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塾合格実績の集計

中学受験大手塾の合格実績とその割合を集計しました。
元々は以下の、偏差値横比較の記事を書く際に参考情報として作成したものですが、せっかくなので公開します。合わせてご覧ください。

よく言われることですが、大手4塾を合計しただけでも学校発表の合格者数を超えていて、これが中学受験の闇として取り上げられることも多いものです。別にこの闇に切り込もうとか何か意図があるわけではありませんが、せっかく集計したものがあってもったいないので公開します。

最初にデータだけ並べるので、各自で考える材料にしていただければと思います。最後に私見を書いておきます。


合格実績データ

集計対象とデータ出典

以下の首都圏大手4塾を対象とします。模試の集計で考えれば3塾だけで良かったのですが、早稲アカも規模的に無視できないというか、気になる人は多いと思うので入れています。

サピックス小学部 合格実績2024
日能研 合格実績2024
四谷大塚 2024年中学入試合格者実績
早稲田アカデミー  2024年度中学受験合格実績

学校発表の合格者数を100%とし、そこに対する塾の合格者割合を算出しています。集計対象の学校は四谷大塚の合格者数データがある学校のみとしています(四谷大塚が全ての学校分を公開していないようなので)。
学校の合格者数データの出典は次のいずれかです。

・各学校Webサイトの入試結果データ
四谷大塚 入試情報センター[入試結果一覧]

男子校

女子校

共学校

データの見方についての私見

公開したい情報は以上ですが、せっかくなので私見も書いておきます。

模試偏差値の妥当性を測る

個人的には塾の合格実績自体はどうでもいいと思っているのですが、今回記事にしたのは、模試偏差値の信頼性という点で、自身の志望校での占有率がどのくらいかは気にした方がいいだろうなと考えたからです。

合格者が極端に少ないと、そこから算出される偏差値というのも信頼性が低くなります。例えば受験者が10人で合格者が5人とかいう母集団では、同じ偏差値に1人や2人とかになってしまい80%合格率とかの意味がなくなるでしょう。その年にたまたまそうなっただけの点在した分布を見ながら、前年度も参考にエイヤで決めている可能性が高いと考えられます。

ざっと見る限り四谷大塚は(上に挙がっている学校であれば)割と満遍なく合格者が出ているので問題なさそうですが、サピックスや日能研は合格者が極端に少ない学校があります。そういうケースでは数人動いただけでも偏差値が上下し、安全校だと思って受験したら足元をすくわれるという可能性も大いにあると思います(逆に足りないと諦めたけど実はそれほどでもないという可能性もあり)。ということで、自身の志望校できちんと合格者の出ている模試や偏差値表を参考にするのが良いと考えています。

合格実績は慎重に見よう

XX中にXX人!とか華々しい数字をみると、凄い、そこに入らないとなどと思ってしまいますが、合格実績はひとりが重複カウントされているので、実際よりかなり大きく見える仕組みになっています。例えば20人の塾で、開成5名・聖光5名・筑駒5名・渋幕5名と合格実績が並んでいたと想像すると、我が子も入塾すればこのどこかには合格できそうな気がしてきてしまいますが、これは5人で全てを稼いだ数字かもしれません(こういうのは塾の校舎実績でも見たことありそうな数字で、実際に上位数人の結果である可能性が高いと思います)。

別にだからどうとか物申したいとかでは全くないですが、要は合格実績というのはそんなもんだというのが言いたいことです。そんな数字に振り回されるのは損だと思います。上位生が受験する校数が増えれば実績も多く見えるし、そういう数字を見てどっちの塾がどうとか比較しても仕方ないと思っています。

塾選びの視点では、合格実績よりも勉強の仕方や環境が合う合わないの方が重要だと思っていて、極端な話、大きく失敗さえしなければ、どんなルートでも辿り着く先は大して違わない気がしています(要は塾の力より子供と家庭の力の方が大きいという意味)。まあここは色々反論もあると思うのでこのくらいにしておきます。

合格実績の闇の話

最後に触れたくない話題に触れておきます。大手塾だけで合格者の100%超えていておかしいよね、という話です。わざわざ話題に上げたいとも思いませんが、偏差値の信頼性という観点で四谷大塚の模試を考えたとき、早稲アカをどう扱うかについては考慮する必要があったりするので、一応私の考え方を書いておきます。

主に要因として考えられるのは2点でしょう。

1. 塾ごとの合格者数に重複がある

一人がA塾とB塾でダブルカウントされているという話です。よく言われるのは早稲アカの重複ですが、私はこう見ています。早稲アカの合格者数はざっくり2つの母集団に分けることができ、それは早稲アカ内部生(→四谷大塚に含まれる)と、NNのみの受講生(→他塾に含まれる)です。と考えると、早稲アカ分はいずれにせよどこかの塾の数字に重複して入るので、早稲アカ分は考えないことにすればスッキリ見える感じがしています。(もし早稲アカ内部生だけを考えたければ、これは四谷大塚分に内包されるので、その中の何割かと思っておけばいいかと)

こう書くと何だか早稲アカだけが悪者のように見えますが、実は早稲アカ分を抜いた3塾だけでも100%を超える学校がいくつかあるので、これだけで話は終わりません。もう一回先ほどの表を見直してみると、筑駒は100%どころか110%超え、開成もほぼ100%です。パッと思いつくだけでも、グノーブル・エルカミノ・ジーニアス・エクタス・浜学園・希学園・馬渕教室などがそこそこの合格者数を発表しているので、この分の説明がつきません。後述する2番目の理由(繰り上げ)もありますが、このボリュームの人数が繰り上げだけで賄われてるというのはかなり無理があります。

ということで、この3塾(やそれ以外の塾)でも重複は発生していると考えるのが妥当でしょう。最も考えられるのは、普段は他塾に通いながら志望校別特訓だけサピックスを受けるなど、学校別コースによる重複ですね。ちなみに志望校別コースですが、例えばある塾の開成コースを受けていた子が、併願先の渋幕や筑駒も合格した場合そっちもカウントされることになるので、そう考えていくと、事はコース対象校だけの話でもなくなります。こうなるとかなり幅広い学校で重複があると見た方がよくなってくるので、もはや実態は見えないと思った方がいいでしょう。

2. 繰り上げ合格の数字が曖昧

日別の合格者数をカウントしているくりあげくんを見ていくとわかる通り、繰り上げと思われる合格者が多くの学校で発生しています。学校発表の合格者数は合格発表時の数字がほとんどであるのに対し、塾の合格実績には繰上げ合格分が追加されていると考えられるので、ここも数字を大きくしている一因と考えられます。

こちらも話はややこしく、繰り上げ合格の連絡がきても辞退するケースを考えていくと、実際に繰り上げで入学したのが5人だとしても電話は10人にかけた可能性もあり、こうなるともはや総合格者数がどこまでになるのか全くわからない感じです。

ということで

ということで2点挙げましたが、どちらも闇が深いというか、実態が全く見えないというのがおわかりいただけると思います。そういうわけで、ここを追求していっても仕方ないだろうと思っている次第です。

繰り返しになりますが、合格実績なんて所詮そんなもんと思って、使えるところだけ使えばいいというスタンスで付き合っていくのがいいのではないでしょうか。

そういうわけで、繰り返しになりますが、自身の志望校の偏差値が信頼に足るものか、どの偏差値表を見るのが適当なのか、というのに使うのが良いと私は考えています。

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