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5年「小数のわり算」(根拠のある説明を目指した算数科授業)

先日の算数フォーマンセルで授業準備の仕方をお伝えした。
そこで、資料を探していると、教職2年目の自分の実践記録が残っていた。
その内容を9年目の私が分析する。

根拠のある説明を目指した算数授業

根拠のある説明を、関係図・数直線図・図と式の関係を使って説明させることにより、実現するのではないかと考えている。

授業の課題意識としては、全国学力学習状況調査での割合のもとにする量を計算する問題の正答率が低いため何か工夫はできないかと考えている。


5年「小数のわり算」(割る数の変化による割られる数と商の大小関係)

これまでに、7時間で小数のわり算の仕方や数直線図の書き方などを学んできている。

1 問題提示とそれにかける思い

(問題)
赤・青・黄・緑・茶のリボンがあります。すべてが300円です。
一番安いリボンは何色ですか。

始まりの5分で子どもたちの心をつかみたい。
実際のリボンを用意し見せ、問題を提示することによる子どもたちのイメージ(想像力)を大切にしている。
高学年では、よくイメージをノートに書かせる方法を伝えているが、時間がかかることも多い。なので今回は全学年で通用するつぶやきを注意深く聞き取り、授業の入り口を探している。
(当然つぶやいてもよいという心理的安全性のある学級を作ったうえで。)

私は、子どものつぶやきの中にみえる感情を大切にしている。
「えっ!?」「どういうこと!?」「わからん?」「困った」などである。
それをまずは板書する。
その後、「なぜ思ったのか?」や「こう考えた子の気持ち想像できる?」などの表現を用いて子どもたち全体を巻き込んでいく。
個人から全体への指導だ。

ここでは「わからない?」を板書している。
『なぜわからないのかな』と問うてみると、「全部300円じゃん」といった。
『じゃあすべて同じ値段でいいかな』と投げかけてみると、「色が違うから値段が違うんじゃない!?」という。素直な学び方である。その中に問題に迫る声が出てきた。「長さが違ったら値段が変わるんじゃない?」

このようにして導入では、問題場面の理解や解放にかかわる手がかりを全体で共有していった。


2 展開①「長さと色」を提示し子どもの学びの熱量を読む

(長さと色)
赤:0.6m 青:0.8m 黄:1m 緑:1.2m 茶:1.5m

長さを提示するときに子どもたちの思考を促したい。
まず、を出す、その後を出す。そうすることで2倍の関係といった子どもがいるかどうかを見取る。長さが2倍になっていることに気付けば、数の関係をより意識するだろうと思うからだ。
その後、の順番で提示していった。
そのときに、数名が「順番に並べると見やすいのに」と言った。1人は、問題の順番に合わせたいからと思っていた。もう一人は、長さの短い順に合わせたいといった。ここは大きな違いがある。
前者は、問題文の順番とリンクさせたいという思考が働いている。後者は数値に目が行き、今後の展開で重要な役割を果たす児童と言える。(もしもの時要因だ。)
この順番に並べたいという意識を持たせるために、あえてバラバラにしている。
また、並び替えたことによって、大小関係がより見やすくなるというメリットがある。このようにして数学的な見方・考え方を重要視させたい。


3 展開②「数直線図をかいて1mで安いリボンを考える」

「1mで300円の黄のリボンを基準にしたらよい」
「きっと長さが短い方が高くなると思う」
「数直線図を書いて計算してみたい」などと
解放に向けて方向づいている子どもがいれば、どのようにして考えればよいか半分半分だ。
そういうときは、教師の仕掛けが必要。
私は「1mで何円か考えてみる?」と投げかけた。すると、そうするとうなずく子どもたちがいて、「何使えば解けそう」とつづけた。
ほとんどの子どもたちが「数直線図でとく」といっていたので赤色の1mの値段を考えていった。

※数直線図は、小数のかけ算で積極的に行い、1とそこから出る矢印が割合ということは伝えた。


4 展開③「割られる数と商を比べ、大小関係をまとめる」

その後、板書のようにつながりがみえるように縦に式を配列した。
すると、書いている途中で、言いたそうな子どもたちが何人も出てきた。
どうしたの?と聞いてみると、「割る数が小さい方が商の数字が大きくなる」といった内容の言葉が出てきた。
全体で確認し、共有し、どういうことなのかを隣の人に説明させた。
ここでは、何度も同じことを繰り返し言わせて、機能的習熟を行った。


5 教師の振り返り

教職2年目で大きなテーマを掲げ、トライしていたのだなと思う。
文章自体は、何をしたいのかよくわからないが、想いは伝わった。

(課題)
・今回、「安い」と聞いたことによって、1つ見つければ子どもたちは満足する。本来は、大小関係を比較してほしいのに、1つの計算で終わってしまうこともある。
→くじびきモデルで、1つずつ長さを出すという手がある。その都度計算していき、最後もしくは最中に安いリボンを考えさせると必然性が出てきそう。


まだまだ可能性のある単元だ。
3月という振り返りの季節。子どもに行っている振り返りを、教師も一度行い、どのようにして実践してきたのか、これからの可能性はどんなところにあるのか吟味するのも1つの手だと思う。

その当時の内容です。参考にしていただき、コメントいただけるとありがたいです。↓↓

(さるっち_白石圭祐@兵庫)

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