首都圏の高学歴・高収入層はどこに住んでいるか【完全私見】

久しぶりの投稿。
筆者が関西の郊外から上京してきたときに感じたことの一つに、「東京全然ヤンキーいないやん」ってことだった。

筆者が関西に住んでいた時は、普通にコンビニの前にはヤンキーがたむろしているし、イオンにはヤンキーが大名行列かの如く闊歩していた。
何なら最も時間を費やした公立小学校・中学校はヤンキーだらけだった。
どういう見た目をヤンキーというのかは、定義が難しいが、少し汚い金髪や茶髪に、日焼けした肌、鋭い目つき、黒色のパーカー、そして道端でもどこでもタバコをふかしていればヤンキーと考えていいだろう。

筆者が最初に上京してきて住んだのは杉並区だった。そこの風景は、筆者が長年過ごした関西の郊外とは全く異なったものだった。まずヤンキーなんて一人もいないし、道を歩いているのはきちんとした服装をした子連れ夫婦、更には近辺の高校生も関西のそれとは全然異なる見た目であった。その後本郷にキャンパスが移ってからは、大学の近く、つまり文京区に住み始めたのだが、そこはまた一段と民度の高い街だった。
筆者は自転車に乗って、よく色んなところを回っていたのだけれども、後楽園、小石川、本郷、本駒込、竹早、茗荷谷、これらはどれも明らかに関西の郊外とは一線を画す雰囲気であった。唯一関西で同じ雰囲気を感じたのは兵庫県の西宮くらいであり、塾の多さや保護者の子供に対する教育熱を含めた民度の高さは至るところから感じたのである。その時はただ洗練された街だなとしか感じておらず、ブンブン自転車を乗り回していたのだけれども、社会人になってから気づいたことがある。
それは、文京区という街は、いくら東大を出ていたとしてもサラリーマンでは殆どのケースで手に入らないプラチナアドレスの一つであるということだ。20前半の自分は普通に住めていたのに、30代になった今では全くもって縁のない場所である。

前置きは長くなってしまったが、今回は、首都圏で高学歴高収入の人が住む町について考えてみたい。

1.     文京区

まず筆頭に挙がってくるのは、文京区だろうか。地名としては、先ほども挙げた後楽園、小石川、本郷、本駒込、竹早、茗荷谷、千駄木、根津、白山等があるが、どこもかしこも高級住宅街である。試しに手元でSUUMOみたいなサイトで物件を見てほしいのだが、マンションは少なくメインは戸建てである。戸建ては一般的にマンションよりも割安で放置されているのが基本線なのだが、文京区のそれの多くは三階建てのいわゆるペンシルハウスで、正直これ狭い区画に無理矢理建てたでしょみたいな物件が多いのだが、それでも1億近くのものが太宗を占める。単純計算にはなってしまうが、住宅ローンの倍率は6~7倍が目安、マックスでも8倍程度と言えるので、文京区に住むには最低でも世帯年収で1600万は必要になる。でも文京区に住めば恐らくそれ以外にも教育費とかが色々嵩んでくるので、実際には世帯年収2000万はないと厳しいと思う。

Twitterでは、世帯年収2000万は大したことないみたいな論調が流れることもあるけれども、いや冷静に考えてどう考えても普通じゃないでしょ。と思う。夫:年収1200万、妻:800万だと理論上2000万にはなるが、どちらもかなり上位層でその二人が結ばれるのだから確率的には相当難しい。それが筆者が東大を出たとしても文京区にはなかなか届かないと述べた所以である。

ここは東大がお膝元にあるからか、教育熱が非常に高い。まず近隣に進学校が多い。女子高トップの桜蔭、(厳密には荒川区だが)千駄木からも近い開成、国立の筑波大附属、お茶の水女子、中高一貫公立進学校として近年進学実績を伸ばしている小石川等々明らかにレベルが高い。これに加えて、文京区は小学校受験でもお茶の水や筑附はかなり人気が高く、更に受験がない普通の区立小学校でもブランド小学校が多い。(筆者も詳しくないが、名門区立小学校に子息を通わせたいがために引っ越ししてくる層もいると聞いて仰天した記憶がある)

文京区を通過する路線としては、丸の内線(茗荷谷、後楽園、本郷)、千代田線(千駄木、根津、湯島)、都営三田線(千石、白山、後楽園)がある。職場が大手町や丸の内、日比谷にあれば、アクセスはかなり良好である。千代田線は果てが我孫子まで通っているし、北千住でつくばエクスプレスと接続しているので通勤時間帯の我孫子・柏方面から大手町、丸の内(正確には二重橋前駅)に向かう方面は激混みである。

また都営三田線にしても果ては板橋区の高島平まで通っており、そこから大量に人を拾うのでこちらも激混みだ。一方で、丸の内線の大手町・東京駅方面はそこまで混んでいない。池袋で埼玉方面から人を拾っているが、文京区の各駅から乗ってくる人は殆どいないのでそこまで混まないのだろうか。

イメージとしては、夫婦揃って東京駅周辺で勤務していて、かつ子供も文京区の学校に通っていれば文京区は利便性の点で最強である。ただし普通に考えると、東京駅近辺で勤務する上位層が結婚し、しかも夫婦そろって転勤がなく、子供も文京区の学校に通えるほど賢いとなると母数は決して多くないだろう。コンサル夫婦や公認会計士夫婦などであれば可能かもしれないが、こうなると今度は時間が無くなる。

但し近年の同格婚の広がりを背景に、夫婦そろって東京駅勤務のカップルも増えているので、文京区の不動産に対する需要は今後も伸び続けるかもしれない。

2. 千代田区

地名としては、御茶ノ水、秋葉原、神田、淡路町、麹町、神保町、九段下、大手町、丸の内などである。ただし大手町、丸の内はオフィス街であるので人が住む場所ではない。このエリアは、ファミリーが住んでいるというよりは、どちらかというと単身層が低層マンションに住んでいるイメージである。20代前半から後半で、忙しい業界で働いており、少しでも会社と家の距離が近いことを望む若手エリサラ層に多い。超長時間労働の代表格であるIBD(投資銀行部門)やコンサル、4大弁護士事務所の若手の中で仕事に没頭したい層が多く住んでいるイメージである。
賃貸の1K、1DKであっても12万は普通に超えてくるので一定の年収層しか住めないし、わざわざここに住む理由がない。ある意味仕事熱心な若手が住むので将来有望かもしれない。

先ほどファミリーは少ないと申し上げたが、それは単純に価格が高すぎるのと、そもそものファミリー向け物件が少ないからだ。麹町、九段下辺りは皇居が近く、どちらかというと昔から住んでいる由緒正しい家庭が多い印象であるし、淡路町や御茶ノ水の物件はパワーカップルでもお手上げの価格帯である。
千代田区には進学校が多い。女子学院や雙葉等の女子御三家もあるし、何より都立トップの日比谷高校もある。更には白百合学園や暁星等のお金持ち学校もある。ただしいずれも皇居の西側にあるイメージで、神田や淡路町などのオフィス街に近いところには進学校は少ない。千代田区に住む富裕層は中学受験の世界ではなく、小学校受験やインターの世界にいるかもしれない。

3. 世田谷区

ここは、東京最大規模の人口規模を誇るとともに、戸建てがメインのエリアである。
地名としては、下北沢、経堂、成城学園前、松原、駒沢、二子玉川、桜新町、用賀などが挙げられる。
最近は、資産性も考えてタワマンが人気を博しているが、かつてのエリート層は世田谷区に戸建てを構えることが多かったようだ。実際、世田谷区はかなり住みやすい。住民の民度はかなり高いし、自然も多いので子育てにも向いている。また戸建てが多く、マンションは少ないので見晴らしも悪くない。
世田谷区は、教育熱がかなり高い。まず、(正確には目黒区なのだが)駒場東大前には東大の駒場キャンパスが立地する。その周辺には日本最高レベルの進学校である筑駒や駒場東邦、更には女子高の中で進学校と呼べる鷗友学園などもある。また近年では進学実績が落ちてしまったが依然として進学校と呼べる東京学芸なども立地する。

街を歩けば分かるが、どこも住民の民度が高い。イメージとしてはパワーカップルよりも、エリート夫と専業主婦の妻といったカップルが多そうだ。資産家も多いかもしれない。
文京区ほどのガツガツさはないかもしれないが、それでもカフェではママ友が学歴の話を延々としているような場所でもある。関西では、学歴の話をしている人はあまりいなかったのだが、それと比較して東京の人は本当に学歴の話が好きである(笑)

路線としては、小田急線(下北沢、豪徳寺、経堂、成城学園前)、半蔵門線(桜新町、用賀、駒沢、二子玉川)、京王井の頭線(下北沢、松原等)が通っている。

大手町や東京駅に通勤するのであれば、小田急線であれば千代田線が直通しているし、半蔵門線でも一本だ。どちらの路線も混んではいるが、激混みと言ったわけではない。
また新宿や渋谷にも通勤しやすい。戸建てがメインなので資産性はタワマンには劣後するかもしれないが、住民の民度の高さや利便性で考えると23区の中でもかなりバランスが取れた町である。不動産の価格にしても都心に比べると手頃である。一馬力でも不可能な価格帯ではない。

4.港区

ここは高学歴が住むというよりは高収入の人が住む街である。高収入というのも少し違うかもしれない。高収入と言うとどうしてもサラリーマンをイメージしてしまうが、ここはサラリーマンが住むのは難しい。どちらかというと地主や経営者、開業医、外銀や外コン勤務の一部のサラリーマンが住むイメージである。どれだけパワーカップルが頑張っても手が届くのは湾岸や芝当たりの一帯までである。地名としては、芝浦、浜松町、芝公園、麻布十番、六本木、東麻布、白金、高輪、赤坂、田町、三田等である。

芝公園や麻布十番、六本木の一部、高輪、田町には若手のエリサラ層が住んでいる。芝公園や三田には都営三田線を使って一本で行ける日比谷や大手町勤務のコンサルや金融専門職の若手人材が住んでいるし、麻布十番や六本木には外銀や外コンの若手は住んでいるが、どちらも人数で見れば少数派である。
ファミリーとなると戸建てやタワマンに住むことになるが、ここは賃貸とは別世界で普通のサラリーマンが手を出せる世界ではない。
芝浦になるとここもタワマンは林立しているが、ここは何とかサラリーマンが手が出せる限界地というイメージである。ただし、如何せん交通の便は良くないので港区アドレスが欲しいだけの人が住んでいるイメージである(芝浦在住の人、すみません)

正直、芝公園、芝浦までが筆者が観測できる範囲であるし、そこより深い港区は普通のサラリーマンが立ち入れる世界ではない。

教育の熱は文京区ほどではないが高いイメージである。まず慶応の三田キャンパスがあるし、御三家の一角の麻布高校、更にはトップ進学校ではないかもしれないが、芝や高輪高校もある。正確には港区ではないかもしれないが、近年海外大学へ進学実績著しい広尾学園も近くにある。
インターも多く、英語教育に対する感度も高そうだ。でも正直実態は分からないので識者がいれば教えてほしい。(再度述べるが普通のサラリーマンが立ち寄れる世界ではない)

4. 中央区

ここは近年再開発が進み、人口の流入が著しいエリアである。地名としては、銀座、日本橋、水天宮、茅場町、新富町、勝どき、月島辺りのエリアである。
勝どき、月島エリアはマンションも乱立していて、ファミリー層も多いが、それ以外のエリアはオフィス街がメインで人が住む場所ではない。月島や勝どき、築地辺りは筆者が大学生の時はそこまでリッチなエリアという認識はなかったのだが、近年ではその利便性の高さからマンション価格が高騰しているイメージである。月島はもんじゃ焼のストリートの中にタワマンがある。昔は下町だったのだが、共働きの進展とともにその利便性の高さからどんどん開発が進んだことが容易に想像できる。

イメージとしては、夫婦ともに有楽町や東京駅で夫婦ともに勤務するパワーカップルが住んでいるイメージである。共働きのパワーカップルが多いので当然ではあるが、教育熱は高い。
元々オフィス街である点∔近年開発が進んだエリアということもあって進学校は少ない。
東京の進学校は開成を除いて殆どが東京の西側に位置している。東京は本当に西側が強く、東側になると良いのは中央区と豊洲や有明等の湾岸エリアを有する江東区まででそこから先は正直下町エリアである。不思議なのは、なぜかここから更に東の千葉のつくばエクスプレス沿線や浦安辺りでは再度高学歴が多くなることである。


文字数が多くなってしまったのでここまでにするが、他には、杉並区の京王井の頭線沿い、新宿区や渋谷区、目黒区、つくばエクスプレス沿線の南流山、流山おおたかの森、柏の葉キャンパス駅、後は京葉線の海浜幕張、更には神奈川の東急東横線沿いや田園都市線沿線、埼玉の浦和辺りも高学歴が多そうだ。

ちなみに高学歴が多いエリアとSAPIXの校舎があるエリアは殆ど一致する。結局のところ、高学歴エリサラ層は自分自身の子供も中学受験に参加させ、学歴の再生産を図るのだ。
東京というか首都圏は住んでいる場所でだいたいどのようなバックグラウンドか推測できるし、似たような人間が集まりそこで競争が行われるという点で残酷かつ競争的な都市であると言える。

また、近年では不動産価格が高騰してしまったので、高学歴エリサラであっても一馬力では都内の物件には手が出ないので、男性であっても本気で婚活をする必要があると思うし、現に筆者の周りの(東京駅勤務の)若手層は本当に結婚するのが早く、ライフプランを確り考えていると思われる。

今後も、首都圏への人口流入が続くと言われているので、エリサラエリアは更に拡大していくかもしれない。