好きって言えなくて

子どものとき、好きって伝えることはもっと簡単だった気がする。好きという気持ちは真っ直ぐなもので、そこに分かりにくいことなんてなかった。好きなものがあったら、その素敵さを他の人にも味わってほしいし、誰かが素敵だったら、あなたはとっても素敵って言いたかった。でもいつからかそれを伝えるのが難しくなった。例えば「その服素敵だね。似合うね」なんて言ったら、相手は評価された気がして嫌かもとか考えるようになった。私はそもそもこの世界で、自分は価値がないと思われる人間なんじゃないかという不安を抱えた子どもだった。それで、他人に対しても「あなたは大切な人だよ。こういうところが好きだよ」って言いたかったんだけど、それは自分と自分の好きな他者が何らかの評価をされることを恐れていたってことなんだよね。だから誰かや誰かの産み出したものを褒めたり、好きっていうことで、自分が評価をしてしまうことが怖かった。
好きという言葉の裏には好きじゃなくなる可能性がある気がした。全ての言葉は、その反対の言葉を感じさせる。相手も私も変わるし、変わることは悪いことではないのに、何かを固定してしまうかもしれない。そんな自意識過剰なお話しでした。今度はでも評価は励みになるよって話がしたい。



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