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11,燻り続けるフォティア

何かに、迷った。
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シリーズ11曲目です。
かなり自由な曲調の曲となりました。テーマは夢と焦りです。明るいような、少し物悲しいようななんとも言えないメロディになった気がします。
以下この曲の物語。
「すまなかった…許してくれ…そんなつもりじゃ、俺は優柔不断なんかじゃ、ない。あれは偶然だったんだ…。

最近は売れる物を手に入れるのも一苦労で…森を、彷徨っていたら倒れている野兎を見つけて…。そこの森は、妙に弱っている獣が多くて…そこ獣たちを拾っては捌いて売る事で、何とか生活を繋いでた。家の子供たちの為にも、稼がなきゃいけなかったんだ…売れるものは何でも売った…。
…あの日、森に子供が落ちていた。まるで眠るように地面に蹲っていて…。それを見て、思った。これは高く売れると。人買いに売ってもいいし、薬師に売れば材料として買い取ってくれるだろう。俺は迷わず、その子に抱えて家に帰って…。家のいつもの解体場に子供を寝かせて…。
そこで俺は怖気付いた。人なんて売った事も捌いた事もない。他人の子とはいえ、その幼い顔を見ていると躊躇いを感じた。バレて捕まればどうなるか分かったものじゃない。…森に返せば、自ら目を覚まして家に帰るかもしれない。けれど、そんな事をすれば大金を得る機会を逃す。迷いに迷っているうちに、子供の呼吸が荒くなっていることに気が付いたんだ…。
俺は何もしていない!子供がっ!勝手にっ!弱ったんだ!俺が手を下したんじゃない。…あの子は勝手に死んだんだ。」

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