【進学校の横比較】男子二番手編(浅野・麻布・栄光・海城・駒東・武蔵・早稲田)
同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画、第2回は男子二番手(と言うと怒られるかもしれませんが)、四谷大塚偏差値65前後の学校群です。
浅野・麻布・栄光学園・海城・駒場東邦(駒東)・武蔵・早稲田の7校ということでちょっと学校数が多いとは思いますが、偏差値や大学合格実績を見てもこの7校でひとかたまりと感じるのでこれでいきます。
一部、男子最上位編で取り上げた筑波大学附属駒場(筑駒)・開成・聖光学院や、共学校である渋谷教育学園幕張(渋幕)・渋谷教育学園渋谷(渋渋)・筑波大学附属(筑附)も比較対象として表示しています。
大学合格実績や教育内容などを深掘りし、グラフ化するなどして横比較していきます。複数の学校を横に並べて比較することで、それぞれの特徴に気付けたり、入試動向を探る材料になればと思っています。
1. 偏差値推移の比較
まずは偏差値の推移です。
ここではサピックス80%偏差値と四谷大塚50偏差値を見ます。年度ごとだと重なりが出て見づらいので、それぞれ前後3年の平均を出してそれをグラフ化しています。
第2回入試は併願日程ということで第1回を中心に見ると、ざっくり、①2010年代前半、②2010年代後半、③2020年以降で勢力図の変化があったことがわかります。それぞれ見ていきます。
①麻布・栄光・駒東の上位グループと、早稲田・浅野・武蔵・海城の下位グループ②駒東が下げて下位グループに飲み込まれる、代わって武蔵が浮上
③下位グループが上昇し全体がほぼ一団に
ということで、この中での上位・下位というグループ分けがなくなり、ほぼ一団になったというのが現在の状況でしょう。3日入試を除けばどちらの偏差値表でも2ポイント差の中に全て入っているということで、まさに団子状態という感じです。
2. 大学合格実績の比較
大学合格実績は、昨今の現役重視の流れを汲んで現役合格のデータを使用します。
国公立大学実績(2022〜2024年)
国公立大学は、卒業生数を現役合格者数で割った数字を合格者割合として集計します。ここでは比較しやすいよう、最上位編の3校と共学3校も並べてみます。
なお以下2校はややイレギュラーです。
武蔵:基本的に進学者数のみの公開です。(2022年までは国公立大学の合格者と進学者の差分情報があり集計できていました。2023年から消えてしまいましたが、せいぜい数人程度だったので誤差として見ていいと思います。)
早稲田:半分が内部推薦で早稲田大に行きながらも進学校でもあるという独特な学校なので、比較は難しいですが一応推薦分も明示して同列で比較を出してみました。
東京一工医(黄色帯)までを難関国公立と定義しその順で並べています。そこまでの合格割合で見ると30%前後のところが多く、武蔵・早稲田がやや下がって20%前後という感じです。ちなみに最上位編の3校は50%前後、この次にくるサレジオは20%以下となるので、偏差値的にも合格実績的にもここで分けるのが妥当と判断しています。
比較のため載せている渋幕・渋渋・筑附はここで挙げている学校群と同じくらいです。
学校ごとの違いで見ると、東大が多めなのが栄光学園・駒場東邦・麻布で、医学部が多めなのが海城といったところです。浅野は東工大の合格者数で全国トップを取ることが多かったのですが、ここ2年ほど方向性が変わり東大シフトになってきているように見えます。
早稲田は約半数が内部推薦で早大に行くので、実質的に外部受験するのは半分の母数です。外部受験する人数が半分としてz1z見ると、この中でもかなり上位に位置づけられるでしょう。
私立大学実績(2022〜2024年)
私立大学は重複合格が多いですが、卒業生数を100%としたときの割合を積み上げてグラフ化しました。
校風の違いというか、方向性の違いが出るのがこの私大動向でしょう。
合格者が明らかに多いのが海城・浅野、中程度が栄光・駒東、少ないのが麻布といったかたちです。これは現役志向の強さと関連していると考えられます。
武蔵は進学者数のみで、私大の場合は重複合格が多いのでここでは直接比較できない数字になります。
早稲田は推薦分を抜いて考えると海城・浅野に近いイメージになりそうです。あと共学3校も同様ですかね。
あと、上智と東京理科大を分けてみると東京理科大の方がだいぶ多いのが男子校の特徴と言えるのではと思います。まあイメージ通りですかね。
合格者総数(積み上げ)
ここまでは卒業生との割合で見てきましたが、合格者人数を積み上げてみるとこんな感じです。
合格者数だと渋幕がダントツ、次いで海城といった感じです。まあ基本的に卒業生数に比例しているのでだから何?というところですが、全体のイメージを見るのにご活用ください。
進学実績(2022〜2024年平均)
進学者数を公開してくれている学校は多くないのですが、公開されているところを筑駒・開成もあわせてグラフ化します。
武蔵は合格者数の情報がないので、逆に進学者数から他校との比較でイメージが付けられればよいかと思います。私大のイメージは栄光学園に近そうですかね。
早慶の合格者数から進学者数の割合を算出したところ、開成は17%、栄光学園は22%でした。ということで、私大合格者数の1/4〜1/5程度が進学数と思っておけば良いかなという感じです。
あと面白いのが、早稲田以外の4校で見ると現役進学率はほぼ6割で揃っていて、進学先が違っているだけという点ですかね。
早稲田は8割以上が現役進学のようです。ちなみに聖光学院の現役進学率も8割程度のようです(学校Webサイトより、進学先の内訳はなし)。この2校と私大合格者数が似たような傾向の学校(海城・浅野・渋谷系など)は、そんな感じと見ておけばよいのかなと思います。
海外大学実績(2020〜2024年)
最後に海外大学への合格者数です。単年度だと波が大きいので5年間の表を出します。
ここで目立つのは海城で、ここ数年で急激に海外大合格者を増やしています。
あとは武蔵で、毎年必ず進学者が出ているようです(ただこちらは進学者分しかわからないので、実際どの辺りの学校にどのくらい合格しているのかわからないのが残念なところです)。
それ以外の学校はそれほど大きな動きがあるようには見えませんね。
ただ海城でも渋渋・渋幕には遠く及ばず、海外へという流れはまだ一部の特別な例という感じは受けます。とはいえ、最上位編で見た通り、渋幕と同程度の開成でも実際の進学者数は年で数人からせいぜい10人くらいなので、いずれにしても全体から見ればそれほど大きなボリュームにはなっていないと考えられます。そもそも奨学金枠など経済的な問題も大きいので、このデータは慎重に見るべきだと思いますが、一応学校の違いとしては挙げていいと思います。
3. 教育内容の比較
教科学習のカリキュラムについては、私立中高一貫校では大学受験に照準を合わせたいわゆる先取りをどこもやっていると思いますが、それ以上深掘りして横比較できる情報がないので、授業以外のプログラムについて比較します。
教育環境
今、世の中的に関心を集めているであろう次の3点について比較します。
グローバル教育
探求型学習・キャリア教育
ICT環境/教育へのICT活用
どの学校も、海外研修や教養講座・論文的なものは何らか導入していて、教科学習だけでない教養を身につけさせようという学校側の姿勢が窺える気がします。
ただし全員を海外に連れていくプログラムはなく、海外研修はあくまで希望者向けというのはこの7校に共通しています。
この辺りの取り組みはそれぞれの学校の特色が出ていると思うので、学校Webサイトからそれぞれの詳細を深掘りしてみていただければと思います。
ICT環境については外部発信していない学校は空欄になっていて、空欄でないところも調査できたものだけが掲載してある状態です。外部から見えないだけという可能性も大いにあるし状況は日々変わっていると思うので、この一覧表でどうこう言うよりも、気になる方は学校説明会などで聞いてみていただくのがよいと思います。
鉄緑会率
大学受験のために追加で塾が必要なのかというのは親的に気にするポイントだと思います。
とりあえず東大に圧倒的な実績があり、指定校の在籍者数を公開している鉄緑会の通塾割合を表にします。鉄緑会の数字だけではわからないし高校の間だけ通うという人も含まれるので、この割合がそのまま通塾割合にはなりませんが、ひとつの目安として見てみてください。なお指定校の5校しかデータがない点はご了承ください。
栄光学園が少ないですが、鉄緑会が代々木ということで地理的な問題じゃないかと思います。それ以外、駒東・海城・麻布は25%前後ということでほぼ同じですね。
昨年指定校になった早稲田は13%ということで他校と比べると半分程度ですが、半附属校的な学校と考えると、個人的には意外と多いなと感じました。やはりこの学校は附属校というより進学校と捉えるべきなんだろうなと思います。
なお鉄緑会のサイトには、”※上記以外の在籍者の主な学校は、白百合、武蔵、日比谷等。”と書いてあるので、指定校ではありませんが武蔵も一定数は在籍しているようです。
4. まとめ
以上、前回の最上位編に引き続き、男子二番手グループについてまとめました。
別に偏差値や合格実績でどっちが上とか下とか、学校の序列をつけようとかではなく、学校の向いている方向性や入試動向などが見えてくればと思ってまとめています。
志望校選びの一助になれば幸いです。
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