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走ることでその土地を知る。旅好きの社員が語る「忘れられない旅」

忘れられない旅は?」と聞かれたら、どんな思い出が浮かびますか?

 そこでしか見られない美しい景色、おいしいご飯、お世話になった人の顔など、世界は広く、思い出もさまざまです。 

旅好きが集まるJTBグループ社員が「忘れられない旅」のエピソードを語る、本企画。第1回目に登場するのは、パートナーエンゲージメント推進部の菅井 泰良

高校時代から陸上をつづけてきた菅井は「世界100都市でマラソンを走る」という目標を掲げ、ポートランド、マニラ、ホノルル、大阪、京都など、国内外さまざまな都市のマラソン大会に参加してきました。

そんな菅井の「忘れられない旅」とは? 一生の趣味とする“旅とマラソン”への想いを聞きました。 

「旅とマラソンは一生続けたい」留学時代に抱いた想い

菅井 泰良(すがい たいら)
ビジネスソリューション事業本部 パートナーエンゲージメント推進部所属。2024年度4月に新しく立ち上げた法人事業の手配機能集約部署のDX推進担当者としてデジタルツールを活用した業務の効率化、新たなオペレーションフローの構築に取り組む。

――まずは、菅井さんが旅を好きになった経緯を教えてください。

幼い頃から、海外の文化に興味を持っていました。実は、アメリカのオレゴン州ポートランド生まれなのですが、2歳で日本に帰国してしまったので、その頃の記憶はほとんどありません。記憶がない分、海外に足を運び、現地の生活や文化に触れたいと、たくさん旅をするようになりました。

大学生の頃には「自分の生まれた場所がどんなところか知りたい 」と思い、ポートランドに1年間留学をしました。留学先では、高校時代から続けていた陸上部に所属し、チームメイトとは練習時間だけでなく、それ以外の時間も一緒に過ごしていました。朝から晩まで彼らと共に楽しく過ごしていたので、留学は本当に充実していましたね。

彼らが日本に遊びに来たときに、喜ばせられるような仕事がしたい。そんな思いから、JTBに就職することを決めました。 

その頃から「旅とマラソンは一生続けたい」と、漠然と思っていたんです。

――「世界100都市でマラソンを走る」という目標を立てたのは、いつ頃ですか?

コロナが収束し始めたくらいの時期だったかなと。その頃、IT系のグループ会社に出向していたこともあって、ほとんどがリモートワークだったんです。平日はデスクに向かい、土日はマラソンを走りに行く。そんな生活がちょうどよかったんですよね。

あとは、JTBは旅好きが集まるだけあって、「47都道府県制覇」など目標を持って旅を楽しむ人がたくさんいて。僕らしいオリジナリティのある目標を考えると、やっぱりマラソンとの掛け合わせだなって思ったんです。

 ――たしかに「世界100都市」というワードは、かなりインパクトがありますよね!

自己紹介をするとき「マラソンが趣味です」と言うよりも、「世界100都市でマラソンを走ることが目標です」と伝えたほうが断然ウケがいいですね(笑)

それからは、国内47都道府県と海外53都市、合わせて世界100都市でマラソン完走を目指していますと、公言しています。

菅井がこれまで走ってきたマラソン大会の記録

――この取材もロッテルダム帰りだと伺いました。いまは何都市目まで到達しましたか?

先日、ロッテルダムで走ったのが28都市目でした。このペースで行くと、60歳には100都市を達成できるかなと思っています。ただ、年齢を重ねるほど1年に走れる回数は減っていくと思うので、20代のうちは毎月走る勢いでがんばっています。

現地の人の優しさに触れた「忘れられない旅」

――菅井さんにとっての「忘れられない旅」のエピソードを教えてください。

28都市、すべてに語れるだけの思い出があります。でもやっぱり、思わぬトラブルが起きた旅は忘れられないものになりますよね(笑)。

例えば、兄と参加したホノルルマラソン。どこのマラソンもスタート地点に荷物を預けるクロークがあるのですが、ホノルルはそれがないんです。うっかりしていて、皆さん走れる格好のなか、僕たちは貴重品を持ったままスタート地点の「アラモアナショッピングセンター」に行ってしまいました。

ホテルに戻る時間もないし、早朝4時くらいだから預けられるような場所も開いてなくて、本当にどうしようかと。ボランティアのスタッフに相談してみると「その辺の木の下に置いておけば」と言われたのですが、それはさすがに持ってかれちゃうよ…と困ってしまって。

――海外だとなおさら不安ですよね...。

まだ開店前のスーパーマーケットだったのですが、施錠されたドアの向こうにスタッフさんの姿が見えたんです。「お願いだから預かってください」と懇願したら、快く預かってくれました。

スタートしてから3時間後、ゴールした足でそのまま取りに行ったら、「こんなに早く帰ってくるとは思わなかった!すごい!」と、驚いてくれましたね(笑)。「荷物を預かってもらえなかったら、ゴールすらできなかったよ」と、感謝の気持ちを伝え、一緒に写真も撮りました。こういうトラブルがあると本当にヒヤヒヤしますね。でも、トラブルがあったからこそ、人の優しさに触れられる機会にもなるんだなあと、旅のおもしろさを改めて感じました。

荷物を預かってくれたスタッフさんとの写真

 ――たしかに、荷物をホテルに置いてきていたら、その方と知り合うこともなかったですもんね。

 あとは、昨年参加したマニラマラソンも思い出深いです。コロナ禍で旅行にも行けなかったので、オンライン英会話をずっと続けていました。たわいのないおしゃべりをするうちに、1人のフィリピン人の先生と仲良くなって、じゃあ、マニラで開催されるマラソンに一緒に参加しようと、マニラに行くことに決めたんです。

――オンライン英会話でそこまで仲良くなったんですね!

はい。先生もすごく歓迎してくれて、おいしいご飯屋にたくさん連れて行ってくれました。ただ、もてなしてくれる気持ちに応えようとちょっとがんばりすぎちゃったんでしょうね。マラソンの日、思いっきりおなかを壊してしまって…。普段は3時間を切るのが目標なのですが、マニラマラソンだけは5時間近くかかってしまいました。最後は走れず歩いていましたが、なんとか完走。僕の目標は100都市でフルマラソンを完走することなので、もはや意地で走り切りました(笑)。これはこれで、忘れられない思い出です。

走ることでその土地を知る

観客との距離が近いロッテルダムマラソンの様子

――旅先はいつもどのように選んでいますか?

マラソン大会はだいたいどこの都市でも開催されています。まだ行ったことがない場所を中心に、日本の祝日に合うか、飛行機の値段などを鑑みて選んでいます。 

基本的に、初めての場所に行くことが多いので、毎回「この場所で走るのはこれが最後!」という気持ちで走っています。ここに来るのはこれで最後かもしれないと思うと、42.195km思う存分満喫しよう!という気持ちがより増してくる気がします。

 ――旅先で走ると、なんだか疲れて観光どころではなくなってしまいそうな印象を持ちますが...。

 たしかに疲れますけど、マラソンのコースというのは多くの場合、その土地の魅力的なスポットや観光地を巡れるように作られていることが多いんです。例えば、サンフランシスコマラソンはゴールデン・ゲート・ブリッジの上を走ったり、京都マラソンでは嵐山やさまざまな寺社仏閣を巡ったり。普段は車や人混みで簡単には通れないようなところを颯爽と走れる気持ちよさがあります。

交通機関を使うと気がつかないような現地の人たちの様子や、その土地の文化に気づけることも、走ることの魅力です。 

――走りながら、「ここはこんな街なんだ」と印象に残ったものはありますか? 

つい先日参加したロッテルダムマラソンは、観客との距離も近く、声援もすごく大きかったです。身近な誰かが出場すれば、家族や親戚みんなで応援にしにくるんだろうなあと、イベントへの熱量の高さを肌身に感じました。マラソンのゼッケンには英語で名前が記載してあるのですが、あそこまで「タイラー!」と自分の名前を呼んで応援してもらえたのは、ロッテルダムが初めてでした。 

あと、応援だとソウルマラソンを走ったとき、韓国では応援するとき「ファイティン!」って言うんだ!って知りました。そういう土地ごとの小さな発見がとても楽しいですね。

サンフランシスコマラソンの様子

――マラソン中に人と話したり、仲良くなったりするようなこともあるのでしょうか? 

マラソン後半になると「あとちょっとだよ」と励まし合うことはありますね。あとは、ゴールすると完走メダルがもらえるのですが、海外の人たちってずっと首にかけて街を歩いているんです。すれ違う人みんな「おめでとう」と言ってくれますし、完走した人同士なら「どのくらいのタイムだった」とかで話が弾むので、僕も誇らしげにぶら下げてます(笑)。国籍問わず、同じ目標を成し遂げた同士だからこその一体感があって、観光するだけでは生まれない交流ができるのが楽しいです。

マラソンの良さは、旅ができること

――マラソン大会に参加しない旅をすることもあるのでしょうか?

いや、ほとんどないですね。マラソンがあるから旅をするし、せっかく旅に出るからにはマラソンに参加しないと物足りない。それくらい僕にとっては、旅とマラソンは切っても切り離せない存在になりました。

よく「走るのってしんどいのに何が楽しいの?」と不思議がられるのですが、マラソンの良さは、それを理由に「旅ができること」なんですよ。知らない土地で地場のものをたくさん食べて、次の日に走って食べたものを帳消しにする(笑)。僕にとってはその全部がセットなんです。

 ――マラソンは旅のきっかけを与えてくれる存在なんですね。次に行きたい場所はありますか? 

次の旅先はまだ未定ですね。今年29歳になったのですが、いよいよマラソン大会の完走回数が年齢を抜こうとしています。もうすぐ30代に突入することもあるので、何か記念になるような大きな大会に参加したいなあと。

世界6大マラソンの1つであるニューヨークマラソンに出てみたいなと、なんとなく考えています。

 ――人生の節目と一緒に旅先を選ぶ。素敵ですね!

 実は、まだ東京マラソンも走ったことないんですよ。いつか必ず出るつもりではいるので、もう少し先、人生の折り返し地点を過ぎた後くらいに残しておきたいなと。世界100都市って考えたらまだまだ先は長いです(笑)。旅もマラソンも一生の趣味として、育てていけたらいいなと思っています。

写真: 鍵岡龍門
文:  佐藤伶
編集: 花沢亜衣


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