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難しい仕事は先送り…

もう三月半ばになってしまった。
ばたばたと仕事に追われて、気がつけばもう年度末。そう、「もう」なのだ。とにかく一年が早い
こういう感覚を持つのは、一定の年齢を越えた方々らしい。「らしい…」と書いたのは、人それぞれ個人差があるからなのだが、まあ、あまり気にしてもどうにもならないので、この辺はさらっと逃げよう…。
  
目次
1、春の始まり
2、八百万の神々
3、いい加減な参拝者
4、平安京のスーパースター
5、難しい仕事は先送り…
 

1、春の始まり

先日、若狭では「お水送り」が行われたし、今夜は東大寺の二月堂でも「お水取り」(修二会)の神事も練行衆の大松明が夜空を焦がすので、改めて「春の始まり」という気配を感じている
おそらく若狭でも、お水送りの夜には遠敷川の水面を数百本の松明が照らし、白装束の練行衆に先導された老若男女が、それぞれの思いを携えて、神宮寺から鵜の瀬へと火の道を辿ったのだろう
そういえば、この前、大変おおらかな「遠敷明神」のことを書いたが、「あほな神さんもおるんやなぁ」とか、「神さんも人間も変わらんなぁ」とか、のたまう方々がそこここにおみえだった。

 2、八百万の神々
そうなんですギリシャの神々しかり、インドの土俗の神々しかり、エジプトの神々しかり、極めつけは日本の八百万(やおよろず)の神々(字面だけで考えると、800万も神様がいる。こんな宗教は日本くらいか)
それでもって、神々のやっていることといえば、泥酔するは、喧嘩はするは、嫉妬はするは、他人(神)のものを盗むは、もうやりたい放題である
今更ながら、多神教の神様はホンマに人間味(いい加減だ)がある。
一方、一神教の神様は、こりゃもう厳しい
天災を起こし、試練といういじめを我々人間に与えたりする。
正直言って宗教観のファジーな私にとって、八百万の神々は最高の神様達である
適当に、場面場面で都合のいい神様を信じるだけでいいのだ。

3、いい加減な参拝者

そういえば、先日も学問の神様である北野天満宮へ参旨したのに、買ったのは交通安全のお守りだった。でもって本当の目的は、梅花の写真撮影に行っただけなのだ
でも、弁解するわけではないが、梅園での抹茶を楽しみに来ている人も居たし、たこ焼きを食べに来て参旨せずに帰る人も居た。
そのような方々にとって、北野天満宮は「いつも居てはるし、また今度お参りしたらええやん」くらいのものなのだろう
こんないい加減な人間の相手をする神様は、正直、真面目にやってられないのだろうなぁ。
 
 4、平安京のスーパースター

祭神「道真公」のぼやきが聞こえる。
「やっぱり忙しすぎるんだよ。狭い日本にこれだけ人間が増えてくると、私達神様も疲労困憊なんですよ
昔はよかったよなぁ。祈願に来るのは天皇ぐらいだったし。それも代理の役人が来て、頼むことは平安京の安寧だけだったもんな。
なのにいつからか、宮司どもがいろいろ金儲けのために工夫して、学業御守や勧学守に始まって
今じゃ錦守、厄除守、延命長寿守、縁結守、安産守、技芸上達守、病気平癒守、足腰守、干支守、交通安全守、星まもり…、それにコロナ除けとして悪疫除札まである…
やってられないよ」
「昼夜を問わず、四六時中の願い事をかなえるために東奔西走してるのに、全然仕事が減らない
せめて商売繁盛は『今宮戎』が、良縁と安産祈願は『出雲大社』が専門でやってくれないだろうか…?
このままじゃ、さすがの平安京のスーパースター菅原道真も眼の下に隈ができそうだ
午後になったら、最近はやりの〇〇ニンニクかすっぽん〇〇〇〇でも買いに、錦市場へ行こうか…」

5、難しい仕事は先送り…

「そもそも、私がこれだけ忙しいのも、遠敷明神みたいに仕事をしないやつがいるからなんだ。私だって元をただせば人間なんだ。
たまには遠敷明神みたいに釣りにも行きたいし、梅の花も見飽きたので満開の桜の下で宴会もやってみたい。そうだ、秀吉の植えた醍醐の桜でも見に行こうか…。
でも、この時期はまだ寒いし、布団から出たくないなぁ
受験シーズンも終わりだというのに合格祈願の仕事もたまっているし、昨夜も遅くまで願文を読んだしなぁ。
誰だったっけ、『春は曙、やうやう白くなりゆく山ぎは…』なんて言っていたのが居たな
でもやっぱ『春眠暁を覚えず』だよ。
今朝も、もーちょっと寝てようかな。合格祈願の仕事も、合格が難しいのは来年度へ先送りしたっていいんじゃないかなぁ。
人間界には『浪人』って言葉もあるし…」
 
なるほど、そういえば数年前、甥っ子の大学受験のために某北野天満宮でお守りをいただいたが、見事、彼は第一志望には合格できなかった
やっぱりそうか、彼の合格祈願も「先送り」だったのだろう。それを考えると私の交通安全のお守りも…
 
しばらくは気をつけて運転しよう。

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