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物議を呼んだ開会式

一応昨日のつづき。

結論から話しておくと、私は「みんな違ってみんないい」と信じている。
MIKIKO先生、ライゾマティクスらによって超絶かっこよくなるはずだった東京の開会式がイマイチな仕上がりになったとはいえ、最終的には「コロナ禍にしてはまあ普通に悪くないんじゃない」くらいには思ったし、今回のも批判はあるものの「政治をスポーツに持ち込むのは良くないんだけどこれをやっちゃうのがフランスっぽい気がしなくもない」程度には理解できた。
ただしあのフランス的価値観は私は嫌いである。

マリー・アントワネット

マリー・アントワネットを斬首し、庶民が貴族を打ち倒したフランス革命はフランス「共和国」の最大の功績である。これはフランス的視点であり、別に間違いではない。

オーストリアから嫁いできたマリー・アントワネットの首をギロチンで切り落としたモチーフに合わせメタル演奏し、最後は血飛沫を彷彿とされる赤テープとスモークを発射。

まあ、攻めてていいんじゃない?ロックだし。ただロックってIOCという大きな組織から「これやってください!」と言われて「いいよ!」とするのがロックか?と考えると疑問は残る。
同じ「演出されたロック」でも東京パラリンピックで布袋寅泰が身体が不自由な人々と奏でたロックの方が「俺たちでもできることを見せてやる!」という魅せ方になっていた印象があって、ウェスタン・ロックは本当にデッドかもしれないなあと考えさせられる。

首の断面が登場したのは「誰もが楽しめる平和の祭典」としては肯定はし難い。一方で伝統と最先端、遊び心、教養、アート、ファッショナブルでエネルギッシュ、そんなパリの表現としてはとても良いし、うまく表現されていると思う。
「フランス史上最も嫌われた貴族の斬首」という「電気椅子がないならギロチンを使えばいいじゃない」的な、独裁者と対峙する姿勢もとてもフランス「共和国」的であった。

とは言っても王制や天皇制を敷いている国は、ヨーロッパも含め、この世界にまだ多く存在していて、それが必ずしも「撃ち倒されるべきもの」ではないと考えられているという事実がある。フランス人は日本の天皇制やオランダの王制を見て「民主国家ではない」「打ち倒すべきだ」と首を斬りに行くことを勧めるのだろうか。ちょっとよくわからない。

一つの現実として、フランス革命という「輝かしい偉業」の後に待っていたのは恐怖政治による多くの人々の死であり、今回のようにマリー・アントワネットを嘲笑う時、ヴァンデの反乱で犠牲となった命を嘲笑うことになるのだ。

最後の晩餐パロディ

最後の晩餐はキリスト教的には重要な位置付けにある絵画である。本来のキリスト教的には同性愛はとても受け入れられない思想なのだが、だからこそ西洋ではLGBTQ+コミュニティに対する理解を促進する運びとなった背景はもう語るまでもないだろう。

キリスト教というのは本来とても「保守的」な思想で、その人たちからすれば最後の晩餐をモチーフにドラアグクイーンが子供の前でパフォーマンスしているのは受け入れ難いことと想像する。

やれ「左翼」だとか「WOKE」だとか、そういう話をするつもりはないのだけれど、やはり性的嗜好をとこまでオープンにして、誰に見せるべきかという意見には政治的思想が背景にあって、なぜキリスト教の絵画一つがそこまで政治的なのかと聞かれれば、宗教が世界の大半にとって政治の礎だったからに他ならない。

スポーツを見にきたのに政治的説教をアートという形で見せられては「思ってたのと違ーう!」と言われても無理はない。

個人的に嫌だったことをあえて書いておくと、「青い肌」というのはインドなどでは神を表すものであり、裸体の男性が青い肌で歌い踊り出したのは、1人のアジア人としてはちょっと看過できなかった。何より伝えたいことがよくわからなくて、ドラアグクイーンを前面に押し出されただけで、メッセージ性を感じ取れなかった。
ドラアグクイーン=LGBTQ+かと言われればそれも大きな間違いだと思うし、「自由」の名のもとに偏見を広めている感覚を覚えたのも違和感の正体かもしれない。

大韓民国北朝鮮取り違え問題

これはまあ事故というかなんというか、韓国人の話を聞いていても「出身は?」と聞かれて「Korea」と答えるとギョッとされたり「北の方?」と聞き返されたりするらしいので、大韓民国と北朝鮮の関係性やアジア情勢に対する無関心が生んでしまうものだと思う。
いや、でも平和の祭典で休戦中の国と間違えるのはダメでしょ。
Libertéを祝う前に頭に叩き込んでおくべきことはあるでしょ。

そんな開会式でした。

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