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先輩にいきなり人生観を聞かれた小話

部活の合宿に行ってきまして。

4人一組の机で、すき焼きの鍋を囲んで夜ごはんを食べるという場がありました。ぼく以外の3人はみんな先輩。

ぼくは新入りなので、一体どういう話題で場が進むのか見ていたら、いきなり人生観の話題になりまして。ぼく以外はお酒飲んでましたし、まぁそんなのものかも知れませんね。

ただ、皆さんはぼくと初対面なわけです。当然ぼくのことは何も知らない。さぁ一体何をどこまで話していいものか。大いに困りまして。

少なくとも、今まで書いてきたnote群のような重みの内容では話せないわけです。初対面なのにぶっ飛ばしすぎですし。

かといって普通の人のフリをするのは、ぼくにはそんな器用なことも出来ないし無理。 

そうこうしていると、話題はまず先輩たちで進んでました。自分の楽しいと思えるところに身を置いて、だめそうならすぐ去るとか。そういう感じのコメント。

ただそれは、ぼくが喋りやすくするための配慮としての、先輩たちの空気作りで。当然メインは新入りのぼくなのです。満を持してぼくに回ってきます。

やはり重くなるのは恋愛トーク。Xジェンダーだともパンセクシュアルだとも言っていない状況なのでかなり立ち回りが難しくなります。かといって初対面なのに性的少数者だと言うのも抵抗があるし。

今までの恋愛経験は、まぁ聞かれますが。ホントにゼロなのでそう言うしかない。まぁ、なんで??好きになることとかないの??って聞かれますよね。ぼくだってこういう展開の場数は踏んでいるので、そもそもあまり恋愛に興味がない、と答えるわけです。

実際のところ興味がないこともないけど。ただ他にいい返答もないし、もし好きなタイプは?みたいな展開になると、パンセクシュアルだと言っていない以上詰みやすいので。しかも実際のところ、恋愛は半ば諦めているので大嘘なコメントでもない。

話題を切ってやり過ごすにはかなり好都合なのです。

ただ今回の先輩方は上手だった。かなりの聞き上手に質問上手で。このあとさらに突っ込んだ質問を多く投げられることになりまして。

どうやらかなりぼくのことに興味を持ってくれているらしいのです。しかも不快な感じでは場を進めていかないので、かなり喋りやすい。

もうこれは仕方がないと。ある程度腹を括ることにしました。性的少数者だとは言わないけど、ただ素が闇まみれなのはそれなりにバレて良いと思うことにしました。だってそれが真実ですから、受け入れてもらえるならそのほうが幸せです。その代わり、この先もまあまあ深めのお付き合いをして、いざというときの相談に付き合ってもらおうと。なんなら、いずれ状況が許せば性的少数者だと告白してもいいかもと。そういう考えで喋ることにしました。

それくらい先輩方はいい人で、上手な人した。

人に裏切られるのが怖いとか、距離感の近めな相手から嫌われるのが怖いとか。場に合わせて、思ってもいない「普通」になりきろうとしてしまうとか。完全に演技をして、自分ではない何かになって生活してしまうとか。

うまいこと乗せられて色々言ってしまいました。自分の過去とか経緯とかはさすがに話さなかったけど。でも結構言ってしまったほうだと思います。

でも先輩方は、驚きはしたけど、少なくとも表向き引いたような素振りはしないでくれたし、よくよく聞いてもくれた。

もうある程度信頼してしまっています。なんでこんなに懐に入ってくるのがうまいんだろう。羨ましいですその能力。

みんないい人でした。なんだか良い部活に入った気がします。

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