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何かと話題の「ライブコマース」、地域での活用を考えてみた。

最近いろいろなところで「ライブコマース」という言葉を聞いたりしませんか?
さて、このライブコマースとはなんでしょうか。


ライブコマースとは?

ライブコマースとは、テレビ通販のWEB版的なもので、デジタルプラットフォーム上でライブ動画配信サービスなどを利用して、ライブ配信で商品を紹介します。
その中で視聴者とチャットを使って双方向のやりとりをしたりしながら進んでいき、視聴者はそのライブを見ながら商品を購入するものです。

ライブコマース先進国は中国

このライブコマース、日本ではまだまだこれからといったところですが、中国では凄いことになっています。
ライブコマース先進国といわれる中国では2017頃から2019年に市場が拡大し、2020年には9610億元(約19兆2200億円、1元=約 20 円)、翌年の 2021 年には1兆2012億元(約24 兆240億円)に急拡大しました。
今後も拡大していきそうです。

中国でライブコマース市場が拡大した背景

新型コロナウイルスの感染拡大により、中国でも2020年に外出自粛が広がったことで、巣ごもり需要がライブコマースの流行の要因と考えられます。

そして、中国のライブコマースの特徴として、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる専門性の高いインフルエンサーの存在が大きく影響しています。
中国ECでは粗悪品も多く、視聴者は信頼できるKOLが紹介する商品を購入するのです。

中国のECでは以前から口コミがかなり重要視されていて、ライブコマースではリアルタイムでKOLやインフルエンサーたちが詳しく商品を紹介し、さらに視聴者はチャットなどで商品に対しての質問をすぐに回答するといった双方向のやりとりができることから、信頼して購入します。

「ライブコマースの女王」といわれる薇婭(viya)さんが約6億4300万元(約115億円)の所得隠しで摘発されたといったニュースでも話題にもなりましたが、有名なKOLは1回のライブコマースで莫大な販売数を獲得するのです。

日本のライブコマースの状況は?

では、日本のライブコマースはどんな状況でしょうか。

ライブコマースと相性が良いとされるアパレル業界では早くから導入されていますね。

 日本のライブコマースでよく知られているのは三越伊勢丹です。
百貨店の老舗である株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、2019年11月15日にライブコマースを実施、お歳暮商品を紹介して過去最高のEC売上を記録しています。
 
ファッション関連のセレクトショップを展開する株式会社ビームスは、2020年3月27日に初のライブコマースを実施し、スーツやネクタイなど紳士向けアイテムを紹介。1時間の配信で6,000人以上の視聴者を獲得し、100万円弱の売上を記録しました。
NTT東日本さんのWEBサイトのBIZ DRIVEで紹介されています。

そして、こちらも相性の良いコスメ業界。大手の資生堂も中国での展開が好調ということで、国内も本格的に展開しています。

地域での取り組みはどうでしょうか。
愛媛では、地域×ライブコマースの企画会社を起業されて。 真鯛、アジ、真珠などライブコマースで展開されている「デジタル愛媛ツアー」の取組がありますね。

日本国内でのライブコマースはまだまだ黎明期と言われていますが、コスメやアパレルを中心に多くの企業が進めています。

ライブコマースを始めてみる

では、実際にライブコマースを始めるにはどうしたらよいのでしょうか。
まずはライブコマースの配信方法を見てみましょう。

ライブコマースの配信方法

楽天市場ショッピングチャンネルサービス
楽天に出店されている事業者様なら「楽天市場ショッピングチャンネルサービス」を利用すればすぐにライブコマースが始められます。
「楽天市場」が運営しているライブコマースチャンネルなので、視聴者に配信や購入に安心感を持ってもらえる、頻繁に開催されているセールやイベントの恩恵など集客面でのメリットもあります。
ライブコマース上で簡単に購入ができたり、クーポンが表示されたりとショッピング機能も充実しています。

YouTubeやInstagramなどの「SNS型」
YouTubeやInstagramのライブ配信機能を使って簡単にライブ配信が可能です。
すぐできて無料なのでライブコマースをはじめてやってみようという方にはよいと思います。
ただし、ショッピング機能はないので、ショッピングサイト等に誘導して購入してもらうことになります。SNSでフォロワーがたくさんいる方はメリットがありますね。

ZOOMなどのWEB会議ツール
ZOOMなどのWEB会議ツールを活用してライブコマースを配信することも可能です。
会議システムなので、途中にスライドを挿入したり、数か所からの中継もできることはメリットですね。
SNSのライブ配信サービスと同じく、ショッピング機能がないので、こちらもショッピングサイト等に誘導して購入してもらうことになりますね。

ライブコマース配信サービス
多くのライブコマース専用の配信サービスやツールが提供されています。
・Live kit ・TAGs API ・Hands UP ・TIG LIVE … と他にもいろいろあります。
基本の「ライブコマース機能」や「分析機能」のほかに、配信した動画のアーカイブや、ユーザーからアクションしてもらう機能など、さまざまな機能が搭載されています。
ライブコマースのプラットフォームにも「SaaS型」や「アプリ型」があり、サービス内容や料金設定など様々ですので、やりたいライブコマースの目的や内容によって選ぶ必要がありますね。

システムを自前で開発
前述したようにさまざまな配信サービスがありますが、「帯に短し襷に長し」ではないですが、それぞれの特徴や機能が違うので、全ての機能が揃っていて、やりたいライブコマースに完全に対応できるかというと疑問ですね。
ライブ配信が簡単にできて、ショッピング機能と自社サイトと連携できて、ライブ中に動画やスライドを挿入できて、数か所から中継もできる、といったものは現在ではまだないので、自社用にシステムを開発しているケースもあります。

ライバー?販売は誰がやるのか?

中国のライブコマースではインフルエンサーやKOLが活躍していると前述しましたが、ライブコマースをはじめるにあたって、ライブ出演して販売する人は非常に重要です。
アパレル業界では、販売員さんや社員の方などが自社ブランドや商品を販売するケースが多いようです。
コスメ業界では資生堂はBCと呼ばれるビューティーコンサルタントが出演しています。
もちろん、インフルエンサーやタレントを活用しているケースもあります。また、ライブ配信アプリを使ってライブ配信を行う、職業としての「ライバー」も注目されています。

視聴者の集客

ライブコマースで最も大きな課題は、やはり視聴者の集客だと思います。
当然のことながら勝手に視聴者が集まるわけはなく、集客に向けた施策も必要になります。
インフルエンサーを使うのは、この集客目的が大きいと言えます。

ライブコマースは地域で活用できるか?

この将来性が期待できるライブコマースの地域での活用を考えてみましょう。
コロナ渦に話題になって人気もあった「オンラインツアー」。最近では話題にはなりませんが、HISさんは継続してオンラインツアーを実施しています。
リアルツアーの代替としてのオンラインツアーではなく、リアルツアーにつなげるためのプロモーション性の高い展開や、なかなか行きにくい秘境の地をオンラインでめぐる、地域の観光の魅力を紹介する目的、とオンラインツアーを活用していくのも有効だと思います。

そして、地域がますます注力している地産品・特産品の販売にライブコマースは適していると思います。

そして、ライバーとして地域の個性的なキャラクターを育てていくことも重要です。
農家さんや漁師さん、料理人さんなどの生産者さんが直接販売するのも魅力的で効果があると思います。
観光に関しては名物ガイドさんや地域で有名な個性的な自治体などの方など、地域にはさまざまなタレントがいらっしゃるのではないでしょうか。

地域の魅力を発信しながら、地域の地産品を販売する。オンラインツアーとライブコマースを融合した新しい展開は今後増えていくと思います。
 
ちなみに弊社も栃木県の益子町でオンラインツアー+ライブコマースをトライアルで実施したことがあります。

益子町の魅力を紹介しながら、益子町の特産品である「いちご」と「益子焼」を販売しました。

トライアルの1回配信だけだったので視聴者数も100程度でしたが、実際に商品購入につながり、可能性を感じられました。 

地域でのライブコマース、ANAが地域の商品のライブコマースに取り組んだりと、今後さまざまな地域や事業者が参入してくるのではないでしょうか。
 
新通観光プロモーション戦略室では、全国各地の事業やプロモーションのお手伝いさせていただいております。

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