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うまくいかないときは、そういうもんなんだろう。


うまくいかないときは、何をやってもうまくいかない。


自分の落ち度なのに、人のせいにしたくなったり、環境や寝不足を言い訳にして自分を庇ったりしてみるけど。
結局最後には自分に返ってくるので、責任逃れをしようとした自分の醜さにさらに落ち込む。



数ヶ月に一度、大事なものを、紛失する。
それは本当に大事なものなので、ふつうの人ならその辺に置いておいたり、適当に片付けたりしないはずだ。
でも、わたしはする。

その場しのぎで片付けたり、自分の用事を後回しにしたりした結果、大事なものの行方が把握できなくなってしまうのだ。

こんなふうに書くと、さも自分より他人を思うお人好しみたいに聞こえるけど、そうじゃないんだ。ただ、めんどくさがりなだけ。
ちゃんとその時に片付けていたら、こんなことは起きていない。
それが分かるから、自分が嫌いになる。
そんなこともできない自分が嫌になる。



失敗したときには、くよくよと原因を探っておのれを責めず、その失敗を「ありのままに見つめ、事実を受け止める」のが大切だ。
そう書いてあるなにかを読んだ気がする。

たしかに、何度も同じところを探していてもどうせ見つからないし、時間も無駄だ。

ないものは、ない。
切り替えて、再度手に入れるための準備をしたほうが効率的だ。
元気だそう。



この元気だそう、に抵抗感がある。
わたしは、気持ちをすぱんと切り替えて、元気出して次に進みたくないのだ。
くよくよし続けて、誰かに慰められるのを待っているのだ。

ああ、そんなことはしてはならないのにな。
自分で自分を、立て直さなきゃいけないんだけどなあ。
弱い弱い、とわたしを責める。
わたしは、わたしのことを救わない。



ぐだぐだと時間をかけて、自分を責めて慰めていると、ようやく心が冷め始めた。

まぁ。まあまあ、そうは言っても。
慰めてくれる人は、ここにはいないし。

とりあえず現実から目を背けて、無くしたもののことは一旦忘れよう。
なにか、自分を助けてあげられるものはないか。
そうやって、辺りをキョロキョロ見回す。

そういえば。
さきほど、ポストに頼んでいた本が届いたんだっけ。
思いがけないきっかけで出会った、古賀及子さんのエッセイ『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』


そうだ、読みたい読みたい。
取ってこよう。
足早に外に出て、ポストを開いた。
宅配ボックスに、ヤマトの小包が届いている。

これでなんとか、機嫌をとろう。
ほくほくと持ち上げると、ずしっと重い。
重い、重すぎる。あれ。

包の上からさわさわと触ると、本の形がふたつ浮き出る。
あら、2冊も頼んでいたかな。
やな予感。やな予感だ。


うまくいかないときには、何をやってもうまくいかない。


リビングに戻って、おそるおそる開けてみると。
ああ、やっぱり、やっちゃってたか。

同じの2冊。


おんなじ本を2冊も買ってた。
しかも新品で。

いらないよお。
もう悲しみよりも、呆れがくる。

そういえば昨日、急にAmazonが英語表記になってしまって、わけがわからず放ったまんまでこの本を注文したのだった。
なにか、誤読したのか操作をミスしたか。

これもその時、ちゃんと日本語表示に戻して、いつものように買っていたら。
くよくよ。後悔の波がまた押し寄せる。


いや、もうさすがにいいか。
こんなこと、へっちゃらだよ。へっ。


わたしは2冊のエッセイを両手に持って、ソファーに深く沈み込んだ。

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