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授業てらすアンバサダー 筑波大学付属小学校 盛山隆雄先生から学んだこと 

はじめに
 私にとって、盛山先生は憧れの先生です。初めて知ったのは、盛山先生の書籍を読ませていただいたのがきっかけです。書籍から、盛山先生の暖かな授業の雰囲気が伝わってきて、子どもたちが学びを深めて行く様子が感じられました。
 京都に住んでいる私にとって、盛山先生と実際に出会って学ぶことは、距離的にもなかなか難しかったのですが、実際に模擬授業を見てもらってアドバイスをいただく機会があり、その時にいただいた温かい言葉は、私の宝物になりました。
 では、私が盛山先生から学んだこと、真似していきたいことを少し、紹介させていただきます。

1、子どもの思考に寄り添う
 盛山先生の算数授業を見て感じることは、「子どもたち一人一人を大切にされている」「子どもの思考に寄り添っている」ということです。

 例えば、盛山先生の算数授業は、子どもたちの考えたくなる問題でスタートします。「封筒から問題が登場する」で筆算の学習をしたり、「当たりくじを見つける」で図形の学習をしたり、「学級の旗を作る」で比を学んだり、「お小遣いの計算をする」で二桁を割る割り算の学習をしたり…。どの学習も、子どもたちが生き生きと学びますが、気がつくと自然と、算数の大切な見方・考え方に迫っていく流れになっています。盛山先生が目の前の子供達のことを考えて算数の授業を作り、子どもの思考に寄り添っているからこそ、子どもたちが前のめりになっていくのだと感じます。

 次に、盛山先生が大切にされているのが子どもの思考に寄り添った発問をすることです。盛山先生は良い授業の特徴として、「子どもの発する言葉や振る舞いに対して、教師が返す言葉が多い」ことを挙げられています。「子どもの表現に問い返す発問によって、最初は曖昧だった子どもの発言の意味が少しずつ明確になったり、深まったりする」ということです。このような、まず子どもの表現があり、それに対して問い返す発問を、盛山先生は「問い返し発問」とし、授業の中で大切にされています。
まず、子どもの表現があり、それに問い返して学びを深めていくという考え方も、子どもファーストな学びだなあと思います。

 さらに、盛山先生の算数授業は、子どもたちが自分たちで学びを深めていく姿が見られます。そのために、盛山先生は様々な仕掛けをされていたり、そのような主体的な学びの姿を見出して価値付けしたりしていくことで、深く学んでいく集団、学級を作っておられます。練習問題を与えるのではなく、自分たちで課題を作って取り組んでいこうとする姿は、私にとって憧れの算数授業です。

2、あたたかい学級づくり

 盛山先生のお話を伺ったり、ご著書を読ませていただいた時にいつも心に感じることがあります。それは、「あたたかい学級」「あたたかい人間関係」ということです。子どもたちが生き生きと学ぶ算数の授業は、このような学級づくりがもとになっているのだと思います。盛山先生は、子どもたちと接するときの心構えとして、卒業した後のことをイメージされているそうです。「一対一でお付き合いができるような、大人同士として向き合えるような教育をしたい」「学級じまいの時に、自然と涙が流れるようなクラスを作っていきたい」とお話しされています。子どもたちに対しては「長い目で見守り、叱ったり、怒ったり、怒鳴ったりなどでキリキリしない」とお話しされる一方で、自分自身に対しては「最後の別れを想像し、教師は、いま、ここで頑張らなければ、丁寧に向き合わなければならない」と語られています。子供達へのあたたかな目を向け、そして盛山先生自身には、自分に厳しく向き合われています。
 また、子どもたちの課題に対して、盛山先生は「成長するためには、問題は起こった方が良い」と話されています。「問題が起こる→話し合って課題を作る→課題を解決する→褒める→成長する」というサイクルを大切にされていて、このお話をされている時に、「できない子供はいません。子どもたちは必ずできるようになります」とおっしゃっていました。そして、教師が先を見通し、事前に話せば子どもたちはわかってくれるということも話されています。これらのような、盛山先生の子どもたちの力と可能性を信じ抜く心と、それらを実際に叶える行動が、本当にあたたかいなあと思います。

おわりに

 盛山先生のお話を伺う時、本を読ませていただく時は、本当にワクワクします。きっと盛山先生の学級の子どもたちも、そんな気持ちで算数を学んでいるのだと思います。私自身も、そんな算数授業に少しでも近づけるように、これからも盛山先生からたくさん学んでいきたいと思います。

授業てらす おくのっち_奥野成宏@京都府

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