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インターネット回線は激遅 - ドイツ語で喧嘩できる人じゃないとドイツでネットは使えない?? -

以前地元のモバイル通信の問題点について投稿したことがある。

その昔、私の地元ではインターネットの新規契約は結構大変で、他の日本人から苦労した話をよく聞いたものだ。

別に手間がかかるというわけではないが、まず販売員がお話にならない。多分だが販売員は何もわかっていなくてアドバイスは見込めなかった。今は若い世代が増えてましになったと思いたい。

接続でトラブルがあっても「担当者ではないから答えられない。上司はいない」と言われることが頻発し、ここからはどのくらい食い下がって論破できるかが勝負だ。「だったら誰がわかるんだ?わかるやつを出せ。こっちは貴重な時間を割いて店に来ている。すぐネットが使えないと仕事にならなくて困る。今すぐなんとかしろ。」日本だったらクレーマー扱いされるだろうが向こうではこの位食い下がらないと担当者は出てこない。

数週間後、工事業者が設置に来るが、平日しかやってないし、約束した通りに来るとは限らない。これは引っ越し業者とかも同じ。つまり開通までそこそこ時間がかかるし、ちゃんと来独したばかりの日本人のように、しっかり店員とコミュニケーションが取れないと大変なことになるようだ。

ネット回線そのものの問題点

私が子供の頃、既に日本では定額制になっていて、早さが全然違うとは聞いてた。そこそこ大人になってからもも日本の方が圧倒的に早いし、何より普及率が桁違いだった。

ドイツでは2000年代にフラットレート化し、ブロードバンドが普及開始し、電話会社が民営化され始めた。しかし環境が良くなっているとは言えない。

なぜドイツのネットはここまでダメなのかを解説した、私の投稿ではもはやおなじみFunkの動画を参考にさせてもらう。

2017年度ネット平均速度ランキングは25位(15.3Mbp/s)、2015年度は22位で、韓国と単純比較すると速度はほぼ半分。最高速度ランキングは世界45位(65.6Mbp/s)だった。

ブロードバンドのうち光ファイバーは2.3%で、OECD平均は23.3%。コロンビアはドイツの4倍、ウクライナは9倍、日韓は33倍の普及率で、世界ランキングを見るとドイツ以下は4か国のみとなっていた。

4G回線は平均速度、普及率共にヨーロッパ32位。価格はヨーロッパの中で最も高い部類で15GBが30ユーロ;上限なしで80ユーロとなっている。オランダ、デンマークあたりは25ユーロ程度と圧倒的低価格。

ドイツのブロードバンド33M回線のうち24.7Mが銅線、7.6Mは同軸線、前述の通り、残りちょこっとが光ファイバーであった。

実は80年代にはすでに光ファイバー導入の話はあったという。しかしコール首相誕生で一切なかったことになり、代わりにケーブルテレビが導入された。

なぜこうなったのか?

この時代、ドイツテレコムが市場を独占してて競争や発展がなかった。政治的にもインターネットは重要視されなかった。

私の着る限りでは日本はNTTが積極的にやりたがったような記憶がある。韓国は当時から今現在に至るまで戦中のため、軍事のこともあって高速回線が重要なのは想像できる。

2010年になると"Europa 2020"が発表された。目標は
①2013年までに全国民にブロードバンドを提供すること
②2020年までに速度を30Mbit/sに引き上げること
③50%以上の家庭に100Mbit/s以上の接続を提供すること
この三つ。

ドイツはこれに習い
①2010年までに全国民にブロードバンドを提供すること
②2018年までに速度を50Mbit/sに引き上げること
(目標③はなし)
そしてその結果はというと…実現しませんでした☆
2017年の時点で77%の家庭で50Mbit/sの速度を達成することには成功した。

その頃テレコムはVDSL2ベクトリングによって速度を出そうとした 。
「VDSL2ベクトリング」についてはWikipediaをご参照ください。

 しかし、この施策は劇的に状況を改善するものでもなければ、テレコムがジャンクションボックス独占する必要があった。すると欧州委員会は競争を阻害するとしてベクトリングを禁じたのであった。

2016年には「2025までに速度をギガバイトまでに押し上げます!」と目標設定したものの、2年後になると実現不可能であったことが発覚し撤回。そして同年にようやく「工事現場では必ずネットを光ファイバーに入れ替えること」という法律が施行された。
他国ではすでに国が援助したり、民営化で競争させたり、導入が遅れている地域には対策などしていた。
というわけでドイツに満遍なく光回線が敷かれている大都市は一つもないということになってしまった。スマホがダメだったのもこれが原因である。

政府が政策としてプッシュしなかった理由は「需要がないから」。ちなみにドイツでほとんど/全くネットを使わないと言う人の人口は1100万人と言われている。これを「需要がない」と呼んでいいのか正直よくわからない。

日本にも知れ渡っていた政策の杜撰さ

ものはついでと思い日本語で検索してみたところ記事がそれなりに出てきた。

ひたすらデジタル化に出遅れていて、モバイルでは5Gも間に合わない、そもそも速度が出せないのではと言われ始めていることが語られており、そしてそれがドイツの産業と教育に悪い影響を与えているとしている。

ドイツ人というのはとにかく保守的な人たちで、(個人個人の生活に照らし合わせて)ネット回線は必須でないし、ネットは信用できないものだからできれば導入したくない;「これで十分でしょ」でやってきた結果取り残されてしまったところがある。そして問題はその影響が大きいことだ。

日本が学べること

感想としてはメリハリが大事だと思った。将来性のあるものは進言、そして投資する。その上で世界動向を含めその経過をよく観察し、考察するべき。盛り上がるのは前者だろうが、後者の方が圧倒的に大事だと考えている。インフラは維持の方が大変だからだ。

個人的には日本であればマイナンバーはセキュリティ面の完備含めてかなり急務だと考えている。反対を唱える人もいるが国民が確かな身分証を持つこと、そして情報を紐付けしインフラ化することは重要だろう。
ちなみに私は日本で身分証なしで出歩いていいなんて知らなかった…ドイツは全員にIDカードが発行されており、不携帯は基本的に違法なのだ…。

#インターネット #IT #インフラ #ドイツ #海外生活 #海外暮らし 

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