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宗教や信仰についての雑記 #91

◯祈りについて②

前回、祈りには祈願する以外に他の面があると書きました。
それを一言で表せば、心の変容、ということになると思います。

以前の投稿(#28)でも書きましたが、信仰は視線の逆転をもたらします。自分が世界に働きかけるのではなく、世界から働きかけられている、という逆転です。
そしてこの場合の世界とは、超越者からの働きかけの媒介であり、まずそのような認識があって、世界の一部である自分もまた、その働きかけの媒介の一部として世界に働きかけるのだという視点を持つのです。

祈りとはそのことの確認であり、また、超越者との対話であり、そこからのメッセージを受け取る行為でもあります。

言い換えればそれは、人生への信頼の回復です。
宗教を意味する英語のreligionは「再び結びつける」という意味もあるそうですが、それはこの人生への信頼の回復のことを指しているように私には思えます。
そのような信頼の回復により、自分や世界の存在、人生や苦悩の意味を受け取り、それに伴っていた悲しみや怒り、不安や虚しさが解消されて、前を向いて歩き、困難に対処する勇気を得るのです。
そのような心の変容(成長や陶冶)という意味も、祈りには確かにあると私は思っています。

現在の科学技術が発達した世界の中で、私達は祈りの中に祈願だけでなく、心の変容という意味をも認め、それをより重視しなければならないと、私はそう思うのです。

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