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地図で見る 日本の地震

土木学会事務局です。

大人が読んでも面白い、ためになる児童書を紹介する不定期掲載「土木技術者も読みたい児童書 #土木の本 」シリーズ(サブタイまでつけて大丈夫か?)、今回紹介するのは2019年12月に刊行されました「地図で見る 日本の地震」(刊 偕成社・作 山川徹・監修 寒川旭)です。

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本日1月17日は、阪神・淡路大震災が発生した日です。26年前のあの朝、noteの中の人は関東に住んでいましたが、布団のなかで僅かな震動を感じて目が覚めたのを今でも覚えています。出勤の準備をしながらテレビで流れる速報、緊迫したアナウンサーの声、そして明るくなり見えてきた被害の姿- 当時建設コンサルタントの1年目で、調査・復旧支援業務への派遣を志願したものの専門分野の違いや経験不足でなにもできず、無力感を感じました。

あれから四半世紀以上の時が経ち、次第に歴史の中の出来事にもなりつつありますが、あのとき何が起きたのか、あのあとどのようにしてきたのか-阪神・淡路大震災に限らずとも、この国で暮らしていくにおいて、過去にどのような地震があったかを知ることは、欠かすことのできない知識ではないでしょうか。子どもと一緒に大人も学べるこちらの本はまさにぴったり。

地図で見る 日本の地震

過去の地震を知ることは、大切な防災方法のひとつです。自分のくらす地域で過去にどんな地震があり、どんな被害があったのか、まず知ることからすべてがはじまります。-偕成社HP 内容紹介より

この本では過去に日本で起きた大きな地震が網羅されていて、震源域がわかるなかでは最古の地震である筑紫地震(679年)から2019年6月に発生した山形沖地震までを、北海道から九州・沖縄まで地域ごとに紹介されています。

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地域ごとのおもな地震が「いつどこで起きたか」を見開きページの地図で示し、地図に示した地震のうちさらに代表的な地震について、くわしく解説されています。巻末には年表とさくいんがつけられ、調べやすく配慮もされています。また冒頭で地震のメカニズムも解説されていて、こどもたちの「地震とは?」という疑問にも答えられる構成になっています。またコラムなどで、地震と歴史の関係も紹介されています。

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画像はそれぞれ刊行時のプレスリリース(PR TIMES)より引用させていただきました。

慶應大の大木先生の書評もおもしろいです。

防災に関するこども向けの本はたくさんでていますが、地震そのものについての本は珍しいのではないでしょうか。対象年齢は小学校中学年からとなっていますが、大人が読んでも大変ためになる、読み応えのある内容になっています。

お近くの書店や図書館で見かけられたら、お手に取ってみて下さい。

イラスト地図は地方別になっているのですが、B0判くらいの大判サイズで日本全図があるといいなぁと言ってみたり。(個人的に欲しいです)

防災の観点からは、同じスタイルで「日本の洪水」というものがあればよいのではとも感じました。

著者の山川さんのツイートによると、企画から刊行まで6年半の歳月がかかったとのこと。

バーチャル見学できる震災関連施設

阪神・淡路大震災のページで紹介されている「人と防災未来センター」は、一般社団法人VR革新機構さんのページから3D+VR動画で見学することが可能です。(人と防災未来センターからもリンクされてます)

震災関連の施設では、気仙沼市の東日本大震災遺構・伝承館も3D+VRが公開されています。

3.11東日本大震災復興リレーシンポジウム

南海トラフ巨大地震のページでは、日本最古の津波碑として徳島県美波町の碑が紹介されています。美波町の影治町長には、2020年9月9日に開催した「3.11東日本大震災復興リレーシンポジウム 東日本大震災と南海トラフ地震の接続点」において、パネリストとして美波町の取り組みなどをご紹介いただきました。

土木学会の震災関連調査活動など

1914年に設立し百余年の歴史を持つ土木学会の活動において、地震災害への対応は設立の初期から重要なミッションでした。学会の100周年誌では、1923年の関東大震災への対応について、以下の記述があります。

学会は帝都復興調査委員会を設け,災害調査と審議を経て意見書を作成して内閣総理大臣および関係大臣,東京府と神奈川県知事,東京,横浜両市長に提出した.一方,翌年1 月,学会は震災調査会を設け,各種土木構造物および施設に関する災害調査と関連資料の収集に当たり,廣井 勇を委員長(以下,委員長は初代のみ記す)とする70 名の委員により,その成果を1926 年8 月に第1 巻5),1927 年1 月に第2 巻6),同年12 月に第3巻7)を公表した.その内容は詳細緻密を極め,以後のこの種災害調査報告の範となり,関東大震災調査書の中でも最も価値あるものとされ,学会の信用と権威を広く江湖に知らしめることとなった.-土木学会の100年 p.34より-

この時に作成された関東大震災の報告書や調査写真は、土木学会のデジタルアーカイブでご覧いただけます。

アーカイブのほか、近年の災害については地震以外の災害も含め、調査報告書を以下のページで公開しております。「地図で見る 日本の地震」に掲載のある地震の報告書も多数ありますので、より深く調べて見たいという方はこちらもあわせてご覧下さい。専門家向けなので、難しいかもしれませんが。

国の地震本部では「日本の地震活動― 被害地震から見た地域別の特徴 ― 」として地域別の特徴を整理した資料が公開されていますので、お住まいの地域のより詳しいことを調べて見るのもよいかもしれません。

土木技術者も読みたい児童書

ひきつづき「土木」に関連するこども向けの本を大人向けに紹介していきたいと思いますので、絵本クラスタ・児童書クラスタのかた、絵本・児童書の出版社の中の人のみなさま、土木・建機・防災など、弊会の方々が興味をもちそうなオススメの絵本・図鑑・児童書があったら「#土木の本」のタグをつけて、noteやtwitterでご紹介ください!twitterDMでも結構です。よろしくお願いいたします。

#土木の本 #偕成社 #土木学会 #地震 #防災


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国内有数の工学系団体である土木学会は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」ことを目指し、さまざまな活動を展開しています。 http://www.jsce.or.jp/