おじいちゃんと映画
今日は昨日までと比べて、かなり体が軽い。
でも、熱中症のダメージがまだ残ってるので油断しないよう気を付けないと。
何かを集中して出来るようになってきたので、アマゾンプライムで映画を観た。
石坂浩二主演の金田一耕助シリーズの映画「獄門島」を。
獄門島は小学校の時に母方のおじいちゃんとビデオで観た。
物語の冒頭、松葉づえを突いた復員兵に金田一が道を尋ねるシーンがある。
この復員兵、事件のきっかけになる復員詐欺を働いていた。
復員詐欺とは戦地に赴いた夫や子供の帰りを待つ故郷の家族の元に赴いて、
「あなたのご主人or息子さんは間もなく帰ってきます」
と、伝える。実際に生きている場合はほとんどないらしい。
正式な戦死通知が来る前に家族に伝え、嘘と知らない家族はわざわざ伝えに来てくれたお礼にと出せる限りのご馳走を出してお礼をする。
家族の中には帰り際にお土産として食料やお金を渡す人もいたらしい。
小学生の時に観た時、戦後まもなく皆が困ってる中、こんな詐欺をする人は酷いと、おじいちゃんに言うと、
「確かにこんなこと、やっちゃなんねえ。でも、この時代は今日どうやって生き延びるか。って、時代だった。じいちゃんはこの人を責めらんねえ」
おじいちゃんは画面を観たまま言った。
おじいちゃんも戦争に行った人だ。
戦地で何があったか。おじいちゃんはおばあちゃんに一度だけ話して、その後は誰にも話さなかった。
作中で復員兵が詐欺を働くさまを僕は犯罪としてしか見られない。
でも、同時代を生きたおじいちゃんには犯罪であることは同じでも僕には理解しきれない複雑な思いがあるんだろう。
当たり前だけど、獄門島を観た人は物語や役者の演技など、色々なとこを観て作品の世界に浸るんだろうと思う。
僕はこの映画を観ると映画それ自体より、あの時のおじいちゃんの言葉と悲しいと言うか寂しいと言うのか何とも言えない表情で話したのを思い出す。