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社会と土木の100年ビジョン-第4章 目標とする社会像の実現化方策 4.2 環境

本noteは、土木学会創立100周年にあたって2014(平成26)年11月14日に公表した「社会と土木の100年ビジョン-あらゆる境界をひらき、持続可能な社会の礎を築く-」の本文を転載したものです。記述内容は公表時点の情報に基づくものとなっております。

4.2 環境

4.2.1 目標

環境的に持続可能な社会を目標とする。具体的には次のとおり。

(1) 低炭素化、地球温暖化
地球温暖化の問題は世界全体が抱える環境問題であり、その影響は広範囲にわたると予測される。また、単にわが国だけの取り組みだけで解決できる問題ではなく、地球規模での世界が連携した取り組みが必要であり、百年あるいはそれ以上の長期的視点で取り組まなければならない課題である。地球温暖化の問題への対応は、低炭素化の社会を目指す取り組みである緩和策と、地球温暖化によって生じる様々な問題への適応策に大別される。
低炭素社会とは、究極的には、温室効果ガスの排出を自然が吸収できる量以内にとどめる(カーボン・ニュートラル)社会を目指すものである。我が国の当面の目標は2020 年に1990 年当時の温室効果ガス排出量25% 削減とされる。土木工事においては温室効果ガスの排出量を緑化等と併せて将来ゼロ(カーボン・ニュートラル)とすることを目標とする。
また地球温暖化問題が顕在化した場合の国民生活・都市生活への影響の最小化を目標とする。

(2) 資源循環、環境汚染
資源循環に関しては、3R を促進し、究極的にはゴミゼロの社会の実現が目標である。環境汚染の原因は重金属等有害な物質の排出、有機汚濁物質の過剰負荷であるため、人間や生態系に対して影響を及ぼさない範囲内に有害物質や有機汚濁物質の排出を抑制する社会を実現することが目標である。
土木に関しては、社会資本の整備時から維持管理、廃棄時に至る、二酸化炭素や有害物質の排出量、リスク、コストなどが最小となるようなライフサイクル・マネージメント(LCM)の厳密な適用を行い、ある行為の発生から最終処分までを含めた環境への負荷・リスクを極力小さくすることが目標である。

(3) 生物多様性
生物多様性の目標としては、「生物多様性国家戦略2012–2020」(2012 年9 月28 日閣議決定)における、長期目標(2050 年)「生物多様性の状態を現状以上に豊かなものとし、自然の恵みを将来にわたって享受できる自然共生社会の実現」とする。

図4.2 地球温暖化の要因及び国民生活・都市生活分野への影響に関するフロー(「気候変動への賢い適応~ 地球温暖化影響・適応策研究委員会報告~」2008 年6 月、環境省 地球温暖化影響適応研究委員会)


4.2.2 現状の課題

①環境面からみた我が国社会の現状認識と課題
現状を環境の観点から俯瞰すると、特に20 世紀から21 世紀前半は人間の行為により地球に多大な負荷を与え、人間の行為が地球規模の環境容量を超え始める可能性が、地球温暖化という現象により現れ始めた。万能と考えられた科学技術が結果的には現在の状況を作り出しており、これを解決するためには、これまでの科学技術および現在の社会体制の枠組みの課題を踏まえ、新たな総合的な学問の構築、経済原理を乗り越えた社会システムの開発が求められている。学術分野は基本的に専門分化・深化する傾向があること、社会システムも自律的な変更が難しいことなどの課題があるものの、人類として克服し解決すべきであることは論を待たない。
これまでの日本の百年は成長を原則に発展してきたが、人口減少社会、地球環境的な制約のもとでは、継続的な高度成長を求めることは不可能であることは明らかであり、次の時代は持続可能な社会をどのように構築していくかということが最大の課題といえる。

②人口減少社会
我が国において人口減少は、確実に訪れる大きな社会的な現象として対応せざるを得ない。いずれの段階かで人口減少は収まると予想されるが、そのためには、働き方、家族制度、女性の地位向上など、かなりの抜本的な社会思想の変化と社会システムの変更が必要であり、長期的視点に立った対策が不可欠といえる。
人口減少は環境問題にプラスの影響を与えるという見方もあるが、例えば、過疎地では山林の荒廃、獣害の多発による生物多様性の低下、公共用交通機関等の衰退による一人当たりエネルギー消費の増加など、環境への負の影響が考えられる。人口減少はさまざまな環境問題を発生させると予測される。

③地球環境
3.1.2 (3) に示すように、最新の研究成果によれば、地球温暖化により21 世紀末の我が国の年平均気温は最大で3.5 から6.4 度上昇し、その結果、水資源、沿岸・防災、生態系、農業、健康等にも大きな影響を与えると予測されている。
日本の2012 年度の温室効果ガス総排出量は、CO2 換算で約13 億4 100 万トンと京都議定書の規定による基準年と比べ6.3% 上回っている。なお、京都議定書における2010 年度目標の部門別達成状況をみると、インフラと関係が深い運輸部門(自動車、航空、船舶、鉄道)は前倒しで達成している。
また、地球温暖化に加え、1990 年代では酸性雨、オゾン層の破壊、さらに2010 年以降、越境環境問題による新たな光化学スモッグの発生、PM2.5 問題などが発生しており、これらへの対策も課題といえる。
以上のように地球環境問題は広範な影響を与える環境問題であり、課題解決に向けた取り組みは地球規模で行わなくてはならない。

④地域環境(水質、大気、土壌)
水質に関しては、下水道の整備によりこの20 年間で大幅に改善したものの、生活環境の保全に関する環境基準の達成率は、河川93.0%、湖沼53.7%、海域78.4% となっており、引き続き関環境基準の達成が課題である。
三大湾(東京湾、伊勢湾、大阪湾)や湖沼等の閉鎖性水域においては、依然として赤潮等の富栄養化現象が起こっている。また、環境ホルモンやダイオキシンなどの問題が発生しており、これらへの適切な対応も課題といえる。
大気環境に関しては、1985 年以降、集中立地型の産業公害は対策の進展により沈静化したが、自動車由来の窒素酸化物による大気汚染が悪化した。1992 年に自動車NOx 法の制定、さらに2001年にはトラックなどのディーゼル自動車からの排出規制を行うNOx・PM 法などが施行され、窒素酸化物による大気汚染は改善してきたものの、環境基準の未達成地域が残っており、引き続き対策が必要である。
土壌環境、特に市街地等の土壌汚染については、土壌汚染対策法(平成14 年法律第53 号)制定以降、法に基づく調査により土壌汚染事例の判明件数が増加しており、2002 年度の656 件から2011 年度では942 件となっている。事例を有害物質の項目別でみると、鉛、ふっ素、砒素などが多い。
土壌汚染については、2011 年7 月の土壌汚染対策法施行規則等の改正により、自然由来の土壌汚染も法対象となったことから、火山由来による金属を含む地質が広く分布している我が国では、建設工事施工時に自然由来汚染土に遭遇する可能性が高く、今後、建設事業実施に伴う環境対策課題として重要度が増すことが想定される。

⑤越境環境問題
今世紀になって中国等の急速な経済発展により、海洋汚染、大気汚染など国境を越えた環境問題が顕著になってきた。海洋汚染としてはエチゼンクラゲやごみの問題、大気汚染としては酸性雨、黄砂、PM2.5 などの問題が発生している。EANET(東アジア酸性雨モニタリングネットワーク)などの観測組織などが立ち上がっているが、国際的な環境問題解決のための統一化などは遅れており、現代の課題である。

⑥放射性物質
東京電力福島第一原子力発電所の事故によって我が国の環境問題に放射性物質の問題が加わった。環境中に放出された放射性物質は広範囲に拡散し、その後、物理的減衰やウェザリング効果、さらには除染による効果等により、被災地の空間放射線量は低減してきているが、依然として多くの放射性物質が一般環境中に残存している。また、事故由来放射性物質により汚染された廃棄物については、放射性物質汚染対処特措法に基づいて、汚染の程度等に応じ、処理が進められている。
土木に関係がある分野としては、降雨に伴って放射性物質が下水処理場、閉鎖性水域へ連続的に供給されている状況にある。放射性セシウムの輸送特性などについては国立環境研究所などで研究が進められているが、放射性セシウムの土壌からの流出は極めて遅く、長期間にわたって影響を及ぼすものと予測されているが、まだ研究は緒に就いたばかりであり、さらなる研究が必要な分野である。

⑦資源循環
環境省「平成25 年度版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」によれば、2010 年度の我が国の物質フローは、総物質投入量が16.1 億トン、そのうち7.1 億トンが建物や社会インフラなどとして蓄積され、1.8 億トンが製品等として輸出され、3.2 億トンがエネルギー消費・工業プロセスで排出され、5.7 億トンの廃棄物等が発生している。このうち循環利用されるのは2.5 億トンで、これは、総物質投入量の15.3% に当たる。最終処分量は1990 年に1 億トンであったが、2010 年には0.19 億トンで80% 以上減少した。
建設廃棄物は、産業廃棄物の排出量の約2 割、不法投棄量の約7~8 割を占めている。建設廃棄物のうちコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材については、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」に基づき、一定規模以上の工事について分別解体・再資源化等が義務付けられている。国土交通省「平成24年度建設副産物実態調査結果」によれば、建設廃棄物排出量のうちコンクリート塊43%、アスファルト・コンクリート塊35% で約8 割を占めるが、その再資源化率は99% を超えており、建設廃棄物全体の再資源化・縮減率も96% と極めて高い水準となっている。一方で、建設廃棄物の一部が不法投棄されている実態もあり、適正処理の推進も課題である。
我が国の総物質投入量16.1 億トンの44%、7.1 億トンが建物や社会インフラとして蓄積され、産業廃棄物排出量の2 割を建設業が占めていることから、我が国の資源循環において、建設部門は大きなウエートを占めており、今後とも建設廃棄物の再資源化徹底、再生建設資材の積極的利用を通じて、循環型社会の構築を先導していく必要がある。

⑧生物多様性
日本においては、河川のような自然公物でも生態環境の劣化が進んでいるのに加え、i)開発や乱獲による種の減少・絶滅、生息・生育地の減少、ii)里地里山などの手入れ不足による自然の質の低下、iii)外来種などの持ち込みによる生態系のかく乱、iv)地球環境の変化による危機などにより野生生物の生息が脅かされている。日本における哺乳類、鳥類、両性類、爬虫類、汽水淡水魚類、維管束植物の約3 割にあたる3 597 種が絶滅危惧種に指定されており我が国の野生生物が置かれている状況は依然として厳しい。
生物多様性の保全と持続可能な利用に向けた課題としては、COP10 では①生物多様性の社会への主流化、②生物多様性への直接的な圧力の減少と持続可能な利用の促進、③生態系、種及び遺伝子の多様性の保全と生物多様性の状況の改善、④生物多様性及び生態系サービスから得られる恩恵の強化、⑤参加型計画立案、知識管理、能力開発を通じた実施の強化としている。
土木事業は、自然に直接的に働きかける行為であり生態系への影響は大きく、上記課題解決に際しては、最前線で対応せざるを得ない立場である。このため、土木界として、今後とも自然・生態系に学ぶ謙虚な姿勢を基本として、豊かな生物多様性に支えられた社会の実現に貢献する必要がある。

4.2.3 直ちに取り組むべき方策

(1) 地球環境問題(低炭素化、地球温暖化)
低炭素社会とは、究極的には、温室効果ガスの排出を自然が吸収できる量以内にとどめる(カーボン・ニュートラル)社会を目指すものである。産業、行政、国民など社会のあらゆるセクターが、地球の有限性を認識し、大量生産・大量消費・大量廃棄社会から脱するとの意識を持ち、選択や意志決定の際に、省エネルギー・低炭素エネルギーの推進や、3R の推進による資源生産性の向上等によって、二酸化炭素の排出を最小化するための配慮を徹底する社会システムの構築が必要である。
温室効果ガスの排出量を抑制するためには、自然エネルギーの利用、省エネルギー型の国土形成、低炭素型の土木事業やまちづくり及び運輸部門を含め運用段階での取り組みなどを行う必要があり、短期的には小水力発電の積極的な導入、モーダルシフト、カーボンオフセット、低炭素型のコンクリートなどの素材の選択、多自然川づくりなどがあげられる。
地球温暖化に対応するためには、上記の緩和策による地球温暖化の原因となる温室効果ガス搬出量抑制とともに、地球温暖化による水資源、海岸・港湾、生態系、農業、健康等への影響に対する適応策が不可欠である。これらの影響は、社会インフラと密接に関係しており、地球環境問題の適応策の実行にあたっては、社会インフラに対するハード・ソフト両面から脆弱性を継続に改善していく必要があり、土木の果たす役割が極めて大きく、極言すれば土木のみが適応策を組織的かつ継続的に遂行しうる資質と責任を有する。
具体的適応策の例としては、洪水対策ではダムや堤防整備とともに、従来の三本柱(河川改修、流域対応、危機管理)に加えて、氾濫・浸水後の復旧・復興対策や地域のBCP の立案等が挙げられる。高潮対策では、海岸・港湾施設の整備・改良等による「防護」、総合的沿岸域管理等による「順応」、土地利用の変更・規制による「撤退」が挙げられる。既に土木学会では約300 の適応策をリストアップしている。
(参考資料:土木学会地球温暖化対策特別委員会報告書「地球温暖化に挑む土木工学」2009 年5月、第4編 地球温暖化に対する適応策)

(2) 資源循環、環境汚染
建設部門が建設廃棄物の再資源化徹底、再生建設資材の積極的利用を通じて、循環型社会の構築を先導していくためには、短期的には、各地方ごとの「建設副産物対策連絡協議会」において、これまでと同様に国、地方自治体、関係業団体が一体となった取り組みを継続・強化することが重要である。具体的には、地方ごとの課題に対応するため国の「建設リサイクル推進計画」に基づき地方ごとに計画を策定し、計画に基づき着実に対策を実行、実行結果を評価するというPDCA システムを運用することにより、再資源化等率や再生建設資材の活用度合をスパイラルアップ(螺旋を描くように向上)する。
放射性物質の汚染対策は、これから数十年にわたって行わなければならない短、中期的な課題であるが、放射性物質の挙動などについて不明な点も多く、研究開発と対策を同時進行的に進めることが重要である。

(3) 生物多様性
生物多様性国家戦略2012–2020」では、施策の方向性として次の「5 つの基本戦略」を設定している。
・生物多様性を社会に浸透させる
・地域における人と自然の関係を見直し・再構築する
・森・里・川・海のつながりを確保する
・地球規模の視野を持って行動する
・科学的基盤を強化し、政策に結びつける
この方向性を踏まえつつ、陸地においては、地域の多様な主体との連携と協働による湿地や緑地の保全・再生・創出を通じたエコロジカルネットワークの形成、洪水からの安全性確保と生物のすみやすい豊かな河川環境の保全を両立させる多自然川づくり等の取り組みを進める。沿岸・海洋においては、海域環境改善等の多様な施策の連携による海の再生に向けた取り組み、人工海浜等の自然再生への取り組み、老朽化した護岸を生物共生型に改良する等の生物共生型港湾施設の整備等の取り組みを進める。
なお、海外における公共事業においても、生物多様性は重要な視点であり、国内と同様の取り組みを行う。

4.2.4 長期的に取り組むべき方策

(1) 地球環境問題(低炭素化、地球温暖化)
地球温暖化対策としての緩和策と適応策には、土木分野が関わるものが広範囲に含まれており、緩和策の目的である「低炭素社会・地域」づくり、適応策の目的である「長期的に安全・安心な国土」づくりに土木界は主体的に貢献する。
土木における緩和策としては、次の8 つが主である。①土木工事における温室効果ガス排出削減(省エネ型施工技術開発等)、②土木材料のライフサイクルにおける温室効果ガス排出削減(低炭素素材への転換等)、③ライフサイクルを通じた土木施設からの温室効果ガス排出削減(土木構造物の長寿命化等)④土木施設の供用による温室効果ガス排出削減(道路交通円滑化等)、⑤政府調達におけるライフサイクルでの環境負荷評価制度の導入(LCA)、⑥低炭素エネルギー技術開発支援(再生可能エネルギー技術開発支援等)、⑦都市・交通計画による低炭素都市システムの構築、⑧ CDM 等活用による途上国の温室効果ガス削減支援。
土木における適応策については、「適応策の主流化」「実現のための技術進展と制度・体制作り」「賢い選択と粘り強い適応の実現」を進めるとともに、具体的には次を実施する。水工学では、既存ストックの活用、画期的な水災害リスク評価手法の開発と公開、水資源政策の転換、諸外国の適応策への支援、水問題に関する教育の革新等、海岸工学では、防護、順応、撤退とこれらの組み合わせによる被害最小化と多面的効果の獲得、影響のタイムスケジュールを考慮した対策の実施等、環境工学では、水代謝システムの改善、都市の発汗機能の改善、栄養塩循環の改善による食料生産への寄与、病原微生物・熱伝染病対策の導入等。
(参考資料:土木学会地球温暖化対策特別委員会報告書「地球温暖化に挑む土木工学」2009 年5月、第1 編土木工学は地球温暖化問題に如何にして挑むのか?)

(2) 資源循環、環境汚染
持続可能な循環型社会を構築する上で、建設部門が長期的視点で果たすべき役割としては、革新的な技術開発によって、市場において建設資源の完全循環利用を可能とするとともに、建設廃棄物のトレーサビリティを徹底し不適正な処理を根絶する。
加えて、資源循環、環境汚染を含め環境に関する総合的観点からは、社会資本の整備時から維持管理、廃棄時に至る、二酸化炭素や副産物・有害物質の排出量、リスク、コストなどが最小となるライフサイクル・マネージメント(LCM)手法に基づく評価手法を確立・運用・制度化することにより、土木界が持続可能な循環型社会構築を先導する。

(3) 生物多様性
環境への取り組みは、具体的な個別取り組みとともに多様な主体・施策との広域的・横断的な連携・協働が不可欠である。長期的視点にたって、地域における知恵や資源を活かしつつ、人づくりを進めるとともに、地域間の人と情報のネットワークを構築することで生物多様性への取り組みを強化する。
土木界は、もともと地域に根ざした活動を主体としており、生物多様性への取り組みに際しても、技術面も考慮しつつ地域の文化を尊重し、関係する学会等と連携し主体的・主導的な役割を果たす。

(4) グリーンインフラ
近年欧米では自然の機能を活用したグリーンインフラの導入が進んでいる。グリーンインフラとは、「自然の機能を強化し、自然が持つ持続可能性、多面的な機能を活用するための社会基盤(インフラストラクチャー)」と定義されている。グリーンインフラは、洪水流出量の低減、水質の浄化、都市の気候の緩和、生物多様性の保全、土壌流出の防止、二酸化炭素の固定、環境教育の増進、グリーンツーリズムの増進など複合的な目的により導入される。具体的な構成要素としては、都市部では壁面緑化、屋上緑化、生物が豊かなビジネス公園、生垣、雨水植栽ます、雨水浸透施設、郊外では有機栽培の農地、動物の移動のためのオーバーパス、里山、湿地、干潟、林、在来種による野生草園、養蜂箱、レインガーデン、多自然川づくりなどが例示できる。
グリーンインフラは、緑や水の空間を戦略的、計画的に整備、連結する手法であり、更新費用が安価で維持管理コストが低減、観光や環境教育の場等としての付加価値が向上等の効果が期待されている。土木界は、関係する学会等と連携し地域の住民参加も得て、グリーンインフラの導入を積極的に進める。


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