【数学】接線の方程式・増減・極値
こんにちは。Junです。
前回までは、微分積分の概要について説明してきましたが、ここからは、微分の応用について書いていきたいと思います。
なお、練習問題がいくつかありますが、(数III)と書かれた問題は、数学IIIまでの知識が必要なので、数学IIBまでの方は、興味があれば解いてみてください。
⒈ 微分が表しているもの
でも触れましたが、
$${y=f(x)}$$の導関数$${\frac{dy}{dx}=f'(x)}$$は、$${y=f(x)}$$の各$${x}$$における傾きを表しています。
このことを利用して、様々なことに応用されています。
⒉ 接線の方程式
例題
関数$${f(x)=x^2}$$の$${(x, y) = (2, 4)}$$における接線の方程式を求めようと思います。
状況は以下のようになっています。
まず、接線の傾きは$${f(x)=x^2}$$の$${x=2}$$における微分係数なので、
$$
f'(x)=2x
$$
より、
$$
f'(2)=2\cdot2=4
$$
これより、接線の方程式は、
$$
y-4=f'(2)(x-2)=4(x-2)
$$
$$
y=4x-4
$$
と求まります。
接線の方程式の求め方
一般化すると、
関数$${y=f(x)}$$の$${(x, y) = (a, f(a))}$$における接線の方程式は、
$$
y=f'(a)(x-a)+f(a)
$$
と表されます。
練習問題1
関数$${f(x) = 2x^2-1}$$の、点$${(1, 1)}$$における接線の方程式を求めなさい。
練習問題2
関数$${f(x)=-x^2+2}$$の、点$${(-2, 3)}$$を通る接線の方程式を求めなさい。
練習問題2のヒント:$${(-2, 3)}$$は関数$${f(x)}$$上の点ですか?
練習問題3(数III)
関数$${f(x)=e^x}$$の、$${(1, e)}$$における接線の方程式を求めなさい。
⒊ 増減・凹凸(数III)・極値
今から、$${y=2x^3-15x^2+36x+2}$$のグラフを描きたいのですが、そのためには、値の増加・減少を調べる必要があります。
増加・減少・増減表
関数$${y=f(x)}$$の増加・減少を調べるためには、この関数の導関数$${\frac{dy}{dx}=f'(x)}$$の符号を調べる必要があります。
実際に$${y=2x^3-15x^2+36x+2}$$を$${x}$$で微分してみると、
$$
y'=6x^2-30x+36=6(x^2-5x+6)=6(x-2)(x-3)
$$
このグラフを描いてみると、
となり、$${x<2, x>3}$$の区間で$${y'>0}$$,$${2<x<3}$$の区間で$${y'<0}$となっています。
$${y'=f'(x)>0}$$の時、これはすなわち傾きが正の値であるということ。
$${x<2, x>3}$$の区間の傾きが正ということは、関数$${f(x)}$$はこの区間で増加しているということになります。
反対に、$${y'=f'(x)<0}$$の時、これはすなわち傾きが負の値であるということ。
$${2<x<3}$$の区間の傾きが負ということは、関数$${f(x)}$$はこの区間で減少しているということになります。
$${y'=f'(x)=0}$$の時は、傾きが0ということなので、一瞬平らになっているということです。
このことを踏まえて、以下のような表を書きます。
この表を増減表と言います。
極値
この増減表を見てみると、$${y'=0}$$となるところの前後で増加と減少が入れ替わっていることがわかります。
この値のことを極値といい、
そのうち増加から減少に変わっている値を極大値、減少から増加に変わっている部分を極小値と言います。
これらと、$${(0, 2)}$$を通ることを踏まえた上で、$${y=2x^3-15x^2+36x+2}$$のグラフを描くと、以下のようになります。
となります。
極値を持つ条件
関数$${y=f(x)}$$を連続かつ、各点で微分可能であるとします。
この時、$${y=f(x)}$$が$${x=a}$$で極値をもつ$${\Rightarrow f'(a)=0}$$が成り立ちます。
しかし、$${f'(a)=0}$$であるからと言って、$${y=f(x)}$$が$${x=a}$$で極値をもつとは限りません。
例えば、$${f(x)=x^3}$$を微分すると、$${f'(x)=3x^2}$$となり、
となるので、増減表を書くと、
となります。
$${f'(x)=0}$$となる$${x=0}$$の前後をみてみると、増加して一瞬平らになった後、再び増加しています。
この部分は極値とは言わないので気をつけてください。
では、以上を踏まえた上でいくつか問題をやってみましょう。
練習問題1
関数$${f(x)=-2x^3-3x^2+12x-1}$$の増減・極値を求め、グラフの概形を描きなさい。
練習問題2
関数$${f(x)=x^3+ax+1}$$が、$${x=5}$$で極値を持つ時、実数$${a}$$の値を定めなさい。
練習問題2の注意:
$${a}$$の値を求めた後、本当にその時$${x=5}$$で極値を持つかどうかの確認が必要です。
凹凸・変曲点・漸近線(数III)
ここから先は数学IIIまで必要な方に向けた内容なので、数学IIBまでの方は興味がある方のみ見てください。
関数のグラフを描くとき、増減だけでなく、凹凸も調べる必要がある場合があります。
ここで、$${y=f(x)}$$の導関数$${f'(x)}$$をもう一度微分した$${f''(x)}$$を考えます。
例えば、$${y=xe^{-x}}$$のグラフを描くとき、
まず、$${y'}$$を求めると、
$$
y'=e^{-x}-xe^{-x}=(1-x)e^{-x}
$$
となり、符号が関係する$${y=1-x}$$のグラフを描くと
となります。
関数$${y=xe^{-x}}$$は、$${x<1}$$の区間で増加し、$${x>1}$$の区間で減少しています。
次に、これを更に微分すると、
$$
y''=(1-x)'e^{-x}+(1-x)(e^{-x})'=-e^{-x}-(1-x)e^{-x}=(x-2)e^{-x}
$$
(この関数を2階導関数または第2次導関数と言います。)
となり、符号が関係する$${y=x-2}$$のグラフを描くと
となります。
そうすると、関数$${y'=(1-x)e^{-x}}$$は、$${x<2}$$の区間で減少し、$${x>2}$$の区間で増加しています。
ここで$${y'=(1-x)e^{-x}}$$は$${y=xe^{-x}}$$を微分してできた導関数、つまり、$${y=xe^{-x}}$$の傾きを表しています。
すなわち、この傾きが$${x<2}$$の区間で減少し、$${x>2}$$の区間で増加しているということになります。
傾きが増加しているということは、以下のような状態を表しています。
つまり、下に凸であるということです。
逆に、傾きが減少しているということは、以下のような状態を表しています。
つまり、上に凸であるということです。
すなわち、関数$${y=xe^{-x}}$$は、$${x<2}$$の区間で上に凸、$${x>2}$$の区間で下に凸となっていることがわかります。
以上のことを踏まえて、増減凹凸表を以下のように書きます。
$${y''=0}$$となるところの前後で凹凸が入れ替わっています。この点のことを変曲点と言います。
そして、このグラフを描くためにはもう一つ考慮することがあります。
それは、$${x \to \infty}$$、$${x \to -\infty}$$の時の、$${y}$$の極限です。
ここで、$${x\to\infty}$$の時、$${x}$$も$${e^x}$$も$${\infty}$$となりますが、$${x}$$よりも$${e^x}$$の方が発散する勢いが強いので、
$$
\lim_{x \to \infty}y=\lim_{x \to \infty}xe^{-x}=\lim_{x \to \infty}\frac{x}{e^x}=0
$$
となり、$${x}$$の値を限りなく大きくしていくと関数$${y}$$は0に収束します。
このように、限りなく近づいていく直線のことを漸近線と言います。
今回の漸近線は$${x}$$軸($${x>0}$$)です。
また、$${x \to -\infty}$$の時は、
$$
\lim_{x \to -\infty}y=\lim_{x \to -\infty}xe^{-x}=(-\infty)\times\infty=-\infty
$$
となり、限りなく小さくなっていきます。
これらを踏まえて$${y=xe^{-x}}$$のグラフを描くと、以下のようになります。
では、いくつか問題をやってみましょう。
練習問題3
$${y=e^x\sin x (-\pi\le x \le \pi)}$$の増減・凹凸・極値・変曲点を調べ、グラフの概形を描きなさい。
練習問題4
$${y=x-1+\frac{1}{x-1}}$$の増減・凹凸・極値・変曲点・漸近線を調べ、グラフの概形を描きなさい。
練習問題4のヒント:
$${y-(x-1)}$$の$${x \to \infty}$$と$${x \to -\infty}$$、$${x \to 1+0}$$、$${x \to 1-0}$$の極限を考えてみてください。
まとめ
今回は微分の応用についてまとめました。
微分が関数の傾きを表していることを利用すれば、3次以上の多項式関数や、複雑な関数のグラフを描くことができます。
この辺は、大学入試でもよく出題され、大学に入った後でもよく扱う部分なのでしっかり押さえておいてください。
次回は、逆関数と媒介変数表示およびその微分について書く予定です。
#数学がすき #数学 #微分積分 #微積 #微分 #応用 #接線 #増減表 #極値 #極大値 #極小値 #増減凹凸表 #凹凸 #変曲点 #漸近線 #グラフ #mathematics #calculus #differentiation #tangent #extreme #roughness #graph
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?