![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/116010155/rectangle_large_type_2_39643f4b252daf6d98888310010fd7f5.png?width=800)
「いつも同じお弁当なんだもん」って言うから
長男の園は、月に一度「お弁当の日」がある。
我が家は毎月ほぼ同じメニューで、おむすび2つと、好物のコロッケ、卵焼き、ブロッコリー、あとはアンパンマンポテトとかかぼちゃとか。冷凍食品も普通に使っている。
長男の園では、「キャラ弁」禁止。
おたよりにも、「いつも食べている普段のご飯と同じようなお弁当でいいです」と書いてある。それよりも「食べやすく、食べきれる量で」とのこと。
だから長男の弁当は、本当に飾り気ひとつない素朴な茶色い弁当だ。
今月のお弁当日も、それを持たせた。
ところが。
登園して教室に行き、先生に「じゃあお部屋に行こうか」と声をかけられたとき、寂しそうな顔で言うのだ。
「〇〇ちゃんのお弁当、いつも同じなんだもん」
え!?いやだったの!?
しかもそれ、今先生の前で言う!?
「毎月茶色い弁当を持たせている親だと思われたら恥ずかしいじゃん」と、しょうもないことを気にするわたし。
先生は「いつも同じ、いいじゃーん」と言ってくださったのだが、当の本人はしょんぼりのままだ。
え?そんなにいやだったの?
おかしいな。一応前日に、お弁当の中身はいつものでいいか、確認したんだけどな。
結局、大したことも言えずお別れとなり、帰りの車で、私は長男の発言の真意を考えた。
もしかして長男は、ずっと前から「いつもと同じお弁当」ではなくてもいいと思っていたんじゃないだろうか。
長男はおとなしく、あまり意見を言わないタイプだ。
お母さんにわざわざ言うほどじゃないけれど、周りの子のお弁当を見たり、話を聞いたりして、「もっと違うお弁当がいい」と感じるようになっていたのではないか。
思い返せば、入園から一年。お弁当のメニューはほぼ変わっていない。
だって普段のご飯も似たようなものだし、息子は家でも偏食少食だ。
だが一年を通じて、確実に、食べられるものが増え、好きなものが増えた長男。
ぼく、もっと食べられるよ。
お友達にみたいに、「今日のお弁当は〇〇が入ってるんだよ」って言いたいんだよ。
ぼくのお弁当、もっとレベルアップさせていいんだよ。
って思っていたのだとしたら。
ごめんよ長男。
勝手に偏食少食と思い込み、「コロッケが好きなんだから、コロッケ入れておけば間違いないだろう」と決めつけていたけれど。
君の食べられるものを狭めていたのは、お母さんだったのかもしれない。
そうか。成長したんだなあ。
運転しながら、しみじみと思うわたし。
お迎えのとき、聞いてみよう。
今日のお弁当と、次のお弁当のこと。
そして、お迎えの時間。
帰りの車の中で、早速聞いてみた。
私「今日のお弁当どうだった?」
長男「ぜんぶ食べたよ?」
けろっとした顔で答える長男。
私「そうか。あのさ、朝『いつも同じお弁当なんだもん』って言ってたじゃん。もしかして、いつものコロッケとおむすびのお弁当、いやだった?もっと違うのがいいんかな?」
長男「いや?」
私「ほら、サンドイッチとか、オムライスとか」
長男「うーん、べつに?」
私「そうなの?お友達のお弁当とか見て、もっとこんなん入れてほしいなーって思ったんかなって。じゃあ、どんなお弁当がいいとかあるん?」
ここまで聞いて、しばらく考え込む長男。
あれ?朝の発言のことは覚えていないのかな?
拍子抜けしていると、「あ!」と思いついたようにしゃべり始めた。
長男「あのねえ、卵焼きはいつもの丸いのにしてほしい」
(丸!?丸い卵焼き!?どれのこと???) と困惑する私。
長男「長い丸でぐるぐるしたやつで、それを半分に切ったやつを入れて」
あーなるほど。
そういえば今朝、張り切りすぎて、いつもとは違う「だし巻き卵」のようなものを作ってしまったのだ。しかも薄味。長男にはどうやら不評のようだ。
それにしても、よく気づくな。
私「わかった。ほかにはある?」
長男「うん、たらこスパゲッティは、入れんといてほしい」
(あれ?そうなん?好きなはずなのに、なぜ…)
長男「あの銀のお皿みらいなのに入ってるから、飛んでいっちゃうねん」
アルミカップのことか。要するに、食べにくかったのだろう。
お箸練習中の長男には、難易度が高かったか。
私「わかった、もう入れないね。ほかにもある?」
長男「あとー!」
おお、まだあるのか。聞いておいて戸惑う私。
長男「もっと少なくして」
私「え、多かった?おなか空くかなと思って…」
長男「〇〇ちゃんは、まだ3歳だからそんなに多くなくていいねん。でも4歳になったら、もっと食べるかもしれないよ。そしたら、サンドイッチとか、違うお弁当も食べるかもしれないからね」
なるほど。
要は量が多かった、という話か。
それにしても、来月4歳になる長男。
最近、自ら4歳へのハードルを爆上げし、「4歳になればできるようになることリスト」が急増している。
私「つまり、次のお弁当もいつものコロッケのお弁当でいいってこと?」
長男「うん、いいよ」
いいんかい!
朝の発言は何だったんだ。ちょっと考えこんじゃったじゃん。
そこでふと、思い出した。
そういえば朝、先生に行こうと促された時、この発言をしたんだったっけ。
もしかして、ただ園に行くのが何となく嫌で、口実として言っただけだったのかも。
だとしたら、ここまで真に受ける必要なかったな。
何にせよ、長男としては大した意図はない発言だったようだ。
そんなわけで、我が家のお弁当は、おそらく来月もコロッケ&おむすび弁当だろう。もしかすると、4歳になるとレベルアップするかもしれないが。
ただ、今回のお弁当の一件で、もしかすると私が思っている以上に、長男はいろんなことができるようになっているのかもしれない、ということに気づかされた。
いつまでも小さいと思い込んでいたが、気づけば、大きく頼もしくなってきた長男。
親ができないだろうと決めつけて、彼の成長を妨げていてはいけないのだ。
子どもの成長はあっという間だ。
もっと、彼の力を信じよう。
まあ、結局お弁当の中身は、来月も変わらないのだけど。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?