JP-MIRAI youth 企画「学生レポーターによるインタビュー」 第4回 :実習生受入れ企業・日系ブラジル人・ 大泉町観光協会(群馬県大泉町)へのインタビュー(中)

「学生レポーターによるインタビュー」企画第4回目は、12月20日に群馬県大泉町を訪問し、技能実習生受入れ企業、大泉町在住日系ブラジル人、大泉町観光協会にインタビューしました!

今までの記事はこちら↓
第 1 回(監理団体)    
https://note.com/jpmirai_youth/n/n8b453e25907f
第 2 回(愛知県・介護施設)
https://note.com/jpmirai_youth/n/n4c7ca3f56d73
第 3 回(静岡県・建設会社)
https://note.com/jpmirai_youth/n/n2e31b62ce0d0
https://note.com/jpmirai_youth/n/n6897ca34e34b


次に、人材派遣会社で働かれている日系ブラジル人の方にインタビューしました!

Q:なぜ大泉町(日本)に来ましたか?

先に日本に行った姉に続いて、31年前に兄と親と一緒に日本に来ました。知り合いが元々大泉町に住み、パナソニックで働いていて、そこで働く人を募集していたので来ました。日本に住むのは2年のつもりでしたが、気がついたらもう31年です。2年いれば家か車が買えます。でも、家を買ったら車が欲しい、キリがなくなります!
また、28歳で出産したのですが、子どもには日本の教育がいいと思い、日本で暮らそうと決めました。

Q:仕事について聞かせください。

外国人が仕事を探すとき、ハローワークにはポルトガル語の通訳がいてサポートしてくれますが、会社に面接に行く時の通訳や車での送迎などが必要になります。また、ハローワークの求人は日本語で書いてあるので、いくらポルトガル語の通訳がいても1人で仕事を見つけるのには限界があります。私は、そういった場面でハローワークだけではフォローしきれない外国人のサポートをする仕事をしています。あとは、外国人が市役所や病院に行くときなどの通訳やビザ申請のサポート、各SNSを通じてポルトガル語を使った求人情報の掲載をする仕事もしています。掲載をみた人とお話をして、事務所に来てもらって登録し、一緒に履歴書を書いて、会社への見学にも同行します。私の会社にはブラジル人が多く来るので、こういった全体的なサポートが必要になります。
元々は別の仕事(嘱託職員)をしていましたが、時間が短く、子どもの教育費(大学)の為のお金が必要だったので、給料の高い今の仕事に転職しました。

Q:仕事紹介は、今日本にいるブラジル人だけではなく、来日する予定の人も対象ですか?

元々は日本にいる人だけではなく、ブラジルにいる人にも情報発信をしていました。ですが、今はコロナの規制で、新規の入国が厳しくなっています。様々な書類が必要となる為、通常時よりも入国が確定するまでに時間がかかります。それまで、希望の仕事が残っているかわかりません。なので、今は日本にいる人だけを対象としています。

Q:ブラジル人が就職する際の条件には、どのようなものがありますか?

日本語が話せるか、運転免許を取得しているか、あとは年齢などによってですね。例えば、ある会社では35歳までと募集の際に年齢制限を設けています。

Q:ブラジル人を派遣している会社で、トラブルが生じることはありますか?

場所によってはあります。私が担当している会社の中には、何かあればすぐに所長さんから電話がきて、会社まで行き話し合いをするところもあります。また、会社によっては派遣会社の担当が入れないので連絡はきませんが、会社の人が何かあれば対応しているのだと思います。
ブラジル人以外の外国人と喧嘩することもあります。

Q:日本に来てから苦労したことは何ですか?

大変だったことは、季節の移り変わりが激しいことや食べ物関係です。あとは、ブラジルだとすぐにみんな友達になりますが、日本ではなかなか友達になれなくて悲しかったです。兄や姉はブラジルで日本語学校に行きましたが、私は行っていません。だから、言葉の面でも日本に来てから苦労しました。
また、休日の過ごし方も違っていました。ブラジルでは日曜日は全てのお店が閉まるので、友達の家に行ったり、家族と食事をしていました。でも、日本ではお休みの日も買い物をしたり掃除をしたりとみんな忙しくしています。日本に来てからは残業も多かったので、自由な時間が少ないと感じました。
日本食については、ブラジルでも母が稲荷寿司などを作ってくれていたので食べていました。日本に来てからセブンイレブンで稲荷寿司を見て美味しそうだと思い食べたら、甘すぎてだめでした!今は慣れ、料理は何でも食べますが、やはりブラジルスタイルの母の味が好きです。

Q:お子さんの学校について教えてください。

小学校からずっと、日本の学校に通わせました。今は日本の大学に通っています。家庭ではポルトガル語と日本語、両方の言語でしゃべっています。お互い聞くことはできるし、話すこともある程度はできます。

Q:日本の公立学校とブラジル人学校に行く人の違いは何ですか?

多分ブラジルに帰りたい人はブラジル人学校に子どもを通わせます。とはいえ、実際には帰らない人も多く、そういった人たちはずっと親も子どもも日本語が話せないままです。私はブラジルから来て、最初の1年くらいはブラジルのラジオを聞いたりニュースを見たりしていました。でも、ブラジルの天気予報を見ても日本の天気は分からないし、「郷に入れば郷に従う」がいいと思いました。言葉など色々な苦労もあったので、私は子どもを日本人の学校に行かせたいと思っていました。

Q:大泉町ではサンバのイベントを開催していたと聞きましたが、それを始めた理由は何ですか?

多分、ブラジル人が寂しくないような環境を作ってあげたかったんだと思います。サンバのイベントでは日本人との交流もでき、普段は工場で働いている人や、子どものいるお母さんが華やかに踊ります。大泉だけではなく、千葉や埼玉からも多くの人が来ていました。サンバのイベントに来る人は、本当にブラジルが好きだから嬉しいです。

今後、日本で働こうと考えているブラジル人の方々に一言お願いします。

「郷に入れば郷に従え」ですね。その考えがないと日本語は上手にならないと思います。私は子どもをブラジル人学校に行かせることには少し反対です。ブラジル人のコミュニティーだけでは、ママも子供も日本語を覚えられません。大泉町にはポルトガル語しか話せないブラジル人がたくさんいて残念に思います。仕事紹介に必要な履歴書等の書類を見て、日本に25、6年いるけれど日本語が全くできないと書いてあるのはとても悲しいです。


学生レポーターの気づき・学び

私自身、今回は二度目の大泉町訪問となりました。前回は、様々な国の料理を楽しむという観光で終わっていました。今回は実際に大泉町の企業の方々へのインタビューなどを通じて、街の歴史や多文化共生に向けた課題などを実感することができました。日系人をはじめとする外国人の方々がどのような経緯で、どういう思いを持って大泉町にやってきたのか、受入れ社会の構成員である我々がそれを積極的に知る姿勢が大事であると痛感しました。また、ユース活動のように全員が当事者意識を持って発信をしていくことも今後求められると思います。今回の経験を忘れずに、日本における多文化共生社会の実現に携わっていきたいと思います。(北野)


JP-MIRAI youthとは
JP-MIRAI youthは、責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム(https://jp-mirai.org/jp/)のユース組織です。2021年8月から始動し、外国人労働者に関する活動・研究をしている、または関心を持つ方のための学びや交流の場を提供しています。

「学生レポーターによるインタビュー企画」とは
学生が外国人労働者受け入れ支援に取り組んでいらっしゃる企業・監理団体・送出機関等に取材をし、さらに外国人労働者の方々にインタビューをすることで、多文化共生や在留外国人に関する知識と理解を深めることを目指す企画です。学生が外国人労働者支援の現場を実際に訪問し、そこで得た学びや気づきを同世代に発信していきます。

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