沢山あるので、ぜひ合わせて読んでほしいと思います!

中本:全部言ってくださいました…笑。
小説版も、本編と合わせて読んでみてください!それから補足で、小説版は第2弾まで刊行されていますが、独立した内容の短編集なので、どちらから読んでも大丈夫です。

片山:あと、アニメにも期待していてください!僕自身も楽しみです!

ソラ:今日はお二人のお話が面白くて、「なるほど」を言ってるだけのおっさんになってました!ありがとうございました!


『呪術廻戦』は週刊少年ジャンプで大人気連載中!!

小説『呪術廻戦 逝く夏と還る秋』『呪術廻戦 夜明けのいばら道』ともに大好評発売中!!