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るろうに剣心〜読書から生まれた未完成なBARの哲学

自分が中学生の頃からジャンプで連載していただろうか、読み切りの時からインパクトのある漫画だった。

大人になってからも何回も読み直し、ちょうど今もさらに読み直している。

ストーリーが面白いのもさることながら、キャラクターごとの哲学がハッキリしていて、それぞれにおいての正義というものがあるのが面白く、江戸後期〜明治に移り変わる激動の中での歴史を各人物の哲学的視点で知ることができるのが面白い。

そんな中、私が影響された哲学をいくつか挙げていきたい。

まずは主人公の緋村剣心

『この目に映るものくらいは守れるでござるよ』

緋村剣心は自分の剣が世の中を変えると信じて、明治維新に参加した。しかし実際は変えることができなかった事実を重く受け止める。そして自分の目に映るもの位は守っていきたいと誓い、流浪の旅に出る。

21年前の私は、地元に帰ってきて、錆びれてつまらなくなっていたこの街を変えてみせると息巻いていた。夢と希望に満ち溢れ、周りには後ろ指をさされつつも自分なりに地域貢献を目指し、いろんなイベントに顔を出したりしていた。

しかし、あるイベントに参加したときに大人の社会の理不尽さを知り、まだ青かった自分はこんな大人ばかりでは街では永遠に変わらない、と失望した。一度はそこでこの地域への貢献というものに虚しさと無力さを感じ、それまでのやる気が失せてしまった。

その後、この漫画を読む機会があり、緋村剣心の哲学を知る。

そして、その影響で生まれた自分の生き方とは

『大きなイベントで花火を打ち上げて、一瞬盛り上がって終わるより、毎日誰かが来るこの店のカウンターで精一杯の仕事をし、その人たちに元気や力を与えられたら、その人たちのそれぞれの歯車に油が注され、世の中がうまく回るのではないだろうか。結局自分にできることというのは、目の前の人たちを自分の仕事で救うことではないだろうか。飲食業の中でもこの特殊な仕事は人に力を与えられる根本的な仕事なのではないだろうか。』


こう思って以来、自分は人と仕事をせず、地域の仲良しごっこのようなイベント事を一切やめ、ずっと1人でカウンターに立ち続けることを決めた。それは今なお続いている。


他のキャラから影響を受けた哲学もたくさんあるのだが、長くなりそうなので、次で最後にしておこう。

新選組3番隊組長 斉藤一

彼の哲学は特に多い気がするが、技術的哲学を1つ。

彼の必殺技『牙突』

これは新選組隊士が使う平突きを極めに極め、昇華させていった技だと言う。

斉藤一は自分の正義を貫き、どんな権力にも属することなく、ひたすら自分の技を磨き続ける、まっすぐな男だ。

そんな哲学から生まれた自分の仕事のスタイル

私のバーテンダーとしての技術は、実にシンプルで難しい事は正直言ってできない。カクテルコンペに出るようなオリジナルなんてもってのほかである。

だから、スタンダードカクテルしかできないのだが、そのスタンダードの中でも、たまたま評判の良かったものを突き詰め昇華させたものが、現在の当店の名物になっている。

⚫︎モヒート
⚫︎アイリッシュコーヒー
⚫︎ゴッドファーザー
⚫︎ニコラシカ

とりあえずこんなところだろうか。

不器用な自分が何をできるかと考えた時、ただただ同じものをひたすら作り続けるしかなかった。その毎日の中で、失敗やお客様の言葉がヒントになり、少しずつアップデートしていった。それは現在もなお進行中である。何が進化のヒントになるかわからないが、ただひたすら作り続けるしかない。ふとしたきっかけで変わる瞬間がある。それを繰り返して、平突きを極めて牙突に昇華していくのと同様にやってきた。そして今現在、あの店のあのカクテルと呼ばれるようになったのは、自分でも本当に光栄だ。


と、まあ他にもあるのだが、るろうに剣心と言う漫画には、たくさんの哲学がちりばめられており、私の現在の商売のスタイルにつながっている。

皆様も、ぜひ読んでみて影響されるものがないか感じて欲しい。

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