196. 「東京」+「表現」② ~観劇して受け取ったこと~
舞台が始まるまで乃木神社で時間を潰し歩いて六本木へ向かった。
①Z-Lion「テーマ・我が家の家族」in六本木・俳優座劇場
チケットを発券したときにしっかりと確認していなかったのだが
開演前に座席を確認しているとなんと一番前の席であることが判明。
席を見つけて座るとすぐ3メートル先には舞台が!
映画館でも真ん中、もしくは後ろで観る自分にとって
初めて目線を上に向けながら観劇するという体験をすることになった。
舞台には美術によって3つのシーンが用意されていた。
一番中心になるシーンに家の中のキッチン、リビングがあり
舞台の奥行きを上手く使ってリビングの机やキッチンが表現されていた。
また家の中の壁の色合いや小物などそういったものがはっきり分かる程近く
この瞬間しか見れない!という欲しがり精神が爆発し
目をグルグルさせながら飽きずに開演を待った。
②話し手だけが上手くてもあまり盛り上がらない
舞台が始まって役者さんの顔がはっきり見えることに興奮しながら
物語を追っかけっていった。
途中のキッチンでのコミカルな掛け合いのシーンにて気づいたことがあった。
「セリフを言っている人物の演技だけが上手くたって、その場は盛り上がらない」
ということ。
いくらセリフを話す人物が表情を変え身振り手振り使って演技をしたとて
聞き役や周りにいる人間がうなずいたり、相槌打ったり、他事したりと反応していなければ盛り上がっていないように見えてしまうのだ。
つまり聞き役になっている側の演技が上手ければ上手いほど
話し手の演技はさらに良い物になっていく。
そうすることで舞台全体が盛り上がっていくのだった。
今まで演技が上手い。
とか
素晴らしいお芝居だ!
とか
一体どういった違いでそう言われるのか?
と思っていたが素人なりに少し知れたような気がした。
③聞き役の重要性
だが残念ながらあまりそういった陰から盛り上げている演技に目が行く人はそういないのだと思う。
話している人がメインでありそこに目が行く。
でも陰の盛り上げが2時間のストーリー、シーンごとの演技などに大きく影響するのだ。
全て観終わった後に
これって別にお芝居だけじゃなく色んなところで使えることだと気づいた。
初めて会う人と話したりするときは誰しも緊張する。
そんな中で少しでも聞き役が良いリアクションをしたり
話しやすい環境にしてあげると
話し手も緊張がゆるんで一歩深い話が出来たりする。
グループで話し合って何か決めなきゃいけない時も
反応してあげることで自分の主張を少し言いやすくなるかもしれない。
普通に舞台上の話ではなく現実社会でも大事な力だな・・・と感じた。
④芸人さんのラジオでも分かる聞き役の重要性
「オードリーのオールナイトニッポン」を1年前から毎週欠かさず聞いているのだが
今まで若林さんの頭の回転の速さとか、話術が面白いからこれだけ面白いんだろう・・・と思っていた。
だが春日さんの相槌やリアクションの上手さもあるからこそ
面白い空間になっているんだと気づいた。
どっちかがどれだけ長けていたってしらけてしまう瞬間がある。
話し手も聞き手もどちらも力を発揮するからこそ完成される空間なんだな・・・と思った。
⑤あかねんの初一人仕事
話は舞台に戻るが
元櫻坂46守屋茜さんの独立後初仕事であることも今回非常に気になる点だった。
果たしてどんな演技をするんだろうか・・・
役柄的にはざっくりいうとお金持ちの家のお嬢様という感じ
(櫻坂46菅井キャプテンに近い感じ)で性格も高貴でおしとやかな役柄だった。
何十年も役者として活躍する方々に囲まれながら
役に忠実に入り込むねんさんがそこにいた。
舞台最後のあいさつで手を前で組むポーズは櫻坂時代と変わらないなと感じつつ
結構緊張しているようだった。
開演中目の前で演技するのを見るたび
ああこの人が欅坂の副キャップだったのか・・・と頭をよぎっては過去の映像が頭を駆け巡り
そしてこれからどんな人生を歩んでいくのだろうか・・・
という終着に毎回辿り着いた。
⑥テレビの中にいる人を生で観るということ
自分の場合TVやSNS、雑誌、等見れば見るほど神々しく見えてきてしまい
なんだか同じ人間だと思えなくなってきてしまう。
だがこれは昨年の櫻坂「1st TOUR」でも感じたことだが
やはり自分の目で確かめてみると普通の人間なのである。
もちろん芸能の仕事をする上ででの大変な努力、そしてもともと兼ね備えていたもの
そういった特化したものがあるから芸能の道で活躍しているのは確かだ。
でも別に神様でもなくいち人間なのである。
(大げさな話かもしれないが・・・)
毎回肉眼でテレビの中の人を見るとそういった印象を受ける。
1億2千万人いる中の同じ日本人なんだなーと。
なんだか意味はよく分からないがちょっと安堵する自分がそこにいた。
⑦いつも目にする情報が吹き飛んだ
TVがあり、ツイッター、インスタ、公式アプリ、ヤフーニュース、まとめサイト等々
いくつも経由して一般人のところに情報が入ってくる。
そして言葉のチョイスや経由したところの伝え方によって
ちょっとずつ本人が発した内容から変化していってしまう。
それは良い面もあるし、悪い面もある。
本人の実像以上に綺麗に見せることだってできるし
逆に実像以上に印象が悪くなることだってある。
今回生で観て自分自身で感じたことにより
その経由が全部吹き飛んだ感覚になった。
そして同時になんだかその経由がなんて不毛な空間なんだろうか・・・
と思ってしまった。
たまたま運がよく会場の最前列で観れたからこその感覚であり
めったにそんな状況になることはない。
だからこそできるだけ感じ取れるよう経由メディアがあるのは分かる。
でもやはり生で観ることで感じ取れることは
まったく経由メディアは勝てないなと思った。
経由メディアで届いた情報というのは
伝わって欲しい「本質」がひじょーーーーーに薄まって届いているんだなと。
⑧「私」と「表現」
後で調べてみると朝ドラやTVのドラマにたくさん出ている役者さんが多く出演していた。
そうだよなー東京だもんなーと感じながら
日本トップレベルの世界を自分の目で体験できて本当に良かったと感じた。
やはり定期的にこういった人間の「表現」を感じて
今自分が生きる2022年がどんな時代なのか?
そして自分の好きなものは何なのか?
そういったことを再確認することは大切だと思った。
自分にとってそういったものを味わえると
とてつもないカタルシスになる。
非現実に触れてないとやられてしまう。
やっぱり自分にとってなくてはならないものなんだな・・・
と強く感じた経験になった。
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