画像1

10,目覚めを求め彷徨うアゴーリ

何かに、迷った。
00:00 | 00:00
シリーズもの10曲目です。
少しシリアスに曲になりました。夢の中、不安な気持ちを必死に抑えながら彷徨う幼子をイメージして書きました。ふわふわ漂いながらも、出口の見えない不安感と何となくどこかに希望がある気がして諦められない子供らしさが出せた気がします。
以下この曲の物語。
「僕は何で此処に居るんだっけ。…そもそも僕は何処から来たんだっけ。覚えている事…一番昔の思い出は、母さんと父さんと妹と。
そうだ、母さん言ってた。お前はよく食べるから困るって。せめてお前さえ居なければ、皆飢えずに済むのにって。…その言葉が、始まりだったような。
僕は、そうだよ。だから僕は考えたんだ。横でいつもお腹を空かせていた妹を見てたから。せめて森に行けば、何か食べられるものがあるかもしれないって。何度も森に連れて行ってもらって。ポケットに入るだけ、たくさん木の実を取って、妹と分けて。…少しでも皆の役に立ちたくて。でもそれは母さんには内緒。だって、母さん僕が何かする事を嫌うから。お前はいつも余計な事をするって、よく言われたから。森に行くのも、遊びに行きたいって言って連れて行ってもらってた。
そう、…そうだ。あの日もそうやって森に連れて行ってもらって、そしたら見つけたんだ。白くて丸いお菓子。小さい頃はよく買ってもらってたお団子を。一口食べて、口いっぱいに広がる甘さに涙が出そうになった。お腹がいっぱいになるのを感じるくらい食べて…そしたら、とても悲しい気持ちになって。どうして僕は、いつもお腹を空かせながら、母さんに嫌われながら、こんなに一生懸命に生きているんだろう。思えば思う程涙が止まらなくて。
だめだ…、考えてたら眠くなってきた。…考えなくちゃいけないのに。なぜかは解らないけど、せっかくここまで思い出したんだから、もっと考えたいのに。…もう眠い。」

この記事が参加している募集

#私の作品紹介

96,726件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?