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【進学校の横比較】男子三番手編(暁星・攻玉社・サレジオ・芝・城北・巣鴨・逗子開・世田谷・桐朋・都市大・本郷)

同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画、今回は男子三番手、四谷大塚偏差値で55〜60辺りに多数ひしめく男子校を取り上げます。

ここは数が多く、何らかのかたちで2つに分けることも考えたのですが、偏差値と大学合格実績の相関が微妙だったりして分けることが難しく、全て一覧化して比較した方がわかりやすいと思ったのでまとめてしまいました。

ということで数が多く見るのも大変ですが、色々比較してみていただければと思います。

【更新情報】
・2024.9.2 noteへの移行と構成の変更
・2024.6.6   進学実績・偏差値を2024年版へ更新
・2023.9.29 進学実績を3年平均に変更(2021〜2023年)
・2022.12.16 初版投稿(2022年実績ベース)

大学合格実績や教育内容などを深掘りし、グラフ化するなどして横比較していきます。複数の学校を横に並べて比較することで、それぞれの特徴に気付けたり、入試動向を探る材料になればと思っています。


1. 偏差値推移の比較

まずは偏差値の推移です。

ここではサピックス80%偏差値と四谷大塚50偏差値を見ます。年度ごとだと重なりが出て見づらいので、それぞれ前後3年の平均を出してそれをグラフ化しています。

今回は線が多すぎて見づらいので、2月1日入試・2日入試・3日以降とに分けて出します。

2月1日入試

【主な入試変更タイミング】
*本郷①は2014年開始(80名)、2020年80→100名
*桐朋①は2016年190→110名、2019年110→120名
*世田谷学園①は2019年70→60名、2021年理数(5名)/本科(55名)に分割
*世田谷学園(算)は2019年開始(30名)、2021年理数(15名)/本科(15名)に分割
*暁星①は2020年75→65名(3日→2日に日程変更)
*巣鴨①は2018年120→100名、2019年100→80名
*巣鴨(算)は2019年開始(20名)
*都市大付属①は2013年からⅠ類/Ⅱ類募集、2023年2/1AMへ日程変更(50名)(偏差値はⅠ類、2022年までは②(2日)のもの)

データ出典:翌年度の第1回志望校判定サピックスオープン80%偏差値
 データ 出典:四谷大塚結果50偏差値一覧

サピックスの古いデータが不足している部分があるので長期トレンドは何とも言えませんが、直近の動きで気になるのは次の3つですね。

  • 本郷がどちらの偏差値表でも上昇を続けている

  • 城北・攻玉社がサピックス偏差値で上昇中

  • 芝・世田谷がサピックス偏差値で下落中

特にの動きが、サピックスと四谷大塚で逆方向なのが気になりますね。

あとは午後入試(点線)で、都市大②のサピックス偏差値急上昇も要チェックな感じです。

2月2日入試

【主な入試変更タイミング】
*本郷②は2014年140→120名、2020年120→140名(2013年までの偏差値は①(2日)のもの)
*桐朋②は2016年開始(定員70名)、2019年70→60名
*世田谷学園②は2019年100→80名、2021年理数(15名)/本科(65名)に分割
*攻玉社②は2019年70→80名
*巣鴨②は2018年120→100名(③開始により)
*都市大付属②は2013年からⅠ類/Ⅱ類募集、2023年120→100名(偏差値はⅠ類、2022年までは①(1日PM)のもの)

出典:翌年度の第1回志望校判定サピックスオープン80%偏差値
出典:四谷大塚結果50偏差値一覧

ここでも本郷の上昇が目立ちますね。巣鴨もV字回復というかたちで直近はかなり上がっているようです。

あとはそれほど目立った感じはありませんが、どちらの偏差値表でも、上下2グループに分かれつつあるように見えるのが気になります。巣鴨だけ例外ですが。

2月3日以降

【主な入試変更タイミング】
*暁星②は2020年開始(定員10名)
*巣鴨③は2018年開始(定員40名)
*攻玉社(特)は2019年に国語一科(10名)を廃止

出典:翌年度の第1回志望校判定サピックスオープン80%偏差値
出典:四谷大塚結果50偏差値一覧

比較的緩やかな動きで大きな変化がないというのが全体感ですが、その中で目立っているのが巣鴨ですかね。2018年にⅢ期入試・2019年に算数選抜入試と一気に入試改革したことで、急激に偏差値を上昇(回復?)してきたようです。

あとは、ここでも本郷の長期上昇が目立っている感じです。

いずれもこの入試回だけでなく全体的な動きなので、日程で上下が変わるというよりは、入試変更などの動きによって、学校全体が買いになったりそうでなかったりという感じに動いているようです。

2. 大学合格実績の比較

大学合格実績は、昨今の現役重視の流れを汲んで現役合格のデータを使用します。

【データ出典】
・合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数は日能研入試情報より

【集計・表記のルール】
医学部などの重複カウントを避けるため以下のルールで集計しています
・一工:一橋大+東工大
・医学部:国公立大医学部医学科(数字に東大理Ⅲと京大医学部は含まない)
・旧帝大:北海道大+東北大+名古屋大+大阪大+九州大
    (数字に東大・京大・医学部は含まない)
・他国公立:(数字に医学部は含まない)
・私立医:私立大医学部医学科
・早慶:早稲田大+慶應大(数字に慶應医学部は含まない)
・上理:上智大+東京理科大
・MARCH:明治大+青山学院大+立教大+中央大+法政大
並び順は東京一工医までの多い順(黄色ライン)

国公立大学実績(2022〜2024年)

国公立大学は、卒業生数を現役合格者数で割った数字を合格者割合として集計します。比較のため、男子二番手校のグラフも縮小して並べておきます。

*巣鴨の医学部データは進学情報誌さぴあより

東京一工医(黄色帯)までを難関国公立と定義しその順で並べています。そこまでの合格割合で見ると、サレジオ・芝が15%前後でやや抜けていて、続いて都市大・暁星、そのあとは階段状に並んでいる感じです。

二番手校との比較では、どちらかというと東大の数で明確に差がありそうです。

色の違いで見ると、暁星・巣鴨(・芝)の医学部(黄色)が大きいのが目立つ感じですかね。暁星は私大医学部も多く、明確に医学部志向が強いと言えるんでしょう。

あとはサレジオの一工(水色)が大きい芝・逗子開成の旧帝大(緑)が大きいというあたりが特徴的でしょうか。

【2024年の注目点】
本郷の2024年実績は、東大・京大は前年比減だったものの、医学部と一工、あと旧帝大で人数を大きく増やしていました。高校入試をやめて中入生のみになった最初の学年で、卒業生数も314→241人へと2割ほど少なくなった中での数字なので、上々の結果と言えるのではないかと思います。ここでは3年平均なので低く出ていますが、来年以降上昇してくる予感がします。

私立大学実績(2022〜2024年)

私立大学は重複合格が多いですが、卒業生数を100%としたときの割合を積み上げてグラフ化します。

*上智と理科大をまとめて上理としていましたが、上智やMARCHは文系が多く、東京理科大は分けた方が理系志向がわかりやすくなると思ったので分けました。

*巣鴨の医学部データは進学情報誌さぴあより

私大の動向は現役志向を測るひとつの指標になりますが、二番手までの男子校に比べると、極端に低い学校は少ないです。巣鴨くらいですかね。

全体的に合格は多いので、早慶や理科大なども現実的な進学先として選択されているところが多いと考えられます。

暁星は医学部(黄色)が多く、国公立も私立も含め医学部志向が強いと考えられます。

合格者総数(積み上げ)

割合ではなく合格者数を積み上げたグラフが次です。

*グラフ内の細いグレーのバーは卒業生数です

特にコメントはありませんが、何か分析する参考まで。

進学実績(2022〜2024年平均)

進学者数については数字を出している学校がないので省略します(サレジオは2024年に復活していましたが、単年なので来年以降に集計します)。

代わりに、早慶・上理・MARCHのどこが多いのか、それぞれの割合を出してみます。せっかくなんで、最上位校から全てを一覧にします。

*武蔵は進学実績
*早稲田は内部推薦分は抜き、外部受験組の人数だけで割合を出しています

武蔵と早稲田の2校のデータは特殊なので一旦置いておきますが、ただこの2校のところの行が分水嶺になって、一番多い割合が早慶なのかMARCHなのかが変わっている感じです。

私大は抑え受験も多く、例えば早慶志望なら抑えでMARCHを受けて複数合格を取っているようなパターンが多いと考えられます。よって傾向としては以下の2通りが考えられるでしょう。

  1. 難関国公立志望で早慶が抑え→早慶が多い

  2. 早慶志望でMARCHが抑え→MARCHが多い

もちろん国公立志望でMARCHを抑えるパターン等もあると思うので一概には言えませんが、ざっくり単純化するとこんな感じだと思います。

どの辺りを目指す子が多いのかを考えるひとつの指針として見ても良いかと思います。ちなみにこういう背景で考えると、MARCH合格者が多いから進学先もMARCHが多い、というわけではないだろうと考えられます。少なくともここで挙げている学校だと、現実的な進学先は早慶の方が多いのではと想像します。

海外大学実績(2020〜2024年)

最後に海外大学への合格者数です。単年度だと波が大きいので5年間の表を出します。

名門大学はTHE世界大学ランキング100位以内などの基準(具体的にはこちら)
*芝(2020〜21年)、都市大付属(2023年)、世田谷学園(2020年)は進学情報誌さぴあより

まあ比較するほどの差は正直ないですね。ただ、巣鴨が2年前あたりから海外進学を意識し始めたのを感じるので、今後伸びてくるかもしれません。

こちらもどうぞ
海外大学合格ランキング 2024年版
海外大学合格ランキング 2023年版
海外大学合格ランキング 2022年版

3. 教育内容の比較

教科学習のカリキュラムについては、私立中高一貫校では大学受験に照準を合わせたいわゆる先取りをどこもやっていると思いますが、それ以上深掘りして横比較できる情報がないので、授業以外のプログラムについて比較します。

教育環境

今、世の中的に関心を集めているであろう次の3点について比較します。

  1. グローバル教育

  2. 探求型学習・キャリア教育

  3. ICT環境/教育へのICT活用

各項目の詳細は表の学校名のリンクから見てみてください。各学校それぞれに特色のある多彩なプログラムや行事があって、比較していても楽しい感じです。

とりあえず分かりやすいところで、全員が対象となる海外研修については太字にしました。都市大付属・サレジオ学院・逗子開成・世田谷学園の4校で導入されているようです。たまたまでしょうが、神奈川方面の学校ばかりですね。

探求型学習や論文はそれぞれ導入されていますが、中学修了時に卒業論文を書くというのがひとつスタンダードになりつつあるように見えます。

色々な取り組みがあり特色が出ていると思うので、ぜひ詳しく見てみてください。(完全に個人的な目線では、逗子という土地ならではの取り組みが印象的な逗子開成が魅力的に見えます。我が家は遠いですが。)

ちなみにICTに関しては、デバイス導入はもはや差別化要因ではなくどう使うかが焦点になると思うのですが、これまでに紹介してきた学校も含めて具体的な情報はあまり多くありません。まだ手探りなのかなという印象です。

鉄緑会率

鉄緑会指定校はないのでここは割愛します。

4. まとめ

以上、Y60〜55前後となる男子三番手グループをまとめました。

別に偏差値や合格実績でどっちが上とか下とか、学校の序列をつけようとかではなく、学校の向いている方向性や入試動向などが見えてくればと思ってまとめています。

志望校選びの一助になれば幸いです。

最後に個人的な考えを少しだけ。都立高校との大学合格実績と比較してみると、(日比谷・西といった超トップを除く)進学指導重点校と、ここで挙げたクラス帯の学校が大体似たようなイメージになっていると感じます。
進学指導重点校は高校入試ではかなりの上位層となるので、それを考えても大学受験における中高一貫教育のメリットは大きいのではと感じます。

【進学校の横比較シリーズ】
男子最上位編(筑駒・開成・聖光学院)
男子二番手編(麻布・栄光・武蔵・駒東・武蔵・海城・早稲田・浅野)
女子・共学最上位編(桜蔭・女子学院・豊島岡+渋幕・渋渋)
女子二番手編(雙葉・フェリス・洗足・白百合・お茶女・明の星・吉祥女子・鷗友・頌栄)
千葉上位編(渋幕・市川・東邦大東邦・昭和秀英)


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