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宗教や信仰についての雑記 #84

◯ペイフォワード

前回、「ペイフォワード」という映画があったことを思い出しましたと書きました。
この「ペイフォワード」という言葉は「ペイバック」(借りを返す)の反対の意味で「先へ渡す」ということだそうです。

この映画は、世界を良くするために、受けた恩を他の三人の人に渡すということを身近なところから始めた少年の話です。
この作品の考えに共感して「ペイフォワード」という言葉をその名前に用いたNPO団体などが、実際にいくつかあるようです。

自分の受けた恩を、様々な理由でなかなか返せない人に、もし神様が何か言うとしたら、このペイフォワードのことを言うような気がしてきました。
恩をくれた相手には神様が報いてくれるから、そのことは気にせずに先に渡せと、そんなふうに言うのではないかと思います。
そしてまた、他者に与えた恩が返ってこない人には、そのことについても神様がちゃんと考えてくれているから、いつまでも気にしているな、と言うかもしれません。

自分が受けた恩を他の三人の人に渡すということを誰もが行なえば、世界はより良いものになってゆくはずでしょうが、現実はなかなかそのようになりません。
おそらくそれは「恨み」の存在が世界に根強く残っているからでしょう。
恨みを捨てるのは口で言うほど生易しくはありません。捨てたつもりでも意識下で熾火のようにくすぶり続けてしまいます。
恨みは新たな恨みを生み、更にその恨みがまた別の恨みを生んで、どんどん増殖してゆきます。
他方でペイフォワードを行なっても追いつきません。

ペイフォワードも大切ですが、やはり恨みの心に対処することが先決すべき課題のようです。
「復讐するは我にあり」ということを、心に深く刻み込まなければならないのでしょう。

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